5話
七瀬と約束の日。
「あがって」
「おじゃまします」
今日は七瀬くん家にお邪魔して勉強する。
玄関に入って靴をぬいでいると、二階から物音がして、ちょうど誰かおりてきた。
花柄のワンピースを着たロングヘアの子。七瀬に気づいて挨拶する。
「あ、お兄さん、こんにちは」
「まひろちゃん、こんちは。順は?」
「じゅんくんなら、すぐ降りてくると思います」
こんにちはと会釈してくれたので伊達も同じように返す。
順くんって確か弟だよな、前に一度紹介されたことがある。
七瀬を小さくしてちょっと華奢にした細眉で焼けてないバージョンのオールバック。
おもい出していると二階からスカジャンサングラスの順が降りてきた。兄と伊達に気付いて挨拶してくる。
「おまた…あ…お帰り兄貴。と、こんちは」
「こんちは」
「出かけるのか、気を付けてな」
「おう。……いってくる、まひろ行こう」
「うん。お邪魔しました」
「いってらっしゃい」
手を降って見送る七瀬の後ろで伊達も手をふる。
七瀬の部屋に通された。
飲み物取ってくると出ていったので一人残される。
前来たときと変わらず、整頓された室内は、色んな布と糸が棚に入っており、可愛い人形が並んで座ってる。
ミシンが置かれた机とその横に、作ったと思われるリボンのついた白いドット柄のワンピース。
相変わらずかわいいもの作ってるなとしげしげと見る。
知らなかった、洋服も作れるのか。
部屋のドアが開いて飲み物を手に七瀬が戻ってきた。七瀬にお礼を言い受け取る。
ワンピースを指さし伊達は尋ねた。
「…これも作ったの?」
「ああ、まだ完成してないけど、さっきの…まひろちゃんに渡す予定」
「へえ、頼まれたの?」
「順に。…内緒なんだと」
「…ふーん、彼女も喜ぶだろ、こんなかわいいの」
「そうだといいけど。…男だぞ」
「…………、え?」
「まひろちゃんの女装は趣味。たまに、素で来たりするしな…」
「…そう、なんだ。てっきり……弟くんとは…?」
「どうなんだろうな」
「……」
…あの子が男…?…確かに、今思い返すと順くんより身体が大きかったような。声も裏声と言われれば……そうかも。気づかなかった…。
すぐそこに、こんな近くに落ちているではないか。
ぼんやりしてる伊達に気付いた七瀬がどうかしたか?と聞いてきた。
頭を軽く振って切り替える。
「ごめん、トイレ借りてもいい?」
「出て右手側だ」




