7話
ある日
伊達が移動教室から帰ってくると、机の中に手紙が入っていた。
折りたたまれた白いメモ用紙。
ひらいて、中を見る。
"ワンピ姿引き伸ばして壁に貼る許可求"
そう書かれた手紙に伊達は返事を書く。
"アウトですデータは消去して下さい"
そしてまた元の位置に戻した。
その日のうちに、いつの間にかそれは机の中から消えていた。
□
学校帰り、伊達は七瀬とクレープを食べに行く事になった。
めったに行かないが、七瀬が珍しく誘うので付き合う。
あえて周囲に公言して無いが、実は甘党で、内心興奮していた伊達。
店につく直前、七瀬が提案してきた。
「ジャンケンで負けたほうが払う…3回戦」
じゃんけん…弱いんだよなあ。けど、一昨日給料日だったから、懐はまだあたたかい。クレープ…食べれる
「……のった」
結果、伊達が3回とも勝って、七瀬が持つことになった。
伊達は勝った直後、終始「ホントのほんとの、ほんとに?」とたじろいでいた。
店に入って早々伊達はメニューに釘付けだ。
真剣に悩むこと数分。
「何にする?」
「おれは……」
まだ悩む伊達。
七瀬は決めたようだ。
「これにしようかな、苺の…。多分全部はたべられない、伊達食べて」
「えっ、いいの…?」
見上げた伊達に頷く七瀬。
予想外の提案。伊達は七瀬に合掌して拝んだ。やめろというので、仕方なく手をおろした。
「――んまいっ」
スイートポテトクレープ…!
モンブラン風に巻かれたアイスに語弊力を失う。
一口食べては、うっとりして、目を閉じてしまう。…美味しっ
そんな伊達を満足そうに見る七瀬。
はたと伊達は思った。こんなに美味しいものをタダで食べて良いのだろうかと。
そうだ、やっぱりお代は…
「さっきのお金、」
「それは、要らない。こないだのお礼だから」
お礼って…
この前…着ただけの、アレ?
「……」
「……」
伊達はポケットに入ったスマホを掴む。
その手を七瀬に抑えられ、それでも出そうとした。
静かな攻防のすえ、伊達は、七瀬くんにかなうわけない、と折れた。
「もしかして…」
「なんだ?」
「…ううん、ありがとう」
「「また来よう」」
目を合わせて笑う。
「一緒に」
「うん」
それから七瀬のぶんも美味しい美味しいと平らげ、笑顔でごちそうさまでしたと七瀬に再度手を合わせた。
…たぶん、おれの食べたかったものを頼んで、くれた。
渡すとき、七瀬くんとクレープを交互に見て困惑ぎみだったお姉さんにも、七瀬くんの優しさを教えてあげたい。
七瀬くんみたいなさりげない気遣いのできる兄貴になりたい…。
見習お。
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