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第14話

店の中は外と同じで、魔道具屋なんだなっと思わせるような物と、薬品や、薬草などの入り混じった臭いがした。

シーリャとリーリンは、一瞬嫌そうな顔をした。

獣人は人間より鼻が良いから、この臭いがきつかったのだろう。


ざっと店内を見渡すと、意外に商品の配置はわかりやすいものになっていた。

その為、目的の物が置いている場所はすぐにわかったのだが、興味があったので店内をゆっくり見ることにした。


最初に気になったのはやはり、杖などの武器類だった。


魔術師が持つ用の武器で、木で作られた杖、鉄で作られた杖、短剣。

これで接近戦をするというより、もしも敵に近寄られた時用の護身用の武器なのだろう。


そう思っていると、ふと疑問が出てきたのでリーリンに聞いてみた。

「この杖って、持ってると何か魔術の補助をする効果とかあるんですか?」

「ここに置いている物には、そういった効果はないですね」

「そっか、ちょっと残念だな」

「裕也様がお探しの物は、基本的には店頭に並んでいません。 魔術の補助をする効果があるような杖などは高価な物ですので、店の倉庫などで保管されています」

「なるほど」


値段がそう高くないものなら、魔術書と同時に購入すれば、色々と役に立つかなっと思ったが、値段が高いなら流石に無理だな。


魔術の補助をする効果のあるのは買うのを諦め、他の物も見てみた。

見ていた中には、だいぶ前に話していた、回復ポーションなどもあった。

足のほうはもうポーションなどを使わなくていいくらいよくなったので、今は買わなくていいだろう。


ぼーっと商品を見ていると、シーリャが服の袖を引っ張ってきた。

「裕也、そろそろ買うものきめちゃって店でよ。もうお昼の時間だよ」

「あーそうだな、思ってみたら結構腹減ってきたし、さっさと選ぶわ」

そう言うと裕也は、店主に魔術の基本が書いてる本を聞き、それを購入した。

ちなみに、値段は2万円くらいの物で、お金はシーリャが出した。


本を購入して店を出ると、昼ご飯を何処で食べるか3人で話した。


裕也は早く魔術書を読みたいため、適当な店に入って食べようといった。

それならと、飲食店や、屋台が出ているエリアに移動して、店か屋台で良さそうのがあったらそこで食べようということになった。



移動してすぐは、早く魔術書が読みたい、早く食って宿に戻りたいと思っていたのだが、屋台から匂う、肉や魚、果物の匂いを嗅いでいると魔道書は逃げたりしないし、少し後でいいかなっという気分になった。


どれが良さそうか、良くわからないので匂いで美味しそうな物を探そうとして、クンクンと匂いを嗅ぎながら進んでいると、シーリャに裕也も獣人っぽくなってきたねっと言われてしまった。


でも、自分ではそうは思わなかった。

これだけ屋台から、美味しそうな臭いがするからしかたないと思う。


そうして、色々見ているうちに気になる屋台を見つけた。

何かの肉を鉄の棒に刺して、その棒を回しながら弱火で焼いて、焼いたものを削ぎ切りパンに挟んで食べるという物だ。


地球にある、いわゆるケバブという料理に近い食べ物なのだろう。

ケバブはピタパンという円形のパンに挟んで食べるのだが、この屋台の料理は普通の食パン挟んで食べるようだ。


裕也はその屋台を指差した。

「あれでよくないか?」

「ケバブか、いいね」

「元の世界にもあれと同じようなのがあるんだよ、名前まで同じとは思ってなかったけど」

「この世界は異世界の人とかかわってる年月が長いからね、やっぱり一部同じ料理とかはあるんだよ」


なるほどな、それならあれも昔のケバブ好きの勇者が広めた物なのかな。


「あ、でも、買う前に何の肉か聞いといたほうがいいよ」

「何かあるの?」

「最初は鳥肉がメインだったらしいんだけど、今では店によっていろんな肉が使われているんだよ。たとえばゲイザーっていう目玉の魔物の肉とか」

「目玉・・・・・・、それは勘弁して欲しいな」

「でしょ、だから聞いてから買うかきめよー」


店の前に行くと、シーリャが少し鼻をひくひく動かしていた。

「いらっしゃい」

「これ、もしかして」

「お、嬢ちゃん何の肉かわかったのか」

「うん、ウインドバードの肉でしょ」

「正解、わってると思うけどちょっと高いけど買って行くかい?」

「3個お願い」

「まいどあり」


そういうと店主は手際良く肉を削いで、キャベツのような物と一緒に、パンに挟むと渡してきた。

お金を渡して、近くに丁度ベンチがあったので、そこで食べる事にした。


「シーリャ、このウインドバードって何か凄いの?」

「それはあとで、さめちゃうと勿体無いし先に食べちゃよ」


シーリャがご飯を早く食べたいって感じなのがはじめて見るので、そんなに美味しいのかなと思い一口食べてみると、理由がわかった気がした。


「あ、これは」

「美味しいでしょ」

「これ、前食べたファランクスボアより美味しいんじゃないか?」


そう言うとがっつくように残りも食べてしまった。


「ごちそうさま、それでこれ」

「わかってるよ」


裕也が食べ終わって、ウインドバードについて聞こうとしたら、シーリャ達ももう食べ終わっていて説明してくれた。


「ウインドバードは簡単に言うと、一般の人が食べれる最高ランクの鳥肉なんだよ」

「へー、そんなに凄いやつだったのか」

「まあね。これ以上になるとコカトリスとかもあるけど、あれは高ランクの冒険者でもないと倒せないから市場には出ないんだよ、ウインドバードも獲りやすいとわいえないけど、まだ取れるしいろんな場所に生息してるしね」

「なるほどね」


この世界は魔物が何百?種類もいるおかげで、こういう食について元の世界と違うんだな。

元の世界ならスーパーに行けば牛、豚、魚、なんでもあったし、肉屋に行けば高級な牛の肉も売ってた。

でもこの世界は普通の動物以外の魔物の肉は、狩って手に入れるしかない。

だから、倒しにくいやつほど高くなるんだな。

それなら、それで金を稼ぐ事もできるか。

この魔道書の借金返済の方法の一つとして覚えとこ。


あ、魔道書。


美味い物を食べていたせいか、すっかり魔道書の事を忘れていた。

「さてと、美味いもの食わせてもらったし、そろそろ宿に戻りたいけどいいか?」

「うん、じゃあもどろっか」

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