第7話 Yobase一行、エルフらしき人間とデスゲームの考察を始める。
「お前何者だ。なぜ人の食料を盗んで食べている」
「あなた人間なんですか。なんでエルフの服着てるんですか」
峰未雨と田芽助はエルフの恰好をした人間に理由を追及した。
「足りない」
「「え。」」
「パンとカレーじゃちょっと足りなかっただけ」
彼女にとって元プレイヤーに渡された食料では足りなかったらしい。
「でもあなたもう担々麺全部食べてますよね」
「これ好き。コンビニでよく買ってたから」
彼女は大食いだった。ゲームマスターが多めにきちんと3食分入れていたが、彼女はそれでは満足しなかった。
一旦落ち着いたらしく峰未雨は彼女を正座させ、話を聞いていた。
「はじめまして、六衛田芽助です」
「私は峯未雨。あなた名前は。あとまずなんでここに入れたの」
「鯱千。なんで入れたのってエレミル王国は井戸にNPCを閉じ込めてるって有名な話じゃん。入り方も簡単だし。まあどうせ死んだらやばい的な感じだからここにいれば安静にできるし。まさか自分たちだけだと思った?」
峰未雨は図星を突かれ内心ムカッとした。
「国家運営とかにはあんまり興味なかったってだけ」
「それがこのDESSQのメインコンテンツじゃないの。なんでやってたん。」「それは私の勝手。君さ態度でかくない。今の状況分かってる?人の食料盗んだんだから反省するのが普通じゃないの」
「あの、この井戸の中には他にも人がいるんですか」
「人はいないけど、エルフがいるよ。奥の部屋にいる」「まさかあんた」
「うん。エルフが高原の辺りを少数で移動してて後ろにいた魔法が使えなさそうなエルフを攫った。そんで、井戸の中に入って服を盗んだ」
峰未雨は考えたことも無かったので驚いた。
「なんで。どうやって」
鯱千は峰未雨の質問に面倒くさそうに答えた。
「えー情報料無しで言いたくないなあ。もうゲームは始まってるんだよ」
「スキルを持っているんですか」
「おお、君はスキル持ってるの」
「持ってないです」
「なーんだ。じゃあこれで話は終わり。食料を取ったお詫びにエルフと話させてあげる。これでどう」
突如、峰未雨は少しの間、呪われる効果が付与されている剣を鯱千に向けた。
「駄目だ。エルフを攫った理由を言え」
「こわ。君強キャラだね。levelいくつ」
「6」
「へー高え。おけ、エルフを攫った理由について話すよ。それは元NPCのAIプレイヤーがどこにいるか聞くためさ。対面しても無理ゲーだからね。詳しいことは奥のエルフに聞きなよ。彼女は私にもあんま話さなかったけどね。まあ結局は明日の6時になったら分かると思うよ」
「一つだけ聞かせて。今元NPCのプレイヤーはいるの。squiからの次のメールの内容はその時から元NPCのプレイヤーが降りてくるってことじゃないの」
峰未雨の推測に彼女は理解を示した。
「分かってるね。そう今はいないよ」
「そうか。それなら朝まではお前以外に敵はいないな。安心した。ステータスを洗いざらい見せてもらおう」
「げ、君やっぱ怖い」
彼女のステータスを確認しようとしているとYobaseが戻ってきた。
level3
「人の個人スキル欄だけは見れないみたいだな。同じプレイヤーも警戒する必要があるのか」
彼女のステータスを確認しようとしているとYobaseが戻ってきた。
「お前らも寝れなかったん・・あなた誰」
「こいつは鯱千。Yobaseさんの食料勝手に盗んでた。お前はまず謝れ」
「ごめんなさい、Yobaseさん」
Yobaseは自分の坦々麺が食べられている事に気づき落胆した。
「坦々麺が無くなってる。俺のガソリンが」
「すいません。」うわあまじか。君もだったか。
「待ってください。目的地はドゴスぺラ王国ですよね。彼女がいれば安全に王国までたどり着きます。鯱千さん、私たちと一緒に行動するのはどうですか。食料は僕のものをあげます」
「いいのか。お前神じゃん」
こいつチョロそうだな。
次はこいつから合法的に食い物とれるぞお。
「これでひとまずドゴスペラ王国には着きそうですね」
「いやこういうやつは信用できない。エルフの話を聞いてから判断しよう」
Yobaseが冷静になったのか重い口を開いた。
「なあ。少し俺と話をしないか。お前らは、奥のエルフから話を聞いてきてくれ」
「わ、分かりました。」
「分かった」
他の二人は彼が怒っていると思い、奥のエルフがいるという部屋に向かった。鯱千は坦々麺をとった事で何かされると思い臨戦態勢に入った。
「やめておけ。俺はさっきの峰未雨より強い。なあ、お前さっきからなんか隠してないか?」
「え。」
「さっき田芽助たちと話をした内容を教えろ」
それからいつの間にか、鯱千はYobaseと同盟を結ぶ事になっていた。
「NPCは次のメールの後、多分夜に出てくるって流れだろ」
YobaseはできればNPCがプレイヤーとなってサーバーに降りてくる時間は遅くなってほしいと考えていた。
「なんだよ、お前も分かる側だったか。何時までかは分かる?」
「24時くらいじゃないのか」
「私らの間じゃあ22時前ってことになっている。今夜何もなかったんだから開始は大体19時くらいじゃないかな」
「またメールの話か。俺は参加させてもらえないのか」
「このチームは男が来てもつまんないよ」
「そうか」
squiからのメールが来た後、勘の鋭い者たちはメールにて今まで所属していたチームでやりとりをしていた。
それによりクロシス族長が率いているエルフの位置などを共有していた。一方、峯未雨と田芽助は、井戸の奥の部屋でエルフの話を聞いていた。
「よかった。服は着てたのね」
「何たる屈辱。だが我らは必ず先程の竜のような圧倒的な力で貴様らを葬る」
田芽助は自分の部屋の毛布を渡した。
「峯未雨さん鎖は外しましょう。エレミル王国がNPCをここに閉じ込めていたのが事実であれば、恨まれるのは当然です」
「はああ。こいつのlevel私と同じだよ。あんた死ぬよ」
「彼女も推しになってしまったんです」
田芽助は鎖を外した。
「あの、寒いんでこれも着てください。食料もあげます」
「また?」
「あ、ありがとう」
田芽助はオタクだった。
推しを見つけると身銭を削る癖があった。
結局話は聞けなかったので峯未雨は彼に腹が立った。
「おー。お前ら話は聞けたか」
「こいつが逃がした」
「「どういうこと」」
田芽助と峯未雨が二人に怒られ、その日は終わった。
ライムゴナールドレインの洞窟
元人魚のラグリーグ・レトファリックは誰とも一緒にはいなかった。とりあえずモンスター除けのテントを洞窟の隅に貼り中で寝られずにいた。息を潜めてもモンスターが定期的に襲ってきていたからだ。
やめろ、まじでやめてくれ。
推奨Level 25のこの洞窟は、モンスターも潰しあっていた。