㉒ 外野が騒がしくなりました
お目通し頂きありがとうございます。
ジークが帰国して間を置かず、私の周りが騒がしくなってきました。私は目立つ事を仕出かした覚えは無いのですが、討伐で活躍した両親がプラチナとゴールドの冒険者で、今回の功績で子爵位を拝命するらしいという噂が広がっているようです。
噂が噂を呼び、どうやらあの二人は十数年前に他国で行方知れずになった例の聖女様方ではないかと囁かれ始めました。
今回の叙爵の件はどうやら王太子から強い要望があっての事らしい。王家の信頼に値するほどの実力者である事は間違いないのではないか等、噂は広がるばかりです。
聖女の力も、王家との繋がりも貴族にしてみれば魅力的で是非手に入れたくなります。色々身辺を調べたら一人娘が王都の学園に通っている事が発覚。
王都に滞在している両親に宛てた釣書が山のように届き始めました。それはもう、下はこの国で正式な婚約可能な12歳から上は上限無く・・・
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そんな話を聞いて非常に慌てた男が一人。王太子のもとを訪ねてきました。
「リリアンナの父親に子爵位を与えるという噂は本当なのですか。」
「ああ。あの家族は、どれだけランクの高い冒険者だとは言え、平民に過ぎないからな。爵位を与えるのには今回の功績は丁度良い機会になった。他国の元貴族とはいえ今は平民、貴族との結婚はいくら相手方が納得しても、叶うものでは無いのではないか?」
「・・・」
「これでお前も、もう一歩踏み出せるだろ?」
「何か下心がありそうですね?」
「可愛い婚約者候補様の願いを叶えただけだ。」
「信じろと?」「私は別に止めても痛くも痒くもないぞ?」
「まあ、裏があっても俺としてはありがたい。とりあえずは感謝しときます…今のところはね。」
「疑り深い奴は嫌われるぞ。私を疑っている暇など無いのではないか?
今回の叙爵打診の話し合いの場にいた者の中には、伯爵家よりも立場の強い者も少なくは無かった。
皆が皆、元聖女殿に興味があるとは言えないが、力は有るに越したことは無い、
と思うのは権力者の常であるからなぁ。」
「知りたい事の答えは頂いたので帰ります。色々お気遣い頂き感謝します。
出来ましたらもう少し秘密裏に事を進めて頂きたかったですが・・・」
「今回の出来事は、国を挙げての一大事だったのだ。そうはいかなかったよ。」
「・・・一瞬でも時間が惜しい。これで御前失礼いたします。」




