⑤ ちょっとした出会いがありました。
一部残酷なシーンがあります。動物の殺傷等の表現が苦手な方はお気を付けください。
宿で編入試験勉強に励み、試験を無事終えて合否判定が出るまでの数日を利用し、ギルドで簡単な薬草採取の依頼を受けて、王都近郊の森を下見がてら散策します。
ちょっと足を踏み入れた場所で薬草を採っていると、近くの茂みから出てきたホーンラビットと目があいました。
お互い見つめ合う事しばし・・・「可愛い…」と呟きかけたその時、左後方から飛んできた矢が見事にそれを仕留めました。
まあ気配はだいぶ前から感じていました。冒険者だから獲物を狩るのが仕事です。
「さすがジル、ちゃんと仕留めてるぜ。やあ、君大丈夫?」と現れた三人組。一番ヤンチャそうな赤髪の男の人がニコニコと声をかけてきます。
あとの二人、弓矢を背負った黒髪の人は無表情、一番背の高い焦げ茶の髪の人は苦笑い?しています。
年齢は三人とも私と同じくらい、十代半ばでしょうか、冒険者風の出で立ちです。
「ありがとうございました。大丈夫です。(なにが?と自分に突っ込みをいれておきます)」
「うん、気を付けてね。」と言って獲物を回収してさらに奥へ進んでいきました。
その後移動して薬草採取に勤しんでいたら、今度はレッドボアが飛び出してきました。文字通りの猪突猛進です。
「ウインドカッター」
一発で首から切り落とします。両足を拘束魔法で縛り近くの大きな木の枝からぶら下げます。下に土魔法で大きな穴を堀り血抜きをします。
終わったら頭部もほり込んで穴を埋めます。獲物を空間魔法で収納します。牙も素材になりますが、生首を収納するのはちょっと…考えてしまいます。ドラゴンとかの貴重素材なら、ためらう事もないでしょうが。
慣れない森なので早めに引き上げてギルドに向かいます。
素材の買い取りをしてもらい一休みしていると、あの三人組が帰ってきました。
「アル、今日はありがとうな。また付き合ってくれよ。」
「ああ、休みの日に予定がなければな。二人とも活動は休みの日だけだろ?」
「そのつもりだよ。お前と違って真面目にやらないと卒業があやしくなる。」
「ジェフの言う通り俺も就職頑張らないといけないし。あくまで冒険者は修行の一環だよ。」
聞こえてきた会話、赤髪のジェフ君、焦げ茶髪のアル君、黒髪のジル君、どうやら三人はどこかの学園に通っているようです。
何気ない視線に気づいたのか、ふと視線を変えたアル君と目が合いました。
咄嗟の事に思わず手を軽く上げて挨拶すると、彼もニコッと手をあげてくれました。
そして、それに気づかずカウンターに向かう二人の後を追っていきました。




