18話
なんとか遅刻もせず、何なら少し早めにバイト先へ着く事が出来た。
店に着いて、挨拶をしてロッカールームに入る。
今日は明石とシフトが一緒のはずだが、まだ来ていないようだ。
ゆとりを持って制服に着替える。
スラックスを穿き、上に着たスウェットを脱いでる途中、明石がやってきた。
「おはようございます」
「ああ、伊達氏昨日ぶりだな。ぶえっくしょん…失礼…っくしゅ、ズズッ」
「え、大丈夫ですか」
伊達が、置いてあったティッシュの箱を手に明石に近寄ろうとする。
しかし、「待て」と明石が手のひらを突き出した。
伊達がその場で立ち止まると、片手で、目を押さえた明石の眼鏡がずり上がる。
「ずまんが近寄らないでぐれ、俺は端に寄るからその間に着替え終えたなら速やかに退室しだまえ」
「………、わかりました」
何だかよく分からないが、余裕のなさそうな明石の状態に気づいた伊達は言われた通り、着替え終えると隅にいる明石に「先、出ます」と声をかけホールへ向かった。
…、何だったんだろ。
と思いながら先に出勤しテーブルを拭いてまわる。
そのうち遅れて明石がやって来た。
近寄ってきた明石の異変に気づいた伊達。
「先ほどはすまなかった」
「センパイそれ…」
「時に伊達氏、今日動物にでも遭遇したか?」
「え…、…ハイ」
「やはりそうか。伊達氏、俺は動物アレルギーなんだ」
ティッシュを鼻に詰め込んだ明石が言った。
「すみません。俺…」
やはり着替えてくるべきだったか、と伊達が眉を下げて言った。
「いや、すぐにおさまる。気にするな」
と言った明石の鼻声に、気になるだろと思いつつ、かいつまんで伝える。
「今日子猫を触って、着替えて来ようと思ったんですけど…時間なくて」
「そうか。俺の場合、毛に反応するらしくてな…だいぶ戯れたのか?」
「…抱っこした時、ついたんですかね…?」
「伊達氏と子猫か…いいな」
「……、大丈夫ですか?」
明石の鼻に詰められたティッシュに自然と目が行く。
喋りながら各テーブルの備品を補充していく明石。
「ああ、一定の距離さえ保てばなんて事は無い。勘違いするな、伊達氏、例え犬猫、動物に嫌われたとしても、あのもふもふ、存在が奇跡だとさえ思える…愛でることをやめようとは思わない。くしゃみが止まらずとも、鼻水にさらされようとな、老後までに何も気にせずに撫でまくることが一つの夢でもある」
今日のおすすめの料理をメモし、在庫チェックをしながら聞いていた伊達。
ティッシュを詰めた明石が老後、サバンナで動物を撫でる姿を頭に思い浮かべた。
なぜサバンナかと訊かれても理由は特にない。強いて言うなら明石の雰囲気だとかイメージがそうさせる、といった感じだ。
「…そうですか。ソレ、ずっとするんですか?」
「ああ」
しばらくして、芦田さんに詰めティッシュを取るよう言われ、しぶしぶ言われた通りに明石がした後、店を開店させた。
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