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第13話

ここは聖王国最西端の街 ウィンティ。

この街から西に向うと、徐々に木々がなくなり荒野となっている。

大陸西側は、この荒野が大部分を占めていて、かなり強い魔物も生息している。

そのため聖王国は、ウィンティまでを領土としたのだ。




街に入って最初に買い物をしたかったのだが、馬車を置くために先に宿に向う事になった。


ウィンティは何箇所か宿があるのだが、シーリャ達が選んだのは一番高級な宿だった。

聖王国領土の街であるため、普通の宿だと獣人と知ると泊まれない可能性がある。

そのため、一泊にかなりの値段がするが、王族や貴族なら獣人でも問題なく泊まれる、この宿を選んだのだ。


裕也は宿の外見を見て、生まれて始めてこんな高級宿に泊まれる事にわくわくして、宿の前に着くと馬車から飛び出そうとしたが、シーリャとリーリンに止められてしまった。


「はやく宿に入らないのか?」

なぜ止められたのかわからず、聞いてみた。


「入る前に、その服に着いてるフードを被ったほうがいいよ」

「え、何で?」

「ここはまだ聖王国領土の街で、前話したように黒髪は異世界人の象徴なんだ。だからここでその髪を見られると、何があるかわからないからね、できるだけ隠したほうが良いよ」

なるほど、でもそれなら。

「シーリャの髪も隠したほうがいいんじゃないのか?」

「僕はこの獣人って人目でわかる耳があるからね。獣人が黒髪になる可能性があるのは、そこそこ知られてることだから大丈夫だよ」


獣人ではない人の黒髪が駄目って事か。

裕也は言われたとおり、フードをかぶった。


「じゃあ、ぱぱっとチェックインだけ済ましちゃおっか」


シーリャとリーリンと先に宿に入り、チェックインを終わらして、部屋に向った。


聖王国の王城で見た部屋には劣るが、無駄に綺麗ではなく落ち着いた感じの良い宿だ。

部屋は護衛用に一部屋、そしてシーリャ、リーリン、裕也用に一部屋取った。


裕也は部屋に入ると、ベットに腰掛けた。


「それで今からどうする、すぐ買い物に行く?」

「そうだね、お昼を食べるのにはまだ少しはやいし、先に裕也の買い物をすましちゃおっか」


じゃあ、行こうか、そう言おうと思った。

だが、ふと思い出してしまった。


「そういえば俺、この世界のお金持ってない・・・」


魔術書を買って、数日後にはこの魔力量による魔術チートの始まりだ。

と思っていたのだが、一番必要な物を持っていなかった事を、いまさら思い出した。


最初に食費や宿代を、シーリャが出してくれると言っていたのでそれはまだ良い。

それ以外の物を買うのは、自分のお金で払うべきだと思っていた。


どうする・・・・・・、シーリャにお金を借りて買うか・・・。

でも、返す当てがないのに、借りるのってやばいよな。


「それくらい、僕が出すよ」

裕也が頭を抱えて悩んのを見て、シーリャがそう言ってくれたのが、それは本当にいいのか考えてしまう。


「返すあてとかないし、それはまずいだろ」

「じゃあ、今ここで僕のお婿さんになるって言えば、万事解決だよ。夫を養うのって普通でしょ?」

「あ・・・うん・・・」

「なんてね、それは卑怯だよね。裕也はお婿さんになってくれるかまだ決まってないけど、獣王国までは着てくれるよね」

「それは約束したから」

「うん、それでもしお婿さんになってくれなくても、獣王国に着くまでに魔術を覚えていてくれると、僕達的にもいいんだよ」

「そうなのか?」

「前行ったように獣人は魔術師が少ないから、強い魔力を持った魔術師が国にいてくれるだけで助かるの」


それなら良いのか?

本当に良いんだろうか・・・。

・・・・・・そうか、魔術を覚えて獣王国に雇ってもらって、その給料で返せばいいんだ。


「それじゃあ、お金は借りることにするよ」

「借りる、じゃなくても良いんだけどね」


シーリャは少し、悪戯っぽく笑うと、裕也の手を引き、買い物に出かけた。



3人で宿を出ると、リーリンに案内されながら目的の魔術関連の道具は売ってる店に向った。


宿を出てすぐは、シーリャと手を繋いでいるだけだったのだが、たまたま近くいた女性が、男性の腕に抱きつくようにして歩いているのを見て真似したくなったみたいで、腕に抱きついてきた。


腕に胸の感触が伝わり、少し顔が熱くなりながら、リーリンの後をついていった。


宿を出て、十分くらい歩くと、周りの雰囲気が少し変わった。


歩いている人が、鎧を着た人や魔術師風の人が増えてきた。

並んでいる店も武器防具屋、旅などに使いそうな装備などが並んでいる。


「この辺りは少し違うんですね」

「はい、街は中央部が街に立ち寄る、貴族達のエリアになっていまして、こちらのエリアには冒険者ギルドがありますので、冒険者用のエリアといえますね」


この人達はみんな、冒険者なのか。

異世界の冒険者。

うん、良い響きだ。

元からチート能力とか持っていれば、俺もこの人達みたいに冒険者になってたんだろうな。


そんな、もしかしたらあったかもしれない事を夢想していると、それらしい店の前にたどり着いた。


店頭には杖や、薬草、何かの生物の目玉とかも置いている。


「こちらが、魔道具屋になります」


リーリンがそう言うと、裕也は店に入っていった。


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