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序
風に舞い踊る赤と白の花びら。
華やかで淑やかに香る薔薇のアーチをくぐると、そこには神殿のような小さな庭園が広がっている。
その真ん中。庭園の中央には大きな樹が天へと背伸びをし、足元に万華鏡のような木漏れ日を作っていた。
きらきらと、ゆらゆらと柔らかく揺れる陽の光。
そんな幻想的な光景に溶け込むようにして、背中を樹に預けて眠る少女がひとり。
薄い薄い、白にも見える薄紅色の長い髪。
静かに呼吸を繰り返す唇は艶やかで、長い睫毛が影を作っていた。
少女の名前はアーシュ。
まるで死んだように安らかな表情で眠る彼女は、そうしながら待っていた。
結んだ約束が果たされるのを静かに待っていた。




