第23話 聖エクス学園体育祭概要
「はいはい〜みんな〜注目!!生徒会執行部が体育祭の説明を行います!!」
初手アルコ。元気いっぱい、どこから来るんだあの元気と自信は。
ざわめく教室は一瞬で静かになる。
いや、静かになったといってもその熱気はおさまっていない。
好きなアニメを待つ子供のように、皆、待ち受ける体育祭に胸を膨らませている。
「あの、ちょっと良いですか?」
その中、本当に胸を膨らませている女子生徒が静寂を破る。
ニーナだ。
「はい!!なんでもどうぞ!!」
「体育祭の種目決めってこの時間で決めてしまうのですか?」
「いいえ!!このあとお話ししますが、種目決めの期限は今週まで!!つまり今日含めてあと3日あります!!」
随分と聞きたがりだな。そんなに気になるのか?いや、ニーナのことだからまたなんかせこいこと考えてるんだろ。
「では、他に質問がなければ説明を始めます。」
説明はディノが担当するらしい。
彼はいろいろとアルコに言いたそうな顔をしている。説明後また荒れるぞ……。
「体育祭は2日間開催です。1日目と2日目で異なる競技を行い、3学年計24クラスを8つのチームにわけて競います。」
ディノの説明に合わせて黒板にアルコが図を書く。
意外とわかりやすいな。
「チームは赤、青、黄、黒、白、緑、橙、紫の8色、各学年1クラスが一色を担当し、同じ色のクラスがチームとなります。」
へぇ、まんま日本だな。ここまでは。
「競技は個人競技と団体競技、個人競技は1人最低1つ、団体競技は全員参加です。」
……来た、個人競技。
そう、この選択が重要だ。
なるべく注目度の低い地味な競技を選び、やり過ごす。
「ではまず!!1日目のメインイベント!!ハイドロラッシュについて説明します!!」
「へ?」
ん?今なんて……
「ご存じの通り、ハイドロラッシュは今年度よりエクス学園体育祭に追加されたスポーツ!!学部対抗で水上で魔術を撃ち合い、1番ポイントの高いチームが勝ち!!」
「おぉ!!これめっちゃ楽しみなんよな!!」
「ニーナこれ出るんでしょ!?」
「頑張れよアシェル!!」
はぁ!?メインイベント!?てっきり競技の一つ程度にしか思ってなかったそんなに注目度高いのこれ!?
「それにそれに〜なんと!!上位チームの得点はそのままチームの人の色に加算されます!!!」
「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
「………。」
や、やばい。これめっちゃ重要なやつや。
湧き上がる教室と酷く対照的に僕の緊張は臨界点に近づく。
脳裏には過去の数々のやらかしーーもとい黒歴史が湧き上がり、大を限界まで我慢する姿勢で僕は必死に"スキル共感性羞恥"を抑えていた。
「そして2日目は"全員参加"!!クラス対抗ルレー!!」
「おお!!」
「全員参加かぁ………」
「轢き殺してやる……」
「私、足遅いんだよねぇ…」
ルレー……異世界版のリレー。
よかった。こっちは全員参加か。なら一人当たりの責任も軽いし普通に走れば良いな。
「しかも!!このクラス対抗ルレーは"付与魔術の使用可!!足が遅い人に、逆にチームのエースに好きな人に魔術を使っても自由!!」
付与魔術………。
……確か身体や物を強化出来る魔術だよな。これなら得意なやつに頼んでうまい具合に戦犯から逃れられる。
「だだぁし!!」
バン!っと教卓を叩くアルコ。
「注意事項が一つあります!!」
注意事項?なんか嫌な予感が……
「走順は変更不可!!出席番号順に走ってもらいます!!」
あ、終わっ………
「つまり、このクラスなら出席番号1番のアシェルくんがスタートで40番のトウヤくんがアンカーですね!!」




