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サイバーパンク2.0.2.5──だから中卒無職の寛太は〝チートスレイヤー〟と呼ばれる  作者: 東山統星
シーズン1 自分の敵なら、たとえ親子でも殺せ

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017 襲撃作戦

「そうそう。それに、分かり合えないのは、悪いことじゃない。もしも最初から全人類が協力していたら、こんなに文明が発達することもなかったからね」


 ホテルの窓からは、超高層ビルが無数に見える。ヘリコプターが、溢れんばかりに飛び交っている。それは、叡智故の発展か、愚かさ故の傲慢か。


 *


 この世界は、主に3つの階層に分かれる。体制側・反体制側・無法者だ。体制──壮麗側の人間は、反対体制と無法者が協力しないように腐心している。反体制側も、理想を掲げる以上体制はおろか、無法者とも手を組まない。無法者たちも、悪さで稼ぐのが目的なので、時と場合によって誰とでも組み、誰でも裏切る。


 そんな無法者の代表格、〝関東七王会(ななおうかい)〟の若い衆が、寛太たちの泊まるホテルに音もなく侵入しているのだった。


 片山皐月は、いち早く異変に気がつく。慢性的な不眠症の彼は、場所が変わったこともあって寝られていない。だから彼は、エレベーターではなくわざわざ階段を使って昇ってくる、望まれざる客に勘づいた。


 片山はハンドガンを取り出し、用心深く入り口前に立つ。


(ジャマーがある以上、壮麗グループが追ってくるとは思えん。であれば……)


 別勢力、と考えたほうが良さそうだ。寛太・霞が、まるで緊張感なく爆睡しているので、片山だけで対処するほかない。

 と思っていたら、


「私も行く」


 シャーロットが、小声で呟く。彼女もどこからか拳銃を取り出し、片山より少し離れた場所で銃を構える。


 緊張の瞬間。けれど、片山とシャーロットの心拍数は全く上がっていない。この程度で怯えていたら、堂々と反壮麗活動はできないし、MI6に属せるはずもないのである。


 そして、

 ドアが、蹴破られた。ドアの向こう側から、ハンドガンを構えたジャージ姿の男たちがふたり、躊躇なく銃弾を放ってくる。


「うぉッ!?」


 その破裂音とともに、寛太は目を覚ます。緊張の糸を切らして良い瞬間なんてないのを、彼女は再認識させられた。


「な、なんだ?」


 音の方向では、シャーロットの張った赤い壁が銃弾を粉々にしていた。ジャージ姿の男たちは、「クソッ!!」と叫び、その場から逃走を図る。

 が、片山の音波攻撃で、彼らは頭を抱えながらその場に倒れ込む。見事な連携プレーだ、と唸りたくなるほどだった。


「七王会か」


 動けなくなったジャージの男たちふたりを見て、片山はその正体に気づく。


「ッたく、無法者は気楽で良いよな。誰に雇われた? それとも……」


 そう嫌味を吐き、片山とシャーロットは男たちの背中を足で踏む。

 全く身動きができなくなったふたりだが、片山、シャーロット。そして寛太にはふたつの疑念が生じる。なぜ、今のヤサが見つかったのか。ジャマーがある以上、壮麗側の追跡は不可能だし、それの効果は最低でも1日は無効化できない。日本最大の地下組織といえども、情報戦で壮麗グループを出し抜けるわけもないから、不思議がるしかなかった。


「……ここはもう、安全じゃないかもな」


 さらに、ヤサを割ったとして、なぜ若い衆ふたりだけを特攻させたのか。七王会にも、サイバー・ギアを持つ者はいるし、壮麗から開発を受けた者だっている。それなのに、このふたりは全くの無能力者。これでは、襲う意味がまるでない。


「でもさ、たったふたりで私らに勝てる見込みがあるとは思ってないでしょ? 七王会の連中も。なにか裏があるような──」


 寛太がそう言い切る前には、

 戦闘用ヘリコプターが、寛太たちのホテルの部屋に向けてガトリングを向けていた。

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