第65話 level100の機械兵から血潮見を守る、ダンジョンカジノ開始
ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。ゲームマスターから第1サーバー、第2サーバーにいる者に生放送を始めた。ゲームマスター緋戸出セルはダンジョンカジノに挑戦しなければlevel100の機械兵と戦わなければならないと伝え人間、仮NPCの人達は慌てていた。発言を受けウェルジーナ、ドゴスペラ、アルグレット王国は仲間と指揮を高めていた。獅子川らは怪我を負っている血潮見のために回復魔法を扱える人を探していた。
第2サーバーVARMARD PARADOXアニープ都。
獅子川たちは、回復魔法を扱える人物をついに見つけた。
「時間がない、血潮見。傷を癒せる者がいた。こちらのLIZRIRUさんだ。」
瀬高と櫻木が走りまわったため、疲れていた。
「ふ。はあはあ。は、は、走り回ってよかったです。き、傷を治せる人が見つかって。」
「はあはあ。疲れちまいました、ええ。でもへえ、こりゃありがたい。ふう、すっかり息を吹き返しましたよっと。血潮見レタス殿、LIZRIRUさんのおかげで、まさに元通りってわけで。いやはや、お医者様でも草津の湯でも治せないって言いますが、これはもう名医もびっくりの腕前ですな!」
式部は誰よりも体力を消費したのにも関わらずバテていなかった。
「この程度でへとへとになっているようじゃ第3サーバーダンジョンカジノに行ってもやっていけないぞ。瀬高、櫻木。」
話をしている最中にもLIZRIRUが回復魔法を使って傷を癒してくれていた。
「ボーンアンドマッスルヒーリング。これを10分続けたら血潮見君の傷を完全に癒せるよ。」
しかし第3サーバーダンジョンカジノへの招待状が画面に映ってから時間がかなり経過しており、機械兵が登場するまで後残り2分だった。獅子川は現状を分析していた。
「8分だ。レベル100相手に8分耐えればダンジョンカジノに行ける。」
彼の言葉を聞き、瀬高、式部、櫻木は何とか血潮見を守ろうと意志を強く持った。
「バテてる場合じゃねえ。気合入れろ、お前ら血潮見を守るぞ。」
それから時間が過ぎて機械兵アムステルが仮NPCの人間の目の前に降りてきた。座標で指定して機械兵を配置しているようだった。
「ルーピルの10。セト・トルエドの10。」
彼の言葉で時間が静止した空間だったが相手はレベル100。圧倒的な力の抑圧量の差でレベル100の機械兵は動き出した。
「駄目だ。機械兵の敵が動き出す。さすがはレベル100。レベル差がありすぎると能力でも止められない。」
瀬高と式部、櫻木も能力を使って相手の動きを止めようとしていた。
瀬高がまず凍結弓を使用した。
「コ、コールドアーチャー。と、凍結攻撃ならと、止まるのでは。」
続いて式部が骨の腕の能力を使った。
「スケルトンアーム。機械兵でも殴りゃ傷が入って動けなくなるんじゃ。」
最後に櫻木が火の玉を生み出す力を行使した。
「フレイムボール! いやね、機械兵なんざ鉄のカタマリですがね、火がつきゃあさすがにアチチッとなるでしょう? そんでもって、エラーなんて出ちゃった日にゃあ、ピタッと止まるかもしれませんな!」
しかし彼らの全身全霊の攻撃でも機械兵の猛攻は止められなかった。
「くそ。もう少しの辛抱だ。耐えてダンジョンカジノに向かおう。」
瀬高は現状を把握して憂いていた。
「こ、こ、このままじゃ機械兵にやられてしまう。」
しかしそこで獅子川はあることが頭をよぎった。
「瀬高、EMP攻撃だ、ハッキングの用意をしろ。櫻木、スキルを準備しろ。式部、瀬高と櫻木を守れ。私は雷神のスキルで強力な電気を機械兵に浴びせる。」
式部がレベル100相手にかなり防御して頑張っていた。
「きつい。そろそろ俺の骨がもげちまう。」
瀬高はパソコンを操作してハッキングをすることに成功した。
「できました。周囲の機械兵、ハッキング完了です。エラーが起こりやすいように設定しました。」
瀬高が内部ハッキングを行い獅子川と櫻木はスキルを使用した。
「セト・トルエドの10。高周波に変換し、機械兵の電子部品に干渉させると機械は動かなくなる。」
「フレイムボール!燃え尽きて灰になれ。」
しかし機械兵は緊急時の対応もできていた。
「緊急。エラーが発生したためカメラを停止します。」
彼らが電磁パルス攻撃で何とかレベル100の機械兵の動きを止めている間にLIZRIRUから連絡が入った。
「回復できました。血潮見レタスさんの足の傷治りました。」
獅子川は皆に今回の戦いへの備えを訴えた。
「瀬高、血潮見、式部、櫻木、今回のダンジョンカジノはおそらく生き残るのが容易な戦いじゃない。気を引き締めていこう。他のクランの連携や予測不可能な状況が待ち受けている。最も重要なのは、協力と冷静さを保つことだ。それぞれが持つスキルを最大限に活かし、互いにカバーし合うことを忘れるな。全力で戦って、必ず生き残ろう。」
彼らは手元の画面に急いでクリックして次のサーバーへと向かった。スクリーンに映る新たなダンジョンの情報が瞬時に流れ込み、緊張感が一層高まる。彼らの心は、次に何が待ち受けているのかを計り知れぬ恐怖とともに、期待に満ちた興奮で高鳴っていた。それぞれが自分の役割を改めて思い出し、心の中で決意を固める。生き残るための戦いが今、まさに始まろうとしているのだ。
ダンジョンカジノ第1ステージ森林エリア
レトファリックはツキレニーと共に、森の中をさまよっていた。
レトファリックは目の前に現れた画面を見ていた。
[第1ステージでは2名で行動していただきます。]、2名かちょうどツキレニーさんと一緒でよかった。」
レトファリックの言葉にツキレニーも返事をした。
「いえいえ。私もレトファリックさんと一緒でよかったです。」
レトファリックとツキレニーは緊張がほぐれたのかお互い笑いあっているとsquiより連絡が入った。
[ダンジョンカジノ第1ステージ森林エリア、第1ゲーム[友情ゲーム]のルールを説明いたします。
まず各々2名で行動していただきます。そして相手の2名の仮NPCの人間と対決し、勝利した方が生き残ることができます。対戦カードを画面に表示いたしました。ご確認ください。]
レトファリックは画面を見て怖くなっていた。
「対戦相手、バノムロッジ、RozESLYだと、あのゲームマスターと戦った最多国統治者と戦うなんて。無理だ。勝てないかもしれない。」
squiはゲームの解説を続けた。
[10分に一度対戦相手の場所を互いに画面にてお知らせいたします。この第1ステージ森林エリアにはスキルを持ったモンスターが多数生息しています。モンスターを倒しスキルを入手しながら対戦相手を倒してください。 しかしながら第1ゲームではカードのスキルを除きスキルを3つ以上所持することはできません。くれぐれもご注意ください。チームは第2ステージに向かいます。以上でルール説明を終わります。]
レトファリックはツキレニーとスキル探しに出発した。
「ツキレニーさんスキルは持ってたりする。」
ツキレニーさんは青ざめた表情で立ちすくんでいた。
「何も、何も持ってないです。対戦相手があのバノムロッジなんて私ではどうしようもないです。足でまといでごめんなさい。」
レトファリックは彼女の背を叩いて、手を握りしめた。
「大丈夫。緊張しないで。二人でこの困難を乗り越えよう。」
「はい。あなたとなら頑張れる気がします。」
対戦相手のバノムロッジはRozESLYと森林を旅していた。
「ESLY。対戦相手が決まったぞ。カードのスキルを3つ所持しているレトファリック一行らしい。もう一人のツキレニーはおそらく女だろう。彼は優秀で強いからな。この女の方を狙えばレトファリックにも勝てると思うのだがどうだろう。」
ESLYはバノムロッジの提案に乗った。
「承知いたしました。バノムロッジ様、狙いはツキレニー。ゲームマスターのお気に入り、レトファリックをこの手で葬りましょう。」
ゲームの開始の合図はsquiから伝えられた。
「それではゲームを開始いたします。ゲームマスターより、この第1ステージでよいスキルが手に入るかどうかが鍵だ、精進してくれ、とのことです。それではダンジョンカジノ第1ステージ開始まで5、4。」
第1サーバーと第2サーバーにいる元NPCのエルフやドワーフ、プレイヤーがそれぞれ勝利しそうなチームにベットをしていた。酒を飲みながらゲームマスターら人間の対決を固唾をのんで見守っていた。
「レトファリックだろ、勝つのは。」
「いいやバノムロッジだね。ゲームの歴が違う。それと緋戸出セルの相手だけど面白い対戦カードだな。」
「ゲームマスター頑張れ。応援してる。」
画面を見ながら元NPCの者たちは騒いでいた。squiより号令が鳴った。
「3、2、1、ゼロ。」
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