2話
後片付けをして、気づけばあっという間に時間がすぎる。
あがる前に厨房の女主人芦田さんに挨拶をする。
「お疲れ様です」
「お疲れ様、ん?何か今日いつもと違うね、イイ事でもあった?伊達ちゃん」
伊達の顔をみて笑顔で訊いてくる。
上がる口角そのままに、わかりますか、なんてこたえる。
今日の出来事に思いを馳せすぎて、ほっこりしていたのが出てたかな…。
「そういえば明石くんが、萌えを待つって言ってたわよ」
わすれてた。
着替える為、ロッカールームに入る。
そうだ、居たんだった、この人が。
「待っていた。いや待ちくたびれた、待ちくたびれて妄想と現実のはざまで揺れ動いていたところだ。しかし、ことを詳しく聞きたい」
「何をですか?」
「何ってあの…ラブラブオーラバンバンの……、攻めが受けを見つめるあのまなざし…見せつけてんのか、有難うございますのカップルの情報だ。あああ、また来店するかと思うとわくわくとまらぬ。爆発するな。たぶん来たらショートする」
心の声を素直に出したら自分もこうなるのかなと、楽しそうな先輩をみて伊達はおもう。着替えながら長くなるんだろうなと遠い目をする。
「しかし伊達氏、君の接客はとても良かった。いい雰囲気の店だと思ったに違いない確実に来るぞ。聞いているか、なんだその顔は。伊達氏、顔がすべてを物語っているぞ、気をつけろ。思考を読み取られるのは接客業にあるまじき」
誰がいってんだろ…こっちは、何度もとんだり隠れて奇声あげてるセンパイをお客に見られないよう色々フォローしてるのに。正直はやく帰って、腐活したい今日のアウトプットも。そう伊達はおもいながら口を開く。
「……今日、今じゃなきゃだめですか」
「そうだ、今日だ………何かが今日あるとして…それが明日もあるなど誰も断言できん。…だから、今だ」
「………」
なんかどこかできいたな、どこでだっけと考える。
「そう、昨日読んだファンタジー小説の攻めが言っていた。こころに刻め。で、どうだったんだ。なるべく詳しくたのむ。だが無理なら明日でもやむを得ん」
「歩きながらでもいいですか」




