⑫ お祝いランチに出かけます。
悩んだものの結局、自分の気に入っている動きやすいワンピース。
クリーム色のグラデーションカラーが気に入っている。飾り気が少ないからチョーカーを合わせてみたけど・・・
ん~まあいいか。髪は両脇を編み込みで纏めて後ろに垂らしておく。お化粧も軽く薄色リップを塗るくらい。
ちょっと早く着きすぎたのか、彼が見当たらないのでベンチに腰を下ろす。
間を置かずに「君、一人?」と、知らない男性に声を掛けられた。
二十歳くらいかなあ、と見上げたら
「俺の彼女に何か用?」と聞き慣れた声がしました。
『彼女って言った?えっ、聞き間違い?』
ビックリ顔で振り向いた私に、ニコニコ顔で彼が言います。
「待たせてゴメンね。知ってる人?」
ブンブン頭を振って否定の意を示します。
「人の彼女に気安く声を掛けないでくれる?」
凄んで睨めつけられた男の人は「彼氏連れって知らなかったから」
と片手を挙げて去っていきました。
「彼女って・・・」
「ああ、ごめんね。友達って言ったら『じゃあ僕も友達から』とか、次に見かけた時に声掛けてきたりするでしょ?体よく追い払ったつもりだけど迷惑だった?」
「なるほど・・・そういう事ですか。ありがとうございました。」
「噓も方便ってね。深く考えないで。じゃあ行こうか」
差し出された手を取って立ち上がります。
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市井にそれなりに詳しいジェフに女の子が好きそうな店を聞いた次の日
珍しくジルベスターに学食に誘われた。
「昨日、ジェフがいやにニヤつきながら『面白い話、聞きたくねぇ?』って言うからどんな話しかと思ったら…」
「そんなに覗きこむな。おまえまでニヤつくな。」
「相手は誰だよ。この前、好みの子と出会ったばかりだろ。ジェフに聞いてもそれは本人に聞けって言われて・・・ってまさか、今入ってきたのその彼女じゃん。」
「ああ、生徒会とかで暫く忙しかったけど、先週ワイバーン討伐に行った時にちょっとな。おいジロジロ見るなよ。(減る…)」
「いやいや、『ちょっと』でデートの約束か。」
「そりゃ早い者勝ちだろ。」
「やっぱり毒キノコ食ったな…」「ンなわけあるか!」・・・
「なんかあの女子集団、こっちチラチラ見ながら楽しそうだな。まあ、アルの噂でもしてるんだろうけど。」
「いや、おまえがいるのが珍しいんだろ」
「俺は珍獣か!」
あの日、風魔法を纏い、日の光に透けて琥珀にも見える薄茶の髪をなびかせて
颯爽とワイバーンに詰め寄る姿、戦の女神だと言われても信じてしまう。
あれだけ魅力的な彼女、ほかの奴らが目をつける前に手を打つに決まってる。
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