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第40話 DESSQ世界の全貌と一人の犠牲、ツキレニー登場

ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。特別なビリヤード戦に勝利したレトファリックはゲームマスターの音声を聞いて今回のビリヤードゲームの命名を考える。また、何者かからのハッキングによって一名を犠牲にしなければならなくなり…。


[入力されたゲーム名はFONUMEES BIRIYARD。いまいちです。もう一度このゲームを命名して頂きます。]


鯱千と峯未雨はゲームマスターの夢を理解した。


「トランプを生み出したいって凄い大きな目標を掲げるね。」


「デスゲームなのは私らにそのアイデア探しに真剣に向き合ってもらうためかな。」


Yobaseはゲームマスターの願いに少し苛立っていた。


「じゃあ俺らはその新しい神ゲーをうみ出すためにデスゲームに巻き込まれたってことか。」


田芽助はゲームマスターの言葉に感動していた。


「タロットカードやトランプのようなゲームのこの世界に生み出す。ちょっと感動しました。」


「じゃあこのゲームの名前考えよう。」


鯱千らは今回のゲームについて話し合った。


「FONUMEESは付けた方がいいんじゃない。」


「途中からスキルをめっちゃ使ってた。ゲームボードも動いてたから。」


「FONUMEESと一番活躍したスキルを使おう。」


「それならモルホデフタを推します。ボードの判定を逆手に取るために必須でした。」

「Lenariyard。オートビット・レナリアからとった。」


「いいねそれ。」

ゲームボードの入力欄に[Lenariyard]と書いた。

すると、ダイヤの3マークが光り出した。

ダイヤの3に青い光る鉱石のようなものが埋め込まれ、ビリヤード台の画面が光り出した。その後比較的中心部分に、デジタルの画面のように文字が壁に書き込まれていった。


4人は3歩程後方に下がったが台座が上下に回転し始め事に驚きさらに後方に下がった。


「回転し始めた。」


「スキル画面と同じように振り出しに戻るのか?。」


回転していた台座が180度回転し止まった。


鯱千は気持ちが高揚していた。


「これは、カードの裏面に入ったという事か。」


「表の面のスキルを僕らしか入手していないのに。裏ステージなんてあまりにも早すぎる。」


「これがゲームマスターがデスゲームでやりたかった事かな。面白い。この情報は価値があるね。」


「あのよく見てください。台座の中心部分の上下に文字が書かれています。」


[伝達内容をお知らせいたします。現在の状況、死者数45320 残NPC数 54680 その内NPC転生数 7690

第一サーバーDESSQ□ ダイヤの3 始発のカード 達成 北極のカード 達成 クラブの7 幸運のカード 未達成 クラブの2 不運のカード 未達成 第二サーバーVARMARDPARADOX スペードの10、神々のカード〔第二サーバー〕達成率33% JOKER 全能のカード 未達成 第三サーバーDUNGEON CASINOハートの3 絶縁のカード未達成。]


「これって、どういう事。まだ、二日目の朝だよね。」


「あの時のエレミル王国内の人間はどれだけ見積もっても7000人のはず。カードが1枚分しか達成していないのに人が死にすぎている。」


「なんで第三サーバーまで開いてるの。しかもスペードの10が一つ以上は入手されているのに連絡がない。システムが故障してない。」


[s、s、squiです。追加報酬の条件を却下シタタメ、ゲームマスターの命に従って今から5人の中から1人犠牲になってもらいます。」


Yobaseはこの発言に納得いかなかった。


「なんで、どういうことだよ。」


田芽助と峰未雨も同じ気持ちだった。


「無理です。ゲームに勝ったのに誰か一人を犠牲にしなければいけないなんて。」


「おかしい。勝ったのにひどい仕打ちだ。」


鯱千が機械の異変に気が付いた。


「squiの連絡が途切れたり片言になったりおかしい。もしかしてハッキングされた。」

レトファリックは自分が犠牲になると名乗り出た。


「僕が犠牲になります。」


すると田芽助も自分が犠牲になると言い出し始めた。


「僕が犠牲になります。まだ弱いですし。Yobaseさんの責任とります。」


鯱千も犠牲の対象が自分になるべきだと主張し始めた。


「いやいや田芽助くんカードのスキル持ってる強いでしょ。主人公みたいに突っ走るあんたたちより脇役の私がいいでしょ。」


彼女らの言葉を聞いたがレトファリックは断固として犠牲になるのは自分だと主張した。


「いいえ。必ず僕が犠牲になります。」


[犠牲になるプレイヤー名を入力してください。]


レトファリックは自分の名前を入力した。

峯未雨がレトファリックに質問した。


「ねえ、レトファリック。なんで自分から犠牲になるなんて志願したんだ。」


レトファリックは正直に答えた。


「理由は傍から見ているとあなたがたYobaseさんを含めた4人の友情が素晴らしいと思ったので壊したくなかったからです。僕は洞窟を出た所で仲間になれたが楽しかった。人間のいいところ一杯教われてよかった。」


突如、レトファリックが、ライムゴナールドレイン洞窟で彼を救った謎の光によって再び転送された。


「レトファリックーー!」


鯱千、峯未雨、六衛田芽助からの別れを惜しむ叫びを聞きながらレトファリックは光の中へと入っていった。次の瞬間彼は平和に見える夢のような国に転送されていた。


「暖かい。これは、夢かな。」


「夢じゃねえぞ。お前もついてこい。」


彼は首輪をしており、手錠がかけられていた。


「まずお前が今までにした罪を裁いてもらう。そしたら俺たちのNPCとしてここで働いてもらうからな。」


[こんにちは。初めまして、私はskiqqu。スキックと呼んで。NPC レトファリック様。君は今日から正式にNPCだ。ここは、リバーライド・シャトール王国。戦闘魔法科学教師の国。新しいスキル等を習得しに様々なエルフの子供らが来る場所。魔法教師ランキングがあって1位が王様になっている。シャトール王国会議にて最も優れた教師が王様になる。]


「え、ここ学校だらけってことかよ。」


「メアリー、この風魔法は一点に集中させてから発散させるの。魔法制御序の書を確認して。」


「分かった。もっかいやる。」


ダークエルフの子供は、本を持って練習していた。少し遠くに城がいくつか見え、街の通りは賑わっていた。馬車の馬はおらず、熱と浮遊魔法で揺れがなく進んでいた。泡魔法か何かで全身を濡らしている者たちもいた。


「だが見た感じ。悪くないな。」


レトファリックはエルフの男に手錠をかけられたまま、教会のような見た目の白く立派な城に案内させられた。


彼は案内人とともにロイヤルな模様の赤い絨毯の上を歩きながら、水晶玉の前まで連行させられた。


「これは、貴様の行いを見る水晶玉だ。手をかざせ。貴様の罪を暴く。」


「聞いてくれ。僕は元々人魚でNPCだから人間さんみたくエルフをこき使った事はない。」


レトファリックは説得を試みたが結局水晶に手をかざした。

「本当だ。でもこれはひどい。人魚なのに泳ぎもせず缶詰になっていたとは。」


「う、うるさい。エルフに何もしていないからいいじゃないか。」


結局レトファリックは最も軽い刑になり、リバーライドシャトール王国の商店街にあるホテルの従業員になった。


「このメルノシーミルというホテルで今日から働いてもらう。いいな。」


ホテルの従業員をやる事に彼は乗り気じゃなかった。


「面倒くさい。なんで働かないといけないの。僕は元々NPCだからエルフに危害なんて加えてないのに。」


「不満か。もう一度裁いてもらうか。」


「うぐ。くそお。」


レトファリックが与えられた仕事を嫌がっているとメルノシーミルの支配人のミライエルが来た。


「あらまあかわいい男の子。元NPCの人魚さんなんですってね。今日すぐに働けというのはかわいそう。今日の昼まではお客様としてうちで休んでいきなさい。」


「まじか。やったー。」

レトファリックは、メルノシーミルの支配人から直々に鍵を渡されホテルの一室でくつろげることになった。

「いやー。災難続きだけど最後は幸運に恵まれた。」

勝手に人間と同じ扱いを受けていた彼にとって束の間の休息だった。彼は自分のスキルを調べ始めた。

「レオリープ・カメレオンの7、カードのスキルは没収されてる。」


しかし、マップにモンスターの位置が表示されていた。レオリープ・カメレオンに気に入られ承認を得た人間にはモンスターの位置を表示するらしい。


「え、しかも位置って此処。このホテルの中にカメレオンは要るってことか。」


しかも、ここがエルフの国ならもしかしたら洞窟で戦ったあいつもいるかもしれない。メルノシーミルというホテルの内装を見ていると、壺が気になった。


「やっぱりレオリープ・カメレオンなら壺になるんじゃないかな。」


その時だった。近くで壺の割れた音が聞こえた。


「すいません、すいません。」


ピンクの髪のホテルの従業員が近くの客に謝っているのをレトファリックは見た。

頭には白いシュシュをつけている。忙しそうに壺の割れた破片を回収しているのを見た彼は手伝う事にした。

「あ、ありがとうございます。」


「いいって。僕今日の昼からここで働くらしいから。よ、よろしくね。あなた名前は。」


「ツキレニー。」



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