⑲ ジークの秘密
あれからベティに事情を聴いたジーク様。幼い頃のあやふやな記憶しかなく、はっきりした事は分からなかったらしい。
まあ両親がシアン国の勇者パーティーでした、なんて事になったら、誰かが詐欺罪になる。まあ両親が他界して証明は出来ないから、どうこうしようもないけど。
何かと慌ただしく過ごした初めての学園生活も、もうすぐ一年。
本来なら卒業して領地へ戻られる予定だったアルは、進学して王都に留まる事にしたそうです。
「父上もまだまだ現役だし、王都でしか学べないこともある。領地は辺境だから往来もままならないしね。まあ進学といっても、研究とか、現場実習とか、専門講義等で自分が納得したら修了できるから。テッドが中等科を卒業するまでは一緒にいるよ。」
「テッド様もお喜びでしょ。」
「ああ。”どうせ僕の事はついででしょ。”って言ってたけどね。」
学年末休暇を利用して帰省します。馬車に乗り途中の町で一泊。
久しぶりの実家です。たった一年なのに色々と報告することが多すぎます。
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アンナが帰省するのを見送って数日。
ジークを呼び出した。
「アルフレッド様から話なんて心当たりないけど。」
「いや、有りすぎだろ。リリィの事しかない。」
「最近、会話もしてないよ。」「そこが問題だ。何故だ?」
「興味なくなったから…」「逆だろ。深入りするのを避けてる、違うか?」「・・・」
「ああ、さすが番犬殿は鋭い。感心するよ、よく観てる。」
「認めるんだな。どうして手を引いた。」
「会って間もなく彼女が聖女様たちの息女だと確信したよ。母の面影があるし妹にも似てる。。魔力も多い。シアン語も堪能だ。」
「母の面影?、妹に似てる?」
「ああ、僕の母は彼女の妹だからね。僕らは血の繫がった従姉弟にあたる。」
「!!!そうなのか?」「ああ」
「なら、なおさら何故本人に確かめようとしなかったんだ?」
「母は彼女の母を妬んでる。筆頭聖女だった事や第二王子の婚約者だった事。好きになった男と一緒になれた事…。」
「第二王子って、ジークの父親だろ。結局結婚出来たんだろ。」
「お互い好きで一緒になったわけじゃないからな。彼女の家族が帰国しても面白くないだろ。」
「それだけか?」「ああ。それだけだよ。とりあえず、僕は従姉弟に会えて満足してる。」
「そういう事にしておくよ。彼女には俺からは何も言わない」
「ああ。ありがとう。君を好きになれそうだよ。従姉弟殿をよろしく頼むよ。」
「ああ。任せてくれ。今日は呼び出して悪かった。」
「いや、僕も胸の痞えがとれてすっきりしたよ。」




