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第72話 未来の彼女のために覚悟が刃になるとき、血潮見式部の獅子川に対する思い

ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。ゲームマスターの思惑によって全ての仮NPCはダンジョンカジノでの命を賭けたスキルの能力勝負が始まった。レトファリックが勝利した頃、峰未雨はネガティブな月伏廃人とタッグを組んで対戦相手を殺さなければならなかった。月伏廃人は不運のカードに認められ強力なスキルを手に入れ、その後月伏は峰未雨に攻撃をして力を示した。峰未雨は見違えた強さを持った月伏に対して負けたら彼女になることを条件に勝負を再び行い峰未雨が負けた。月伏は約束について聞こうと思い頭の中で必死に言葉を選んでいた。

「峰未雨さん約束まもってくれるのかな。ぐへへ。」


峰未雨との勝負に勝ち呪いの剣を手放した途端彼女の性格を考えて質問しなかったことを聞いてしまった。


「きしょいけどあんたが最強だったら許せるかな。」


言葉を吐き捨て峰未雨は月伏廃人の顔を真正面から見た。


「不細工だけど愛嬌はありそうだし素材は悪くないと思うんだけどなあ。」


峰未雨の言葉に月伏は少し嬉しくなった。


「へへへ。女の子から初めて顔褒められちゃった。でも相変わらず手厳しい。僕が不細工なのは周知の事実みたいだな。ああやっぱり僕は生まれてこない方がよかったのかな。」


峰未雨はネガティブに徐々に落ち込んでいる月伏を見て思わず力いっぱい鼓舞した


「そんな人に見た目言われたからって気に病むことないでしょ。対戦相手に勝たないとダンジョンカジノのルール上どうなるのか分からないし。切り替え、切り替え。ちゃんと髪型整えたり肌綺麗にしたりするだけでかっこいいって言われるかもしれないよ。大丈夫だって。さて今対戦相手の情報を探らないといけないんじゃない。」


月伏をフォローしたのち峰未雨は白い時計から対戦相手情報の画面を目の前に移した。


「対戦相手はええと、血潮見と式部って人みたい。名前からして両方男かな。強い気がする。」


峰未雨が見せてくれた画面を見て月伏はあることに気づいた。


「うげげ。この人達血潮見も式部って人も第2サーバーなんとかPARADOXの電脳城、雲上貝ビルヲたった5人で制圧したうちの二人です。ニュース番組DESSQ World Reportで流れてました。僕なんかとは違って凄い人たちですよ。」


峰未雨は月伏の話を聞きダンジョンカジノに来る前鯱千や田芽助、レトファリックらとニュースを見ながら喋ったことを思い出した。


「そうだ思い出した。じゃあこの人たちスペードの10を言い当てた獅子川宙炊の仲間ってことか。うわーまじか。じゃあこの勝負、死線だ。油断できないね。」


峰未雨は対戦相手の力量を想像し心臓がばくばく鳴った。


「月伏いくよ。早く血潮見と式部と戦いたい。」


月伏は峰未雨に連れてかれるように後を追った。


「怖い怖い戦いたくない。峰未雨さん待ってくださいよー。勝負するのは危険ですって。」


その頃血潮見と式部はダンジョンカジノ第一ステージ川辺エリアをさまよっていた。


「血潮見。俺らの実力だったら対戦相手の峰未雨っていう女と月伏廃人っていういかにも弱そうな陰キャの男なら勝てるんじゃねえか。なんでそんなに必死にスキルを探すんだ。筋肉と魔力俺らの力があれば余裕だろ。」


血潮見は焦ってスキル探しに注力していた。式部の言葉を聞いて血潮見は喝を入れた。


「駄目だ。今の僕らじゃ獅子川リーダーの足手まといになる。早く強いスキルを見つけて対戦相手に圧倒的な勝利をつかみ取らないといけないんだ。」


式部は血潮見の話を聞いて仕方なくついていく事にした。


「確かに獅子川は強え。圧倒的に持っているスキルが時神と雷神だからな。しかもそれらの操作が抜群にうまい。そうかお前の言いたいことが分かったよ。このダンジョンカジノで完膚なきまでの勝利が欲しいんだな。自分に自信をつけるために。」


血潮見は式部の察する態度を見て自分の本心を打ち明けた。


「そうだお前の勘はあってる。俺は漫画家になりたくて何年も努力したけど無理だった。このDESSQのデスゲームで獅子川とかと出会ってやっと自信がついてきたんだ。そう易々と失ってたまるかって思ってるんだ。」


式部は彼の言葉が胸に刺さり協力しようと心に決めた。


「いいぜお前の青さ。今のお前の植物と俺の骨筋肉に合うスキルを探さなくちゃな。」


それから30分間味方の背中を守るように血潮見と式部は能力を連打しありとあらゆるモンスターを倒しスキルを集めていた。水を生かした戦闘を川辺で行いそこからコウモリなどがいる洞窟、対戦相手のいる可能性の高い森林の敵を蹂躙していった。

血潮見と式部はヤスデやねずみ、熊やコウモリを倒していきスキルの選別を行っていった。現在のスキルの所持上限が2つまでだからだった。


「これだ。マーダーコウモリのスキル紅蓮華咲ぐれんげさきこれと植物を組み合わせれば相手の動きを封じて血の花弁の斬撃を与えられる。よしこれだ。これならいける。」


血潮見の喜ぶ姿をみて他人が笑顔でもなんとも思わない筋肉狂の式部も内心嬉しくなっていた。


「俺も食虫植物ガードリペリオのこのスキルがあれば獅子川の隣に並べる強さが手に入る。まだ最大限の力を発揮したければ俺が本気で体を鍛えまくるしかないけどな。」


血潮見と式部がモンスターと戦っている間に峰未雨と月伏は必死に対戦相手を探していた。


「時間制限とかないよね。戦わずに勝負が終わったら最悪。死線を一つでも逃したら絶対許さないんだから。」


月伏は必死に峰未雨の後をつけていた。


「戦いたくない、絶対負ける。峰未雨さんやっぱり隠れて隙を見つけて行動するとかはどうでしょうか。」


峰未雨は弱音を吐く仲間に忠告した。


「あのさー二度と弱音を吐かないで。あたしの彼氏になるんだとしたらね。」


月伏は彼女の言葉に赤面ししばらく口を噤んで黙ることにした。


次の瞬間血の斬撃が飛んできて峰未雨は瞬時に回避した。それぞれの思いを背負った彼らは顔を合わせた。


血潮見と式部は敵の顔を見て思わず苦い笑みをこぼした。


「峰未雨ってお前か女。想像以上に強そうじゃねえか。剣の構えと目、動きから分かる。只者じゃねえな。」


式部も血潮見の言葉に加えてもう一人の男の体格強さを見て感想を述べた。


「男の方が弱そうだな。貧弱な肉体、貧弱そうな目、もってる剣は普通じゃなさそうだが総合的にみてCランクってとこか。女に守ってもらうだけの男に勝ちなんてあるのか。」


峰未雨は血潮見と式部を見て相手の強さを図っていた。


「さすが5人でビル占拠しただけはあって私の力量を図るのはうまいみたいだね。でもただ片方の力量が図れるだけじゃ強さとは呼ばないんじゃない。」


彼女は言葉を吐き捨てながら血潮見のそばに近づき剣を胸に刺そうとした。


「紅蓮華咲。」


血潮見のスキルで峰未雨の頭部に血の花弁から生み出された花の斬撃を峰未雨は瞬時に躱した。しかし血潮見は彼女の動きを読み次の一手を打ち出していた。水を吸収し植物の能力は成長していた。


「再生吸収、食虫植物の植物網カレルメデゥーサ


植物の能力で峰未雨の足と手と顔を束縛し動きを完全に封じ身動きを封じていた。

峰未雨咄嗟に持っていた小さいナイフで植物を切ろうとしたが式部が能力で相手を抑えた。


「スケルトンアーム、全身骨筋肉。」


式部の腕が峰未雨の腹を襲い、小さなナイフはその場に落ちた。

一瞬にして峰未雨チームは絶対絶命の状態になった。月伏廃人がそれをただ傍観するはずもなく呪いの剣を持ち構えを取った。


「その方は僕の未来の彼女になる人、あなたたちに傷つけられるわけにはいかない。彼女を傷つける者は僕一人で潰す。」


そういうと呪いの剣で圧倒的な速度で血潮見に近づいた。しかし式部の動きは軍人レベルのもので彼の動きを封じ込めた。


蔓骨甲まんこっこう。おお、さっきの言葉を訂正させてもらおう。お前の動きそしてその忌々しい剣の危険度、峰未雨より上だと判断できる。Aランクだな。」


食虫植物ガードリペリオのスキル、蔓骨甲。蔓と骨を融合させた鎧を纏う。防御力が大幅上昇し、物理攻撃を受けるたびにトゲが反撃する。

しかし式部の予測に反し月伏廃人の剣は突然伸び骨となった式部の鍛え抜かれた剛腕に刺しこまれた。


「僕は自分の弱さを捨てるために気の許せる仲間を彼女を手に入れるためにあなたたちに勝たないといけないんだ。」


月伏の目が漢の目になり式部と血潮見もそれに呼応するように彼を警戒した。

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