プロローグ
いつもと同じ仕事終わり。
更衣室で私服に着替え、まだ仕事をしている人に「お先です」と挨拶をして仕事場を出る。
まだ19時半か、さて今からどうするかな。
特に用事もないので、スマホでゲームでもしながら帰るかなとスマホを見ると、久しぶりに専門学校時代の友達からLINEが来ていた。
「久しぶりに飲みにいかね?」
今日は時間もある、それに明日は仕事が休みだしいいか。
「行く、集合場所はどこ?」
「いつも行ってたゲーセンあるだろ、あそこの前で集合で」
「了解、30分ほどで着くから」
飲みに行くなんて久しぶりだな。
スマホを見るのをやめると、少し足早に集合場所に向かった。
ゲーセンの前につくと、LINEで話していた友人ともう一人、学校でよく一緒に遊んでたやつも来ていた。
久しぶり元気か、など話しながら学校の飲み会でよく使っていた焼き鳥屋に移動した。
店に入るとビールを頼み「久しぶりの再開に乾杯!」と酒を飲み始めた。
学生時代に一番仲が良かった二人と飲む酒は美味い、そう思ったのは最初だけだった。
最初は良かった。
お前まだゲームしてる?
あのゲームの新作やった。
この頃ゲーセンよく行ってるんだ。
昔と同じように話していた。
だが途中から仕事の話になり、二人が正社員として順調に働いていることを知った。
それだけならまだ良かった。
「実は俺、結婚するんだ」
え、こいつが結婚?
俺もこいつと同じで今年27歳なのに彼女もいない、それなのにこいつだけ・・・。
学生時代二人より成績は良かった。
頑張ってたはずだ。
それなのに俺だけ26歳でフリーター。
そうか、俺だけ失敗したんだ。
ああ、こいつらは今凄く充実しているんだろうな。
有意義に生きているんだな。
なんか俺だけが先の見えない中を歩いている気がする。
もういい、もう聞きたくない。
こんな事考えたくない。
そう思った俺は、いつもより多く酒を飲んだ。
「お、裕也がそんなに飲むなんて珍しいな」
「ほんとだな裕也がそんなに飲むのって、学生の時の最初の飲み会いらいだな」
珍しく酒を大量に飲んでいる俺を不思議がる二人。
「二人と久しぶりに飲みにきたんだ、楽しくガッツリ飲まないとな」
違う本当はこの嫌な気持ちを忘れたいだけだ。
二人が羨ましいだけだ。
楽しそうな声を聞き流したいから飲んでるだけだ。
「じゃあ、俺達も飲まないとな」
俺の言った話を真に受け、酒を追加注文する二人。
その後は二人の話に適当に相槌を打ち、早く終わらないかなっと考えながら酒を飲み続けた。
0時前、そろそろ終電に間に合わなくなるからと解散となっり、意識が朦朧とする中フラフラと駅に向かった。
ぎりぎり終電に乗り込むと、電車に揺られながら考えた。
頭痛い
飲みすぎた
何であいつらだけ
何で俺だけ
宝くじでも当たらないかな
もういいや
こんな所にいたくない
何処か違う場所に行きたいな
眠いな・・・
電車の心地いい揺れるせいで、うとうとと眠ってしまった。