㉓ プロポーズされました。
一刻も早く事を運んでしまいたい俺は、まず領地の父に手紙を送った。
今回のドラゴン討伐で功績をあげ、子爵に叙爵される予定の冒険者の一人娘と結婚することを認めてほしいと。
両親には以前から彼女と付き合っている事は伝えてある。
今まで反対はされていないのだから、今更問題は無いと思いたい。
そして彼女のご両親に関しても、先日挨拶した時には好印象だった…と思いたい。
とりあえず、彼女に求婚して返事を貰わなければ安心できない。
いや、正式に婚約しなければ何時横槍が入ってもおかしくない。
ここで俺は頭を抱える。
プロポーズなんてしたことがない。だが一生に一度の事だ。
焦って台無しには出来ない。
しかし少ない友の中にアドバイスをくれる様な奴はいない。
皆、経験が無いのだ。何度も経験してる奴がいたとして、そんな奴のアドバイスを聞ける訳がない。
どうしたものか。
両親は仲はいいが政略結婚だ。プロポーズなんて必要なかっただろう。
シャルル殿下は一応結婚の申し込みはするだろうが、人に教えないだろうし
自分の事ならともかく他人の事となると、まともな答えをくれる気がしない。不安しかない。
アンナのご両親は大恋愛と言っても良いのだろうが、求婚する相手の親に聞くなんてあり得ないだろう。
アクセサリーを贈りながら? いや、好みがあるか。
花を贈る? 在り来り過ぎる。
レストランでサプライズ?...万が一、振られた時、立ち直れない。
花咲く公園・・・今は咲いている花も少ない。
ああ~~~駄目だ。うまくプロポーズできる自信が無い。
悩んで眠れない夜を過ごした俺は、とりあえず彼女の顔を見ようと学園に向かっていた。
早朝のエントランスは朝食に向かう学生がちらほら見える。
食堂の入り口付近に目を向けた俺は、一瞬固まった。
アンナに向かい合って話しているのは、三年のフォード侯爵家嫡男ジルベスターじゃないか。
アンナの元へ駆け寄り向かい合った男を睨みつけた。
「何をしている!!」
「これは、アルフレッド様。卒業されたあなたが何故ここに?」
「お前には関係ない。何をしているのかと聞いている!」
「そのままお言葉をお返ししますよ。」
「・・・」
「…リリアンナ嬢に交際を申し込んでいたのですよ。」
「彼女は俺と付き合っている。周知の事実だが!」
「お付き合いされているだけでしょ?ならば、まだ誰にでもお付き合いを申し込む権利はありますよ。違いますか?」
と言いながら困惑顔のアンナに問いかける。
カッとなって頭に血が上る。気が付くとアンナの前に跪き、
彼女の手を取っていた。
「リリアンナ、愛してる。一生大事にすると誓うから、俺と結婚してくれ。」
見上げれば、彼女が息を飲み目を潤ませた。
「…はい。よろこんで。」
「ありがとう。」
彼女の手の甲にそっと口づける。
そっと立ち上がり並び立った彼女の肩を引き寄せる。
「そういうことだ。お引き取り願おう。」
その時、初めて周りがざわざわ騒がしくなっていた事に気が付いた。
本日夕方頃、残り2話を投稿予定です。




