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12年前 ②
十二年前
「弦君、お城、もっと大きくしよう!」
「舞、後にしたら、カレーできたよ」
「わーい」
一瞬で興味が積み木からカレーに向く舞。この当時の僕はまだ五歳だから、『花より団子』とか、そんな言葉は知らなかったが、きっと舞にお似合いの表現があるだろうということは感覚的にわかっていた。
ダイニングに駆け出していく舞の背中を見送り、僕は積み木をおもちゃ箱に片づけだす。
「弦君も先に食べよう。お片づけは後でいいから。ごはん冷めちゃうよ」
「ありがとうございます。いただきます」
「本当に偉いわね。弦君はいつも礼儀正しいし、茶道にも興味あるし。舞とは大違い」
「またお稽古お願いします」
「そうね。しましょう」
舞のお母さんは本当に優しく、ご飯も美味しい。別に自分の家のことも普通に好きだが、それとは別にこの家の子になりたいと何度も思ったことがある。
「明日のお昼ご飯前くらいなら時間とれるから、お稽古しよっか」




