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第三話

更新致しました!

よろしくお願いいたします!

「やぁ、君が尾西仁恵(おにしじんけい)君かな?」

がやがやしていた教室が静まり返る。

それもその筈。

何故なら、今この教室に男女共に人気のある二枚目の先輩、沢野幸弘(さわのゆきひろ)先輩が

訪れたのだから。

「はい、そうです」

「そうか。いきなりすまないが、今から付き合ってもらえるかい?」

「はい、問題ないです」

「ありがとう。ついてきてくれ」

クラスメイトの視線を浴びながら歩く沢野先輩の背後についていく。

自動販売機の前につくと、足を止めた。

「奢るよ。好きな物をどうぞ」

「ありがとうございます」

天然水をいただいた。

先輩はブラックコーヒーだ。

再び歩き出し、屋上へと連れられた。

先輩の隣へ腰を下ろす。

「端的に言うが、実は昨日俺は君がランニングしている姿を見た。

俺もランニングしている最中でね、偶然君を見たんだ」

先輩は勉強も運動もこなせる上に性格の良い二枚目な方だ。

先輩の俊足はご自身の日頃の努力の賜物だろう。

「君の速さに驚いたよ。俺に匹敵するくらいの者が現れるなんて。そこでだ」

先輩は両手を僕の肩に置いた。

「俺と勝負してほしい。ランニングでね」

「はい、差し支えありません」

「ありがとう。すまないな、いきなり。とても嬉しかったんだ。俺と渡り合える者がいる事に」

「先輩って非の打ちどころがない方ですからね」

「周りの外聞ではそう言われているようだが、俺には不要だ」

ご自身の評価を鼻にかけない。

謙虚な姿勢も先輩の魅力の一つだろう。

「差し支えなければ、今日の放課後に構わないかな?」

「はい、大丈夫です」

「感謝する。では、楽しみにしている。ところで、まだ時間はあるかい?可能なら、まだ尾西君と

話をしたい」

「わかりました」

「ありがとう。尾西君は昔からランニングを続けているのか?」

「はい、小学生の頃から」

「おぉ、中々長いな。君の走りを見て、俺は感銘極まった。相当努力したのがうかがえる」

「先輩こそ、日頃から勉強も運動を均衡を取りながら努力されているから、今のコンピテンシーが

あるのだと存じます」

「はっはっは!嬉しい事を言ってくれるじゃないか!」

爽やかに笑う。

初めて話したが、こんなに気持ちいいの人なんだな。

「君は凄い子だよ。俺は人に勝負を挑むなんて事は今までなかった。

しかし、君を見てから、そうせずにはいられなかった。

俺も君もお互い努力しているから、天の神様が俺たちをめぐり合わせてくれんだろう」

「気になったのですが、先輩に匹敵する人は僕以外にいると思います」

「愚痴っぽくなってしまうが、よろしいか?」

「はい」

「今まで、俺に挑戦してきた人たちはたくさんいた。中には確かに実力のある人もいた。

しかし、その人たちに共通しているのが、意趣返しで俺に挑戦している事だ」

「意趣返し?なにの意趣返しですか?」

「嫉妬さ。俺の周りに女子生徒が集まる事が気に食わない者達が、俺に買って

人気を得ようという魂胆で挑んでくる人ばかりだった。俺はそういうのが嫌だった」

コーヒーを飲みながら、悲し気に語る。

「しかし」

僕を見る。

「君を見て、俺は感じた。ただ純粋に努力して、見返りを求めずに努力して、

俺に匹敵する者がここにいたと。これオポチュニティとして、挑戦したいと」

なんて真面目な人なんだろう。

先輩はテレビや本で見る、己の能力に鼻にかけて優越感を味わうような方ではなく、

ただ努力が好きで、日頃から努めているのだろう。

人気なのも諾える。

「今日の勝負、楽しみにしている」

各々、各自の教室に戻り、一日の授業を終えると、グランドに向かう。

僕と先輩の勝負の話を聞き及んだ人たちが観戦にたくさん来ていた。

「待っていたぞ、尾西君」

「お待たせいたしました」

お互いに念入りにストレッチをする。

済ませると、スタート地点に並んだ。

「先に断らせてもらう。最初から最後まで全力で頼む」

まさか、それを頼まれるとは。

少し、退嬰したが男と男の勝負に手を抜くのは確かに聊爾だ。

(お父さん、僕久しぶりにやるよ)

亡き父に告げる。

「よーい」

審判の教師の言葉の直後、互いに集中する。

ホイッスルが鳴ったら、僕は全てを解放する勢いで走った。

「なんだありゃ!?」

「うそ!?沢野君が遅れてる!」

「かなり差があるぞ!?」

すぐに勝負はついた。僕の勝ちだ。

遅れてやってきた先輩は唖然とした表情で僕を見ている。

周囲も同じで、静寂になった。

「じんちゃん!凄かったよ!」

そんな雰囲気を壊すような明るい声がした。

「天音さん」

「すっこくかっこよかった!流石だねじんちゃん!皆もそう思うでしょ?!」

「俺も今みたいに走りたいから鍛えてよ!」

「まさか沢野先輩に勝てちゃうなんてすごいじゃん!」

「走ってる姿に惚れた…♡」

「わが校の誇りだ!」

正に鶴の一声だ。

天音さんに皆大きく同調している。

「尾西君。見事だったよ」

握手を求められて、それに応じる。

「ありがとうございます」

「君と走れてよかった。一つ頼んでも構わないか?」

「はい、どうぞ」

「俺と友達になってくれ」

「はい、大丈夫です」

「ありがとう。では、これから君を仁恵君と呼ぶよ」

「かしこまりました」

「じんちゃん!良かったじゃん!」

背中をばしばし叩いてくる。(勿論痛くない)

「仁恵君、今日ラーメンでも食べに行かないか?」

「はい!喜んで!」

「先輩~私も行きたいです」

「あぁ、構わない」

「ありがとうございます!じんちゃん!よしなに!」

「では、今からおすすめの店に案内しよう」

三人で並んで歩く。

今日は良い日になった。

ありがとうござました!

引き続きよろしくお願い致します!

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