第25話 新・闘技場水上ステージ
「1-Ⅲ、アシェル・アルクトゥーガです!!
趣味は魔術の研究と、妹たちと星を見ること!好きな魔術は治癒と付与です!」
放課後部室棟。
赤髪蒼目のイケメンボイスが古臭い部室に不似合いに響いた。
アシェル初の部活だ。
僕、ニーナ、ルリアン、アニア先輩揃って新入部員を迎える。
ちなみに、アシェルが魔法に対してイマイチな反応をしていたため、全員が魔法使いであることは伏せている。
「……よろしく……アシェルくん。私はアニア……。何かあったら頼って……。」
「わっ!!私は……ル、ルリアン!!えっと、エトワールです!!よろしくおねがいします!!」
個性たっぷりの自己紹介。
ルリアンはイケメンで明るいアシェルにだいぶ萎縮しているようだ。
「2人ともよろしく!!」
ニコッ!!という擬音がピッタリな爽やかな笑顔で返すアシェル。その仕草についにルリアンがアニア先輩の背中に隠れた。
「ハイドロラッシュの人手が足りないというのでトウヤに誘われて来ました!!あ、魔術は火魔術以外なら4級以下なら全て詠唱破棄で使えます!!」
「……は?」
「うぇ!?」
驚愕する2人。
……そらそうだ。こいつこのエクス学園はおろか世界有数の超絶天才だからな。
これで付与魔術は無詠唱って知ったらどんな顔するのやら。
「……トウヤくん。すんごいの連れて来た………ね……。」
「はい、まかせてくださいって言ったじゃないですか。」
珍しく驚きを顔に出すアニア先輩。
初見のアニメで推しキャラが死んだ時以来だな。
「……とにかく、アシェルくん。来てくれてありがとう……。おかげで優勝が見えてきたよ。」
魔法研究部は部員も全部活の中で最少。
部費も当然なく、ほとんど使われなくなった旧部室棟の小さな部屋を使っている。
だからこそこのハイドロラッシュには負けられない理由がある。
「ところで、ハイドロラッシュは練習とか出来るの?」
ニーナが腕と足を組み、その豊かな胸(偽)を強調した抜群の姿勢で質問をする。
「……実戦は出来ない。ステージの設営が大変らしい……から。」
「……だけど……ステージを見ることなら出来る……戦場を知ってから練習しよう……。」
***
「うわぁ!!すごいですねこのステージ!!」
先輩の提案に従い我ら5人、部室を出て、今年から設立された競技場に向かった。
数千人が収容可能な観客席に半径数100メートルはあろう超巨大なグラウンド。
そして、その中央には一面に水が張られたプールがあり、土魔術で作られた足場が点在している。
「ハイドロラッシュって水上でやるのか。」
「そうよ。水上で限られた足場で競うから仮に相手の水魔術を避けても落ちれば一発アウトなの。」
こんな大ステージで僕は競技するのか。
「1日目はこの"新競技場"2日目はいつも使ってる大グラウンドでやるわ。」
「エクス学園の体育祭はものすごい……観客が来るの。OB……OG…保護者…来年の受験者……総勢1万人ってところ……去年もすごかった。」
「そんなに来るんですか!?」
「わ………わぁ…………。」
絶望するルリアン。
アニア先輩によると体育祭の注目度はえげつないらしい。マジかよ。こんな中僕はリレー……いや、ルレーのアンカーを務めなきゃいけないのか……‼︎
「大丈夫!!みんな、僕がついてる。絶対優勝しよう!!」
「えぇ、私も詠唱破棄なら多少使える。私たちなら勝てるわよ。」
不敵に笑うアシェルとニーナ。こいつらの自信マジで羨ましい……。
***
「じゃ、また明日ね!!」
「ばいばい……。」
「ま、またな……。」
その後、アシェルの水魔術講座で部活が終わり帰路に着いた。
アシェル、ルリアン、アニア先輩は実家通学なので校門まで見送り3人は夕焼けに消えていった。
僕とニーナはそのまま学内の寮へ向かっていた。この僕が女子と何度も帰ることになるとは。異世界様々だな。
「はぁ……今日はほんといろいろあったな。」
ノンデリ生徒会、種目決め、じゃじゃ馬付与魔術、大注目競技場。
肝心の魔王候補捜索の手がかりは今日も獲得できず。
「なに終わったような気をしているのよ。これから勉強よ?」
「へ?」
「あんたが私に頼んだんでしょ?あんな気持ち悪い儀式までして。」
気持ち悪いって……土下座のことか。
「き、今日は疲れたからまた明日……。」
「そんなんだから成績悪いのよ、私明日ナディア達と遊ぶから今日済ますわよ!!」
「はい……お願いします。」




