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fudanshi  作者: 真砂木
27/28

27話 24.5話

無駄に長いです



 眠りについた伊達は真夜中、寝苦しさに目を覚ました。


「……、ん…?」

「起きたか、伊達氏。気分はどうだ?」


 …え、せんぱ、あれっ、手が…

 え、口もコレ…塞がれてる…?


 状況をまだ飲み込めていない伊達は拘束され、うつ伏せの状態で椅子に座る明石をみた。


「だめじゃないか、伊達氏。そんなに人を信用してついてくるなんて…今の時代、例え顔見知りであっても、いや、顔見知りだからこそ、気をつけないとな。小さな子供でもあるまいし、自衛せねば身を守ることなど不可能だぞ」


 こんなの、冗談ですよね…?

先輩、と伊達はまだ明石がネタばらしをしてくれる事を期待していた。


 いや、本当をいうと、徐々に現状を理解しつつある。が、現実を受け入れたくなくて、都合のいい希望にしがみついているだけだ。

 

 「…んー、んー…」

 早く、冗談はやめて、この手足と口を解放してください…


 身じろぎをして明石に訴える。


「どうした…?帰りたいのか?いいだろう…」


 何処から取り出したのかナイフを手に近寄ってきた。

 伊達は自分の身体の震えを必死で抑えた。

 やばい…この人、俺の知ってる、先輩じゃない…


 歯がガタガタ震える、という事を身を持って知った伊達。自分の体なのに言うことを聞かない体を叱咤する。


 しっかりしろ。落ち着け、俺なら動ける、やれる。


 しかし、そばまで来た明石の目を見てしまい、蛇に睨まれた蛙のように身が竦んでしまい、最悪を覚悟し目を瞑った。

が、何故か足首の縄を切られ、脚だけ自由にされる。


「さあ、行くといい」


 …え、なんで…、

 

 震える身体で明石を見上げる。


「どうした…?行かないのか」


「……、」


 子鹿のようにみっともなく震える脚を何とか立たせ、立ち上がり一歩踏み出した。


 一歩一歩がこんなに長く感じる時がくるなんて…あと、何歩で扉までいけるんだろ


 扉の前まで来たとき、すでに疲労困憊していた。たった数歩の距離で。

 

 後ろ手に縛られた手をドアノブに近づける為、身体を横にずらした。

 瞬間、顔の横に腕を思いっきりつかれ、「なんてな」と耳元で気配を消して伊達の後ろに音もなく現れた明石に呟かれた。


「ははは、本気にとる訳がないとおもっていたが、そうか…くッ本気で出ていけると、本当にそう思ったのか?」


 口を吊り上げ伊達の顔を覗き込む明石。その笑顔が何時も見ているものと変わらず、薄気味悪さを倍増させる。


 鳥肌が立つのを感じながら、それでも明石を睨むのをやめない伊達。


 視線を絡めながらわざとこちらに近づいてくる明石に、引くまいと伊達は脚に力を込めた。

 後ろはドアがあり、どうせ逃げることは出来ない。


 不意に明石が言った。

「伊達氏、君はいいな」

 意味が分からず黙っていると急に笑い出した。


 「予定変更だ」

 腕を引っ張り中へ引きずられる。

 

 「腐生植物は、カビやキノコを食べて暮らしているんだが…君が…カビやキノコを食べ続けていれば、君の体に生えてくると、思わないか…?」


 ……、は?

 伊達は心の底から何言ってんだこの人、と明石を凝視した。


 「だから、君から植物が生えてくる奇跡を見てみたいんだ…いいか?」


 伊達は首を横に振る。


「何故だ…キノコが嫌いなのか…?それとも、カビが嫌なのか…?」


 黙っている伊達にしびれを切らし、口の拘束も解いた。

 

 「さあ、解いたぞ、話したまえ」

 「その前に、トイレ…行かせてください…」

 「ああ、気が付かなくて悪かったな、行ってくるといい」

 「いいんですか…?」

 「ああ、勿論だ。早く行って話し合おう」

 


 伊達はトイレに行きながら考える。

 …どうやって此処から出よう…、何か使えそうなものは…

…だめだ、何も武器になりそうなものが無い…


 トイレに入り、便座に座る。

 不意に尿意を感じ、するつもりは無かったが、用を足そうとズボンに手をかけた。


 そこで、夢から目覚めた。 

しかし、尿意は夢ではなかった。


「………、ゆめ。っといれ…」

 伊達は起き上がると、隣りにいる明石に声をかけようとした。

 

 居ない…あれ、どこ行ったんだろ


 きょろりと辺りを見回す。

 玄関の方で音がした。立ち上がり、声をかけつつトイレへ行こうと伊達は人影に近寄った。


 「せんぱい…トイレかりますね」


 「!!!」


 暗い廊下の奥、伊達がひっそりと声をかけた瞬間、床に派手な音を立てて何かが転がり落ちた。

 

 静かな真夜中―、音は大きく部屋の中に鳴り響いた。


…………、びっっ

 「っくりした…なにしてるんですか…」

 「驚いたのはこっちのセリフだ伊達氏、見ろ、手にしていた物を全部落とした」

 「…手伝います」

 「いや、自分でやらかした事は自分で後始末する。最低限の行いだ、君はトイレへ行くのだろう。手遅れになる前に行くといい」

 「…じゃあ、お借りします」


 …あの驚き方は…、無いか…


 トイレから戻りまた伊達が横になっていると、戻ってきた明石が隣に寝転んだ。


 「せんぱい、何してたんですか…?」

 「それはな…秘密だ」

 「…気になります。実はさっき…、せんぱいがサイコパスのゆめを見ました。安心して眠りたいです…」

 「…っ、俺がか…?君の中で俺はどういう風に見られているのか、気になる所だな。まあ…なに、明日、朝になればわかる」

 「安心できません…三割ぐらいしか…いまの言葉だと」

 「困ったな…、では…少し俺の身の上話でも聞くか…?信用できるかわからないが」

 「はい、おねがいします…」

 「先に言っておくが、聞いても特に面白くは無いぞ」

 「はい…」

 「俺は――、」


 伊達は意識を手放した。

 実は物凄い眠気に抗って喋っていた。睡魔と戦いながら、明石の話も本当は聞きたかった――



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