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第71話 月伏廃人と不運のカード、彼女が欲しい弱者が手にした呪いの力

ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。ゲームマスターの思惑によって全ての仮NPCはダンジョンカジノでの命を賭けたスキルの能力勝負が始まった。レトファリックが勝利した頃、峰未雨はダンジョンカジノでともに戦う相棒ネガティブコンプレックスマン、月伏廃人と出会う。月伏廃人はゲームバランスを覆す謎の固有能力を持っていた。不運のカードから面白い人間だと認められ能力をもらい、月伏は峰未雨に男なら誰でも望むあるお願いをする。

不運のカードは月伏廃人の顔面を陰で覆うように現れ目配せをした。


「君面白いね。そのゲームシステムをも覆すネガティブさこの世界に新しい光を見つけた気分だ。君に僕の力を少しだけあげるよ。」


幽霊、不運のカードは姿を消し月伏の前に画面が現れた。


[おめでとうございます。固有スキル、幽霊の心振動を獲得されました。使用の際にはNon Player Clown FONUMEES SKILL〔メロ・ゴスペラードの2〕もしくは〔ゴスペラードの2〕を唱えて下さい。トランプカードではクラブの2です。このカードの意味は不運です。]


月伏は賞賛する言葉を見て自分の弱さに見合っていないと判断した。


「うそだ。ありえないこんなぼ、僕が、弱い僕が力を手にできるなんてありえない。どうせデメリットの多い武器が与えられてその効果で死んじゃうんだ。世界は残酷だ。僕みたいな弱者の思考になって逃げまわってるような人間に周ってくるのはいつも意味のない重責と最悪な現場でのパワハラだけなんだ。ぐふ自分を慕ってくれ売る仲間に囲まれたい人生だった。」


画面の文章を読んでいると月伏廃人の目の前に剣が現れた。


「これは呪いの剣だ。持ったら死んじゃうんだ。」


彼の言葉を聞き不運のカードは話を始めた。


「これはゴスペラード、僕の能力を宿した剣だ。見た目は禍々しいが実際持つと生命力か運か体力か運動神経か、持っている力を失う代わりに相手に剣を差すと自分を蝕んだ力の10倍相手から吸い取れる。その場で勝負を決めることができる。しかもおそらく君が使えばもっと強くなると僕は思う。」


月伏廃人はその剣を持つことに反対だった。


「そんな自分の力を失っちゃうんじゃ本当に呪いの能力じゃないか。僕も全て失っちゃう。あれ失っちゃう。」


不運のカードは月伏の言葉を聞きほくそ笑み自分の予想を述べ始めた。


「そう君は失うものは何もない。そもそも何も持ってない。生命力も運も体力も運動

神経もコミュ力もない。もしくは危機管理能力が高すぎて剣から力を奪われない。もし奪われるとしたらなんだと思う。」


月伏は幽不運のカードゴスペラードの言葉に反応し虚言だと感じた。


「嘘だ。絶対何かを奪われる。僕から危険で強い力の何かが。」


不運のカードは無理やり月伏に剣を触れさせた。


「ものは試しだ。このまま呪いを全身で浴びてみろ。」


月伏の手に呪いの剣が触れた。汗が体から流れておりそれを手で拭おうとしたが辞め剣を手にした。


「ここれは、う、嬉しい。この剣があれば僕はどんな敵でも一瞬で殺せる気がする。どんな障害をも乗り越えられる気がする。そして金を手に入れ仲間も金で買い取り幸せな人生を送ることができる気がする。うーんできるかな。」


不運のカード、幽霊は笑った。


「ちょっとポジティブになった。なるほどアイデンティティである性格が剣に奪われてポジティブな感情が残ったのか。」


不運のカードは月伏の言葉を聞いてご機嫌になった。


「面白い。その剣の説明は少しだけどもうしたしあとは戦いで力を見出すといいよ。」


月伏廃人は不運のカードゴスペラードに感謝を述べた。


「おう、ありがとよ幽霊さん。この力で俺は人生で初めての彼女を手にするんだあああ。」


彼の言葉を聞いて不運のカードは苦笑いした。


「別人かと思ってたけど本人の性格がまだ残ってるみたいだな。ちょっと笑える。」


言葉を吐き捨て不運のカードは消えた。


時間が少し経ち峰未雨が機械兵を倒して月伏の前まで戻ってきた。


「よう。調子はどう。こっちは新しいスキルが弱くて今のものと交換する気になれなくてさ。なんかいい案あったら教えてくれない。まあでも君弱いし性格もネガティブだし私と一緒に生き残れている事に感謝した方がいいけどね。試合終わったらアイスでもおごってよ。」


峰未雨の言葉に月伏は今の自分の力を試そうと剣を構えた。


「今の僕ならあなたにも勝てる気がする。」


剣が彼を動かすように俊敏に峰未雨の背後に周ると剣を峰未雨の首に差し向けた。

月伏廃人は剣を振り切り首の前で寸止めした。峰未雨はその場に膝をついて息を荒げていた。


「嘘でしょ。 何今の速度。しかも今までのネガティブなだけのあんたじゃこんな力ありえない。強すぎる。」


月伏は剣を下ろしたと同時に力を失ったのか剣が手からすり落ちた。


「……あれ? 俺……勝ったのか? いや、そんな弱くて人の悪口ばっか考えて周りのいいところが全部嫌で、でも対抗する手段が何もなかった馬鹿な……僕なんて……」


峰未雨は突然前と同じネガティブな月伏廃人に戻ったのを見てある推測が立った。


「もしかして強い自分に憑依する系かな。漫画とかアニメで見たことのあるタイプの人だ。すごいな。ねえもっかいもっかい戦おうよ。次なら君に対応できると思うからさ。ねー頼むよ。」


峰未雨の言葉を聞きながらも月伏廃人はまた剣を持つか悩んでいた。


「僕は所詮一発屋、一回峰未雨さんに勝てたからって次もうまくいく保証なんてない。僕ごときの弱いままの雑魚なんて次で完全に見切られてお陀仏だ。」


しかし月伏は頭を回し自分が今力を最大限発揮すればできることを考えた。


「そうだ、今僕の力が本当に峰未雨さんを上回っているなら自分の願いが叶うのではぐふふ。」


月伏は恐る恐る峰未雨さんに質問した。


「も、も、も、もしですよもし僕が峰未雨さんに勝ったら彼女になってくれませんか。ぐふふ。」


峰未雨は月伏廃人からの思いもよらないプロポーズに驚いていた。


「きも。言い方きもいなあ。月伏廃人君。しかもなんで私、私のどこが好きになったの。」


月伏は峰未雨の突然の質問に言葉を噤んだ。


「え、え、ええと、ぼ、僕はあなたの事こんな僕にも優しくしてくれるいい人だなって、えへへ。」


「咄嗟に言葉出てこなかったね。もしかしてただ彼女が欲しかっただけ。はあ本当にきもいな。でも答えないと今ここで勝負してくれないみたいだし。いいよ。じゃあ私と私たちの対戦相手を全員倒したら付き合ってあげようかな。」


峰未雨の言葉に月伏は内心飛び上がるほど嬉しくなっていた。


「きもいですよね。相変わらず辛辣。思った事はすぐに言いますね。峰未雨さん。でも。ぐへへ。これからの勝負に勝てば峰未雨さんと付き合える。初めての彼女。

う、嬉しい。」


峰未雨は彼の言葉を聞いて少し嫌悪感を抱いたが勝負できるのなら割り切った。


「君生理的にギリOKって感じだよね。よしじゃあもう一回勝負しよっか。タイジットカーフ、クロウメハカアマル。」


そういうと峰未雨は能力も使用して構えを取った。対する月伏廃人も剣を向け彼の全身に薄暗い闇がまとわりつき、思わず笑みが浮かび上がる。


「よっしゃ。今の俺ならだれが相手でも敵じゃねえ。峰未雨。この勝負にもダンジョンカジノの勝負にも勝って必ず俺の彼女にしてみせるからなあああああ。」


峰未雨は月伏廃人の性格の変化っぷりに内心ビビっていた。


「性格変わりすぎて別人じゃん。ていうか言い方はきもいままなんだね。クロウメハカアマル最新防御形態」


そのまま峰未雨と月伏の勝負が始まった。


峰未雨は前回負けた反省を生かし、タイジットカーフが虎になり彼の一挙手一投足を耳で察知、クロウメハカアマルの防御形態で月伏の剣の攻撃も避け当たっても致命傷にならないよう動いていた。


「僕が妬んで人の行動を観察していたのもプラス。彼女がいなかったのもプラスだ。クロウメハカアマルで体を袴で防御しても僕の攻撃は顔にも目にもとどく。」


しかし、月伏廃人の方が相手の出方を読み行動できていた。

月伏廃人の剣先が峰未雨の目に向けて一直線に振り下ろされた。


その後峯未雨は咄嗟に身をひるがえし回避したと思いきや目を避けたこと、また反射で目を閉じてしまった間に月伏が攻撃を太ももの裏のくるぶしに向けた。月伏廃人の鋭い呪いの剣がくるぶしの装甲を剥ぎ生身の峰未雨に当たった。


「負けた。生気を吸い取られる月伏君剣持った状態やっぱり強いね。仲間として頼もしいけど、田芽助を思い出してなんか悔しい。悔しいしむかつく。」


月伏は峰未雨の言葉に二言はあるか聞いてみたかったが腹が立っていそうだったため辞めた。

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