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第68話 RozESLYの覚悟、ツキレニーの月下の舞

ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった話。ゲームマスターの思惑によって全ての仮NPCはダンジョンカジノでのスキルの能力勝負が始まった。RozESLYとバノムロッジの対戦相手となったレトファリック、ツキレニーは序盤からカードのスキルを使うも彼らの連携に苦しめられる。サーペントスリープで身動きが取れなくなるがツキレニーは妖精の加護を使い体を動かせるようになる。そしてレトファリックチームはバノムロッジと単純な魔法の撃ち合いにもつれこんだ。



バノムロッジとレトファリックはその場に立ち向かい合ってお互いに威嚇し合っていた。


「では、魔法を放とうか。ファイアタートル。」


火でできた亀の化身が現れ火魔法を口から放った。周囲は森なので次々と燃え広がった。


「火魔法をこれ以上打てばここ一帯は燃えるな。」


バノムロッジに答えるようにレトファリックも魔法を準備した。


「火魔法か、僕のレッサーパトラで生み出した妖精やツキレニーさんに何か問題が起こるといけない。消火しなければ。ウォーターベール。」


レトファリックは水魔法で対抗しようとしたが、バノムロッジの火の亀は火魔法を永続的に発射していたため、近くに燃え広がった火はあまり消えなかった。


「ウォーターベールじゃだめか。ならばウォーターフェアリー。妖精たちよ。力を貸してくれ。」


レトファリックが重複のカード、レッサーパトラが生み出した妖精の魔力を使い継続的に水魔法を妖精から発射させた。近くの森の火は次々と消えていった。


「やるな。素人の動きじゃない。どこかで魔法を使う機会があって特訓をしたものの動きだ。相手どるには少々厳しいな。そうだ私も魔法で妖精を生み出そう。エレメンタル・コンバージェンス。」


雷妖精を3体ほど出現させた。バノムロッジは雷妖精たちの力を最大限に引き出し、雷と風の魔力を融合させる。すると、巨大な水が現れ、レトファリックへと突進した。


「うわ。雷か。危険だ。攻撃を受けたらひとたまりもない。流石元最多国統治者、バノムロッジ。その伝説の数々耳にしている。」


レトファリックは再び木の陰を利用しバノムロッジの攻撃から身をかわしていた。


「コルームウェル。」


レトファリックは身を隠す陰魔法を使いながらバノムロッジから身を潜めた。


「身を隠していいのか。君の相棒であり女であるツキレニーの居場所を私が関知しているとは思わないのか。ファイアアーチャー。ここ一帯を燃やして君の大事な人の居場所暴いて勝たせてもらう。」


レトファリックはバノムロッジの言葉を聞き少しツキレニーの心配をしたが、彼女は大丈夫だと彼は考えた。

今、ESLYさんは動けないほどダメージを受けている。事実上の二対一。大丈夫ツキレニーさんならきっと。

しかしRozESLYはツキレニーを捕縛し行動を封じていた。


「バノムロッジ様、ツキレニーを見つけました。ここで倒します。」


ツキレニーの危機にレトファリックは反応した。


「ツキレニーさん逃げてくださ…いや今助けます。くそ、そんな身動きが取れないほど体に傷が入ったっていうのにバノムロッジのために動くとは。なんて忠義の厚さとタフさ。」


しかしツキレニーはレトファリックに自分の事は大丈夫だと叫んで伝えた。


「ご心配には及びませーん、レトファリックさん。私に任せてください。」


バノムロッジは彼女の言葉をきいて炎の矢を放とうと準備した。


「火の弓で貴様を射抜こうツキレニー。自分の身を大切にしていないからか私たちチームを甘く見ているのかは分からないが私の前からそう易々と逃げ切れると思うなよ。ファイアアーチャー。」


ツキレニーの言動に対して、RozESLYも自分の実力を低くみられたことに怒りを露わにした。


「ふざけるな。ツキレニー。貴様私がダメージを負っているから自分でも逃げられると思っているな。私ならまだしもバノムロッジのレベルを低く見積もるのは納得がいかない。心底腹が立つ。」


RozESLYは怒りを伝え終えると手にもった剣で彼女を傷つけた。


しかし、彼女は光となって消えた。ESLYは人間を倒した実感が得られていなかった。


「殺した感覚がないどういうことだ。」


RozESLYの言葉に答えるように光となったツキレニーの口から真相を告げられた。


「月下の舞。自分と同じ人間を生み出し相手を錯乱させるスキル。先ほどの月光閃光のスキルを持っていた狼のモンスターからもらったもう一つの能力です。どうですか私は神秘的だと思います。」


ツキレニーの衝撃のスキルの能力を知ったバノムロッジは感心した。


「わはは。なるほど、スキルの新しい能力か。やるな。貴様はレトファリックのおまけではないということだな。」


RozESLYはツキレニーが光となって消えていく様子をこの目で見ていたため驚嘆した。


「なんだとツキレニー貴様、私をここまで翻弄させられたのは久しぶりだ。純粋に悔しい。」


レトファリックはツキレニーがスキルを使って逃げられた事を知り安堵した。


「よかった。ツキレニーさんは無事逃げられた。しかもスキルで自分の身を守れる。これでバノムロッジと本気で戦える。」


レトファリックは目の前のバノムロッジ相手の前に再び姿を現した。


「レトファリック、貴様やっと私の魔法に屈する覚悟ができたか。」


レトファリックはバノムロッジに自分なりの覚悟を打ち明けた。


「僕はまだ弱い。カードのスキルもうまく扱えない時がある。それでもバノムロッジ、あなたには負けない。今日あなたを超える。」


レトファリックは魔法の準備をした。


「汝の意向、汝の意向。ひとたび、またたび、もののけ、くささびのごとく。光、闇、炎、氷、水、草、魔法を扱えば天が動く。結界結界。見える魔法の極みを顕現せよ。コンポジットベールバラーズストーム。」


レトファリック5属性の複合魔法の嵐を放った。大きな嵐が地中から出現し近くの森や枝、バノムロッジを包んで渦となった。バノムロッジは得意の防御魔法を使用した。


「エターナルガーディアン。しまった、簡単に抑え込める魔法ではないな。凄まじい嵐と5属性の攻撃だ。このままでは私は負けてしまうかもしれない。」


バノムロッジは抑えきれない敵の攻撃に思わず弱音を吐いた。

しかしバノムロッジは新しい能力を試した。


「統治の威圧。インペリアルドミネーション。」


レトファリックは精神作用魔法に驚いた。


「それは僕らには効かないはずだ。ミンディアフィールドがあるから。一体何のつもりだ。」


バノムロッジは能力の拡張について話始めた。


「先ほどのツキレニーのスキルを見せつけられて、もしや能力には拡張があるのではないかと思ってね。試してみようと考えた。統治の威圧、王の布告。」


バノムロッジは能力を拡張し、精神作用魔法を防御魔法にブラッシュアップさせた。

レトファリックは彼の考察が上手くいったことに驚いた。


「すごい。そんなこともできるとは。流石元最多国統治者。バノムロッジの伝説には様々なものがある。開発者が想定しなかったバグを見つけ尽くす。レベル1の初期装備でボスを倒す。統治した国を3日で売買システムごと変える。NPCの妻が100人いる。β版最強のバグ武器を生み出す。他にもたくさんある。本当にすごい人だ。」

レトファリックが話したバノムロッジの武勇伝を聞き、バノムロッジは上機嫌になった。


「まあ、いくつか私のしたこととして当てはまらないものもあるけど、大半は実際にしたな。国を改革するのが好きなんだ。もし私がこのDESSQのゲームにはまっていなかったら政治家になっていたかもしれないね。だがこの勝負には勝たせてもらう。」


レトファリックはバノムロッジの言葉に反応し答えた。


「いいえ。こちらから決着はつけさせてもらいます。喰らえ喰らえ、嚙み嚙み神々の頂へ。語られる物語の猛火となって敵を捕食せよ。デッドライオットタイガー。」


バノムロッジはレトファリックの猛攻に抵抗した。


「虎の魔法か面白い。こちらも本気でいかせてもらう。エルド・ペガサス=イグニス=トニトルス。」


火と雷魔法の複合魔法にペガサスの威光も利用した斬撃をレトファリックに浴びせた。レトファリックの攻撃と重なりぶつかり、結果レトファリックの虎が相手の馬を食らいバノムロッジを吞み込んだ。バノムロッジは防御魔法を使っていたが攻撃は貫通し彼の身体に届いた。バノムロッジはその場に倒れた。

同時にツキレニーもRozESLYに最大級の攻撃を当てていた。


「月下光大閃光。倒れてください。ESLYさん。」


しかしRozESLYはその場に倒れたが、また起き上がった。


「私はバノムロッジを王にする。」


彼女はその言葉を放つとレトファリックが裏側から攻撃した。


「ファイアユニコーン。」







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