20話 小ネタ猫の日
【猫の日】
恒例になりつつある、七瀬くん家でのテスト勉強。
お邪魔して、先部屋行っててと言われたので先に部屋に向かう。
「伊達」
「何?」
七瀬くんに呼び止められ、振り向いた。
「にゃあ」
「は…?な、何その耳。七瀬くん」
「猫の耳が生えた」
「ええッ」
「ちなみに、生理現象のようににゃあと言ってしまうんだ」
「何だそれ…」
どういう設定…
七瀬の頭に生えたという耳を伊達はつかむ。
スポンっと取れた。
……っおもちゃじゃん。
「バレたならしょうがない…」
「しょうがないって何が?」
そう七瀬に言いながら、手に持った猫耳を何気に自分の頭に装着した伊達。
「ニャー…」
ふざけたつもりだった。
眉を寄せた七瀬を見て直ぐに取ったが。
ふざけ返したつもりだったんだけど…
「調子に乗りました」
「いや、なぜ取ったんだ…?勿体ない」
んん…?もったいない…
七瀬の言葉に伊達はどういう意味かわからず、猫耳カチューシャをとりあえず返した。
てか何処から入手したんだろ。
「これ、七瀬くんの?」
「まあ、作った」
「え!」
「…ノリで、俺も少し浮かれてたな」
「…確かに、せっかく作ったなら勿体ないかな」
そう言って七瀬の頭に付けると、伊達はおもむろに写真を撮った。
伊達が撮った写真を確認していると、そっと七瀬が伊達の頭にも付けようとしてくるので、伊達は逃げた。
…どうせなら、順くんとまひろちゃんにあげて欲しい。後で言うか…
と、伊達は七瀬と追いかけっこしながら思った。
――その日の帰り道、猫が通り過ぎた。
…そういえば、今日猫の日だったな。
伊達の前を行く猫の後ろ姿を見ていると、誰かが隣を通り過ぎた。
しかし、その人物は少し通り過ぎた所でいきなり止まると振り向いた。
「伊達氏じゃないかっ」
「…センパイ、何して」
「ああ!…猫を見失ってしまった…俺としたことが、…まあこれもこれでありか」
「あの、何をして」
パシャッと音がして、カメラを伊達に向けて明石はシャッターをきった。
「なんでだよ」
思わず口に出してしまった。
「伊達氏、猫の日に猫を撮る。それが俺の今日の使命だ。だが、追いかけていたら伊達氏が現れた、これで手を打とうと思ってな」
……、猫を追いかけるまではわかる、後はさっぱりだ。明石の電波ぶりに伊達は思わず遠い目をしかけたが、気を持ち直して言った。
「逃げた猫を探したらどうですか」
「逃げた猫より此処に居る伊達氏」
「センパイ、今日バイトですよね」
「そうだ、実を言うと今日はもう行かねば、バイトにギリギリだ。危なかった…何せ猫を見つけてしまったからな、納めねば仕方あるまい」
店の近くといえば近くだが…ここまで追いかけてきた明石の執念が何なのかわからない。
「俺もう行きますね」
「ああ、またな伊達氏」
「はい、あ撮ったやつ消して下さい」
「なぜだ」
「…写真に撮られるの、苦手で」
「そうか、ではこうしよう。今度撮った猫の写真を見せ合う、どうだ」
「何で…いや、わかりました」
「よし、約束だぞ」
「はい」
何故か猫の写真を出し合うという妙な約束事を取り付けて明石は去っていった。
……、謎だ
――家に着いた。
手を洗って今日何食べよ、と冷蔵庫を開いた伊達。
中に見覚えのないラップのかかったお皿がある。
考えて伊達はピンときた。
遥だ、昨日休日だったので家に泊めた。家から出るとき、遥に戸締まりして出るよう言って出た。そう言えば、何か作ってたような…
ラップを外すと、オムライスだった。
少し潰れた文字で2 2 2 と書かれている。
…かわいいんだけど、遥。
伊達はそのオムライを味わって平らげた。
食べ終えた後、ごちそうさま。と遥に送ったら、ハートを周りにまき散らして子猫がアッパーをかましてるスタンプが送られてきた。
それに笑いつつ、伊達は猫の肉球を送り返した。
後日、伊達の机の中に手紙が入っていた。
"猫耳姿尊し、我感無量ポスター許可求"
………いつもどうやって情報を得ているのか、知りたいような、そうでないような。でも、やっぱりプライバシーは守りたい
"二回目ですね、イエロー2つです、次はレッド"
とりあえず、次やったらしばらく会うのも連絡取るのもやめよ……。
お灸を据えるつもりでやったことが、久々汰にとっては大ダメージだという事を伊達はまだ知らない…




