第59話 レッサーパトラの3の活用法、魔法の極意
ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。国王ゼレラの生徒たちへの授業が終わりレトファリックの授業が始まった。国王ゼレラは選ばれし実力を持った生徒を育てるという方針だったが、レトファリックはある方法を使って魔力が少ない、魔法が上手に扱えない生徒たちにもいい魔法使いになってもらおうという思いで授業を始めた。万人が使える魔法の未来とは…。
レトファリックはカードのスキルを使用した。
「レッサー・パトラの3。」
レトファリックは自分も含めて10体に分身した。
「レオリープ・カメレオンの7。」
分身したレトファリックが魔道具に擬態した。魔法を放てるファイアボール、ウォーターロッド、コールドボール、ブラックボール、ホワイトボール、魔力の限界値を引き延ばす本のエンシェントナル、魔力がたまっているエンシェントハットを3つ重複したものを被っている。
「今から君たちに万人が使えるようになる魔法を教えよう。」
レトファリックは魔道具をすぐに装着せず自分の能力を見せた。
「手始めにこの帽子を被らずに魔法を使用したらどうなるか試してみる。ファイアブラスト。」
レトファリックの手の平には、マッチの火として使えそうな程度の火しか出なかっ
た。
「僕はこの通り、火魔法がほとんど使えない。氷魔法も使えない。君たちに教えられる立場じゃないかもしれない。」
生徒からは野次が飛んだ。
「そうだそうだ、レトファリックさんじゃ魔法の授業はできないんじゃないか。」
レトファリックは野次の言葉を聞いて反応して言葉を返した。
「そうだと思う。でも君も他の生徒も、使えない魔法があって苦しんでるんじゃないかなって僕は思う。国王ゼレラみたいにすべての魔法が扱える魔法使いの高みに昇れる資格を持った生徒はそういない。」
レトファリックの言葉に野次をしていた人も少し静かになった。しかし、数秒後先ほど野次をしたものが言葉を吐いた。
「で、でも、それが現実だ。生まれた時の魔力の送料で優秀か優秀じゃないか決まるんだ。」
レトファリックは彼の言葉を訂正した。
「違う。少しお金を出せば第2サーバーから届いた魔道具がこの国の市には売られていて、様々な魔法を使うための道具がここにはあるんだよ。その素晴らしさを君たちに見せよう。」
そういうと、レトファリックはエンシェントハットを3つ重ねて被ってファイアボールから魔法を出した。
「ファイアバード。」
すると被った帽子から魔力が伝わり、火の鳥が舞台の壇上に現れた。
「すごい、国王ゼレラの魅せた技がこんなにも簡単にできるなんて。」
「魔道具の存在は知っていたが、ここまで魔道具を使えこなせるなんて大魔法使いじゃないと不可能じゃないのか。」
レトファリックは独りの生徒の質問に答えた。
「そういい質問だ生徒くん。魔道具で魔力を得たからといって魔法を自在に扱えるわけではない。当然コツがいる。みんなにもすぐにコツを教える。」
レトファリックはエルフの生徒たちに向かって言った。
「僕の授業は誰一人として置いていかない。一人一人に向かって話すし分かるように教える。国王ゼレラのような授業についていかないと置いていかれる思いはさせない。」
レトファリックは言葉を付け足した。
「それと僕の授業では実習時間を多く設ける。魔法を使えるようになるには実践あるのみだからね。」
レトファリックは壇上から生徒に向かって話を始めた。
「水魔法と氷魔法が少し得意な君、ちょっとこっちに来て。」
レトファリックは先ほどの生徒にエンシェントハットを3枚かぶせた。
「火のイメージをするんだ。焚火をするように、線香花火に火をつけるように。さあやってみて。」
すると、その生徒は火の玉を生み出した。
「あれ、火の魔法が使える、なんで。水と氷しかできなかったのに。」
「お見事。ファイアボールとエンシェントハットのおかげかな。あとは君のイメージの力だ。じゃあ、火の玉を大きくしてみようか。もっと力を火に入れ込むといい。そう呼吸も意識して。」
そうして生徒は火の玉を大きくして生み出すことに成功した。
「よし。じゃあひとまず席に戻って。」
レトファリックはその生徒を席に座らせた。
「演習をする前に、ファイアバードを超える技を君たちに見せようと思う。」
レトファリックはそういうと、舞台の横から火魔法を繰り出した。
「ファイアホーク。ファイアユニコーン。」
彼は火の鷹、火のユニコーンを生み出した。
「うわあ。すげえ。火の鷹とユニコーンじゃないか。」
生徒からの評判はすごくよかった。
「コツは、火の玉を生み出した際の火の機微から、火の玉で絵の具で描くように丁寧に鷹の形にしていく。ユニコーンも同様に、馬とつのを火の玉を絵の具として描くとできるようになる。」
「レッサーパトラの3。カメレオンの7。」
分身の能力で400体に化けた後、エンシェントハットとファイアボールに擬態して無生物のアイテムは動けるのでそれをレトファリックは皆に配った。
「はい。じゃあ演習始め。」
生徒たちは演習を始めた。
水魔法と氷魔法が少し得意な生徒に向かって質問をした。
「さっきは授業に強力してくれてありがとう。名前は。」
「ダントです。」
レトファリックは魔法についてダントに聞いてみた。
「ダント君は、火の魔法を試してみてどうだった。ファイアバードはできそうかな。」
ダントはレトファリックは質問に答えた。
「火の魔法ができてすごく嬉しかったです。ファイアバードはまだできないです。」
彼の言葉を受けてレトファリックは火の魔法を教え始めた。
「まず火の玉は生み出せるよね。」
「はい。」
彼は火の玉を生み出したダントに言葉を続けた。
「火の玉から頭と右と左両方の羽を生み出す。こうやって火を3つ並べて。」
「できました。」
3つの火が鳥の羽と頭に合うように灯った。
「羽の火の玉、二つをなだらかにしていくそして頭の火の玉から2つをつなげて。」
「なるほど。」
ダントは黙々とファイアバードの作り方を教えてもらった。
「できたね。じゃああとは放つだけだ。」
ダントは嬉しそうにできた火の鳥を飛ばした。
「できました。ファイアバード。」
その後も他の生徒に火魔法の極意を教えていた。
「火のイメージ。コンロのイメージ。花火のイメージ。そうできたね。」
「はい。ありがとうございます。」
演習が一通り終わりレトファリックは、氷魔法の授業を教え始めた。
「はい演習終わり。じゃあ次は氷魔法を教えます。」
エンシェントハットを被ったレトファリックは氷を目の前に生み出した。
「氷で必要なものは機微の操作と質量攻撃。氷を多量に自在に扱えると、相手の動きを封じるのに得意になれる。私は君たちに新しい氷魔法の着地点を見せようと思う。」
そういうと、レトファリックはレッサーパトラの3と、レオリープ・カメレオンの7を使用してエンシェントハットを2つ増やした。
「コールドロバ、コールドイヌ、コールドネコ、コールドオンドリ。」
氷と氷をぶつけて傷をつけ、4体の動物を氷で生み出した。
「太鼓をロバに持たせて、ラッパを犬に持たせてブレーメンの音楽隊だ。音はならないがどうだ芸術品だとは思わないか。」
生徒たちはあまりの氷魔法の技術に驚嘆していた。
「氷魔法で芸術品を作れる人なんてほんとうにいるんだ。」
「すごすぎる。思いつくのもすごいし、実際に氷魔法を駆使して生み出せるのが驚き。」
レトファリックは照れたそぶりを見せた。
「照れます。氷魔法のコツは、質量攻撃なら地面から花を咲かせるように手を振って氷を生み出すこと。機微の操作なら地面を固定してまず氷の塊を生み出す。そしてそこに氷をぶつけて削っていく。削らずに地面から3Dプリンタみたく氷を平たく生み出し続けてもできる。僕レベルになるとそのままでもできたりするけど。」
レトファリックはコツを話終えたので演習のための準備を始めた。
「レッサーパトラの3。カメレオンの7。」
レトファリックは200体に分身し全てコールドボールに擬態した。コールドボールが生徒たちの元へと動いた。
「では、はい。演習始め。」




