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真夏の深海   作者: れの
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プロローグ

 日々を漫然と過ごすのは簡単だ。

 ティピカルな日常に全てを委ねていればいいわけだし、取り立てて何もしなくていい。まあ、あくまで取り立てて、であって、それなりにやるべき事を最低限やれば、という意味だけど。

 というわけで俺は、それなりに物事をこなしつつ、かつ余分な事はしないようにするのがお決まりだった。

 そう。お決まり……だった。

 本来ならば、全身全霊かつ全力で、お決まりであると言いたい。しかし今は人生の方針…と言うには些か軽すぎだけど、それなりに唯一の無駄な信念を持って貫いてきたものを捨てて生きている。後悔はしていない。これで良かったのだ。今まで無駄を省いてきたことも、「あの」人達や家に、町に出会ってから自分が変わったことも。

 家……「枳殻の家」

 俺の家。

 他の誰のものでもない。枳殻の家は、俺のなのだ。これは絶対である。誰が何と言おうと。

 俺はこの町で生きている。この家で生きている。

 風鈴が涼しげな音で風を告げた。多分、風上からの文句か何かを伝えているのだろう。やれやれ。

 蝶と蛾が緩やかに舞っている。

 夕立を予感させる入道雲が空でもくもくと大きくなり始めた。

 枳殻の家は、今日も涼しい。

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