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《アリーシャ》1
光る金色。風に揺らされ、夕陽に照らされ稲穂が揺れる。
もうじき収穫を迎えようとする広い稲穂畑の中でオブジェのように佇む影があった。
十字に組まれた太い丸太に少女が打ち付けられていた。
顔は原型を留めないほどに潰れ、翼のように開かれた両の手の平には残酷にも釘 が打ち込まれている。
衣服はズタズタに引き裂かれ、白い肢体は擦り傷だらけで血に濡れていた。
そんな少女の足元には地に膝を付け、深く項垂れる青年の後ろ姿がある。
青年はここに辿り着くまでに一度も馬を休ませることはなかった。
呼吸が酷く乱れ、背中が大きく上下している。速く鼓動する心臓が落ち着こうとしてそうなるのか、それともこの惨状に動揺してそうなるのかは本人にも分からない。あるいはそのどちらもが理由なのかもしれなかった。
「…アリーシャ……っ」
乾き切った喉から聞こえた声はかすれている。
汗とも涙とも分からない水滴が頬を流れ落ちた。




