第66話 ゲームマスターの相手、レトファリック、ツキレニーvsバノムロッジ、ESLY
ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。第1サーバー、第2サーバーへのゲームマスター緋戸出セルの生放送が終わりいよいよダンジョンカジノでの対戦カードが発表され、勝負が始まった。そのころ獅子川らはダンジョンカジノに行く前に血潮見の傷を治すためのヒーラーを探しLIZRIRUを見つけ回復してもらった。レトファリックとツキレニーは元最多国統治者バノムロッジらと勝負することになる。
酒を飲んだくれている元NPCのエルフはゲームマスター緋戸出セルの対戦相手に怪訝な表情を浮かべていた。
「ゲームマスター緋戸出セルのチームと対戦相手、興味深いが危機を感じるのは気のせいだろうか。」
大きな画面にはビッグニュースとしてこう書かれていた。
ゲームマスター緋戸出セルのチームメンバー、元バノムロッジクラン夏ラ音衣。対戦相手、リーベアレイル・マニーレック、ウェルジーナ・コフィレット。
「ゲームマスターが来るまで1位を保ち続けたリーベアレイル・マニーレックが緋戸出セルと対決か、どんなものになるやら。」
ダンジョンカジノ第1ステージ森林エリア
ウェルジーナ・コフィレットは泣いていた。
「ゔわーん。対戦相手がゲームマスターなんて最悪。絶対勝てないじゃん。」
「大丈夫です。コフィレットさん。相手がどんなに強くても僕が勝ちます」
ウェルジーナ・コフィレットは肩に触れていたマニーレックの手を離した。
「いくらマニーでも無理だって。相手がどんなにすごいスキルを持っていても勝てるなんて幻想だよ。」
マニーレックはカードのスキルを一つも持っていなかったためコフィレットの言葉が胸に刺さった。
「と、とにかく立ちましょう。カードのスキルがこの第3サーバーにあるかもしれないじゃないですか。」
マニーレックの言葉にコフィレットは小さく頷いた。
「た、確かに。」
マニーレックとコフィレットは立ち上がり、二人は森林を見つめスキルを探そうと足掻こうとしていた。
「ゲームマスターに見つからないように、この場からすぐに立ち去って逃げないといけないですね。森林の中にはモンスターも多い。可能性はあります。」
彼らの目には大きな恐怖と闘志が混在していた。
その頃レトファリック、ツキレニー。
第1ゲーム[友情ゲーム]が始まり、対戦相手の位置がマップに表示された。
「レトファリックさん、私に合うスキルのモンスターを探しましょう。見つかるといいんですけど。」
ツキレニーが少し心配そうに言った。
レトファリックはその言葉に頷きながら答えた。
「そうだね、でも焦らず慎重に行動しよう。まずはバノムロッジに会わないように、できるだけ人の少ない場所へ行くのがいいだろう。」
「確かに、あのクランのリーダーと戦うのは今は避けたいですね。」
ツキレニーがうなずきながら、マップ上に示された位置を確認した。
「まずはモンスターの出現ポイントをチェックして、私たちに有利なスキルを持っているモンスターを見つけよう。バノムロッジの動きも気になるけど、今は自分たちの戦力を強化することが最優先だ。」
レトファリックが周囲を警戒しながら言った。
ツキレニーは少し笑顔を見せた。
「うん、じゃあひとまず北に向かおう。モンスターも多そうだし。仲間と協力して強くなれば、どんな敵でも乗り越えられるはずだもんね。」
「了解した。」
レトファリックも自信を持って答え、二人は力強く進んで行った。
森林を二人で歩いているとモンスターを2匹見つけた。
一匹は妖精のような見た目をして浮遊していた。もう一匹は狼のモンスターのようだった。
「この2匹ともモンスターだね。」
2人の前に画面が表示された。
[モンスターと遭遇しました。ムーンウルフ、ピレフマナフェアリー。]
レトファリックはモンスターを見てあることに気づいた。
「人間同士の対戦がメインだからか、敵モンスターの力がスキルに比例して強くなるけれどそこまでの脅威じゃないね。ツキレニーさん、作戦通りいくよ。」
レトファリックはそういうとカードのスキルを使用した。
「レッサーパトラの3、レオリープ・カメレオンの7!エンシェントハット、風鉄剣、コールドボール、ホワイトボール。」
レトファリックの頭には魔力を増幅させる特殊な魔道具の帽子が被らされた。
「コールド・ブリザード。まずは凍結させて動きを封じよう。次はホワイトスパイク。これで相手に攻撃をしよう。ツキレニーさんは風鉄剣と魔法で相手に攻撃して。」
ホワイトスパイク。光の針を生み出し相手に突き刺し攻撃する技。ツキレニーはレトファリックの言葉に素直に応じた。
「はい。では頑張ります。ファイア・スイング。」
炎の魔法の塊を手で相手にボールを投げつけるように当てる技。これを狼モンスターのムーンウルフに浴びせた。狼はその場に倒れた。レトファリックは作戦が思った通り行き嬉しそうだった。
[スキル、月光閃光を獲得しました。]
「よしこのまま、もう一匹の妖精の方も…。」
その時に魔法が後方から飛んできた。
「ファイア・インフェルノ。」
森の向こう側から声が聞こえた。その声はゲームマスターと同じくよく聞いた支配者のものだった。
「まさか、バノムロッジ。」
バノムロッジとRozESLYが木陰から姿を現した。
「仕方がない。モルホデフタの3。妖精に寄生しよう。」
レトファリックはもう一匹の妖精ピレフマナフェアリーに寄生した。
「ツキレニーさんひとまず逃げよう。」
ツキレニーさんとレトファリックは速やかにそこから逃げようとした。
しかし、バノムロッジがいとも容易く逃がすはずがなかった。
「統治の威圧、インペリアルドミネーション。これで君たちは私から逃げられない。」
バノムロッジのスキル統治の威圧、相手を精神攻撃をして自分への攻撃意志をなくさせると同時に動けなくなる技。
「君がレトファリックか。カードを3枚も所持しているのは、明らかな強敵だ。だがしかし強いと女が寄ってきてつい浮かれてしまうよな。だからこうして私に揚げ足を取られる。女を守れない男が女をそばにおくんじゃない。」
レトファリックとツキレニーは身動きが取れなくなっていた。森の中、木陰に隠れるツキレニーと妖精。見つかるのは時間の問題だった。
「ツキレニーさん。僕を妖精を倒してスキルをゲットしてください。僕の推測が正しければこの妖精のスキルは今の現状を変えられると思います。」
木陰でレトファリックが寄生した妖精をツキレニーが剣で倒してスキルを入手した。
[スキル心の結界、ミンディアシールドを獲得しました。」
「スキル使用、ミンディアシールド。」
迫りくるバノムロッジとRozESLYの脅威から身を守るようにツキレニーはすぐにスキルを使用した。
するとツキレニーとレトファリックは身動きが取れるようになった。
「やっぱりそうだ。この妖精、僕の寄生する能力が聞かなくて動きを制御しづらかった。何か精神作用を妨害する能力があると思ったんだ。」
ツキレニーもレトファリックの役に立てたようで嬉しかった。
「やりましたね。これで相手から一方的な攻撃を受けることはなくなった。」
バノムロッジは彼らの活躍を見て思わず少し笑った。
「精神作用を無効化する能力か。面白いじゃないか。今のように死線をくぐり困難を乗り越えてきたのだな。中々強敵だな。RozESLY。私たちも本気で行こう。」
バノムロッジの言葉を聞いたRozESLYはスキルを使用する準備を取った。
「バノムロッジ様、準備は整いました。後は相手がこちらに姿を見せた時、スキルを使用いたします。」
レトファリックはRozESLYの言葉は聞こえなかったが相手が更なる厄介な攻撃を備えている事を悟り焦っていた。
「とりあえず場所を離さないと、カメレオンの7。レッサーパトラの3。ライトニングボール。エンシェントハット。」
レトファリックは再び魔法攻撃に移った。
「ボルトストライク。」
電気がバノムロッジとRozESLYを襲い、2人が電気で身動きがとれなくなっただろうとレトファリックは思った。しかし、バノムロッジは圧倒的な防御を敷いていた。
「エターナルガーディアン。防御のスキルはあらゆる場面で役に立つ。先ほど、固い亀を倒しておいて正解だった。」
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