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第12話

昔テレビでマグロの解体ショーを見たことがあるが、その時は美味そうだなっと思った。

しかし、いま目の前で行われているファランクスボアの解体は・・・・・・グロい・・・。


短剣を武器としているタリスは、こういう解体作業なども得意で手際よくやってくれているのだが、腹を切り内臓を取り出しているのを見るとグロいと言う言葉しか出てこなかった。


普通なら解体にはかなりの時間が掛かるのだろうが、近くに水を汲みに行ったメンバーが帰ってくる頃には、解体が終了し後は調理するだけの状態になっていた。


どんな料理にするんだろ?

そう思っていると、シーリャがもっともシンプルな食べ方を提案してきた。


「せっかくのファランクスボアだしさ、焼肉にしよっか」


そう言うと馬車から、バーベキューに使うような大き目のプレートを取り出してきた。

用意されていた焚き火でプレートを熱した。


昼ご飯の準備もほとんど終わったので、リーリンの肩を借り、プレートの近くに用意された椅子まで連れて行ってもらった。


「それじゃ食べようか」


タリスが丁度いいサイズに肉を切っていき、じっくり焼いていく。


そこそこの値段がするといっていたが、昔一度だけ食べた事があるA5ランクの牛肉よりは美味くないだろう。

それでもはじめての魔物の肉。

ちょっと楽しみだな。


そんな事を考えていると、肉がいい感じに焼けていたので、渡されていた皿にとった。


「何かかけるものない?」

「味噌をつけるか塩だね」


うーん、はじめて食べる物だし、塩の方がいいかな。


「じゃあ塩で」


そう言うと塩を渡してもらい、少量肉にかけると、食べてみた。


あれ、何だこれ。


口の中の肉がなくなるとすぐに次の肉を取り食べる。


A5ランクの牛肉なんてめじゃない。

やばい、これはやばい。


無言で肉を取り、塩を少しだけつけて食べる。


普通ならお腹いっぱいになってもう食べれないくらい食べてるはずなのに、食べるのをやめれない。


「美味しい?」


裕也が肉を休む事無く、食べ続けるのを見て、シーリャは聞いてきた。


「美味い!なんだろこれ。元の世界で食べた肉なんかめじゃないよ」

「気に入ってくれてよかった」

「なんで、こんなに美味いんだろ」

「魔物だからかな? 強い魔物ほど美味いってところがあるんだよね」

「へー、シーリャ食べた中で一番美味しかったのってなに?」

「やっぱり、ドラゴンかな」


ドラゴンか、ゲームとかでも良くドラゴンステーキが美味いとか出てきくるけど、本当だったんだな。


「じゃあさ、そのうち俺にご馳走してくれないか?」

「いいよー、これより美味しいから期待していてね」


久しぶりにこんなに食べたな。


動くのが辛いくらい、肉を食べてしまい少し後悔したが、それでもまあ良いかと思えた。


「あ、そういえばリーリン、サイクロプスの死体と食べなかったファランクスボアは燃やしといて」

「了解しました」

「終わったら追いかけてきてね」


裕也とシーリャが馬車に戻ると、先に出発した。


「いいのか?」


少し疑問になってシーリャに聞いてみる。


「死体を放置すると後で面倒な事になるから、焼かないと駄目なんだけど、サイクロプスって焼くと臭いんだよね」


そういわれて少しわかった。

今回の事も俺を気遣ってくれたんだろう。


「もしかして、人に近い焼ける臭いなのか?」

「そうなんだよね、あんなにでかいけど、人に近い部分があるみたいでそんな感じの臭いがするんだ」


美味しいご飯を食べて、喜んでいるところに、そんな臭いを嗅いだら吐くだろうな。

だからシーリャは俺のために先に出発したのか。


「それなら、リーリンさん達も嫌だろうな」

「嫌だろうけど、慣れてるから大丈夫だよ」

「慣れてる?」

「獣王国の周りでも、色々魔物が出るんだけど、まあ、その魔物に仲間が焼き殺されるってこともたまにあるからね」


それを聞いて、なるほどっと思ったのと、そうやって人が簡単に死ぬ世界なんだとも思った。


弱肉強食。

俺自身も、弱いままじゃそのうち死ぬ事になるかもな。

はやく街について、魔術を使えるようになりたいな、そうすれば少しはその心配も無くなるはずだ。


1時間くらいした頃、問題なくリーリン達と合流できた。



そこから、数日が経った。

薬草のおかげで、ほぼ問題なく歩けるようになっていた裕也は少しわくわくしていた。

村から出て10日。

今日は街に到着する日。

足も治った事で、はじめて異世界の街を歩き回れる。


楽しみでうずうずしているのを、シーリャにも気付かれて、笑われてしまった。


それでもこれで、魔術書を手に入れることができるということが楽しみだった。


そう思っていると、馬車の窓から白い物が見えてきた。


「あれが目的の街か」

「うん。一緒に色々買い物しようね」


一緒に買い物か、それってデート・・・か。


デートへの少しの緊張と、街が楽しみだという気持ち。


裕也が少し複雑な心境の中、馬車は街の門を抜けた。



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