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第23話 鯱千、峰未雨の女子会トーク、いざ地下遺跡へ

ゲームのNPCと人間であるプレイヤーの意識が入れ替わった世界の話。田芽助を連れ戻しに行く前峰鯱手製鯱性爆弾が生まれた経緯が語られる。峰未雨と鯱千の女子だけの話し合い。田芽助も北極のカードのスキルを駆使して戦う。

30分前、井戸の中の一室

「田芽助のせいでまたレトファリックさんの仕事が増える。」


「エルフ逃がしたのまだ根に持ってるんだー。」


「当然じゃない。今日の夜にプレイヤーが降りてくるの。とにかくあいつは邪魔。パーティから外してもいいかも。」


鯱千はレトファリックと田芽助の気持ちをなんとなく理解しており峰未雨の見方を変えようとしていた。


「峰未雨姉さん。田芽助のこと意識しすぎじゃないすか。彼も彼なりに反省したからパーティの役に立とうとlevel上げを頑張ってるんだと思う。」


峰未雨は鯱千の顔を見て目をそらした。


「鯱千。その話し方むかつくからやめて。2人しかいないんだから普通でいい。田芽助が遺跡に向かった理由はなんとなく分かってた。レトファリックさんもlevelを上げたいのかなと思ったから止めなかった。」


鯱千はその言葉を聞いて


「本当?」


と真偽を確かめたのち深いため息をした。


「なんでそんなにレトファリックの事慕ってるん。好きなん。」


「接し方が好き。田芽助と違って落ち着いてるし。危害は加えなさそう。」


鯱千は説得するように自分の思いを話し始めた。


「Yobaseさんの作ったこの簡易爆弾は使えるけど、この私のスキルに合うように作った砲弾は使えない。なんで。坦々麺の仕返し?。」


峰未雨は砲弾を見ながらYobaseの事を頭に浮かべていた。


「違う。彼はパーティの仲間もそんなに信じてなかったの。鯱千、いつかあなたが敵になる事を想定してしまうから彼は怯えて嘘をついてたの。」


「じゃあやっぱり手抜いてるんじゃん。アイテムを合成するだけってそんなに技術がいることなの。」


峰未雨は少し怒った。


「私が手伝おうとしても分からなかったのに鯱千に製作ができると嫌。砲弾が作れるなら自分でやれば。てかDESSQヘビーユーザーなのにアイテム製作やってないのね。」


鯱千は峰未雨の挑発に乗った。


「お前は不器用なんだ峰未雨。Yobaseの簡易爆弾もすぐに超える。昔からセンスいいから私。」


「砲弾を作ったら田芽助達を追いかけないと。どうせ、ガーディアンにはやられてない。」


「それも野生の勘なの。」


それから20分間、いつの間にか二人で協力して、砲弾を製作していた。


爆弾が当たると遺跡の入口を塞ぐ壁まで届かず少し手前で爆発した。しかし地面にひびが割れる程威力が高かった。


「峰未雨どうする3号でいく。」


「いや、火薬を集中させすぎたから無理。私が自力で開ける。」


鯱千と峰未雨がそれぞれの方法で入口の壁を開けようとしていた。


「峰未雨さん離れてください。敵が来ます。」


田芽助の声を聞き、峰未雨は瞬時に身をかわした。


しかし、なぜか近くにいたウェイターボガーディアンが光線で入口の壁を破壊してしまった。


峰未雨は動揺した。


「なんで守衛のガーディアンが。」


「田芽助がまたいないんだが。てか今こいつ喋ったのか。」


田芽助は既にガーディアンに扮しており、峰未雨と鯱千が戦闘態勢に入った。


「あの田芽助です。さっき手に入れたカードのスキルを使うと10体まで憑依できます。防御力はないですけど。」


「田芽助やるな、だがむかつくんだよ。」


峰未雨が攻撃しそうになったのを見て淡い紫色の光が移動し人間の田芽助が出てきた。


田芽助は音を立てず、ガーディアンを背にして様子を伺っていた。

「峰未雨そんな暇ないから、田芽助も危ないから早く地下遺跡GO。」


鯱千と田芽助、峰未雨の3人が地下遺跡一階の中を走り出した。



鯱千は、田芽助が自分より剣の腕が上達しているのを見て態度を改めようと思った。


「level10のモンスター相手でも戦えている。鯱千さん。これであなたの役に立てますか。」


鯱千はなぜだか無性に腹が立った。


こんなネトゲ初心者の世間知らずに守られんのは嫌だ。


「邪魔だ田芽助。近接戦闘は私でいい。」


しかし、恐るべきは田芽助の見違えた剣技を圧倒している峰未雨の姿だった。


「前の敵がいなくなっていく。」


「峰未雨早すぎ。」


「鯱千。お前のスキルはパーティでの戦闘で効果を発揮する。この地下遺跡じゃ無理だ。」


「姉さん。」


鯱千は進んでいく峰未雨を羨望の眼差しで見た。


峰未雨のあまりの猛攻に地下遺跡のモンスターの動きが活発になり始めた。

レバニーブルの群れが来た。


向かってきたlevel13 レバニーブル10体の猛進を田芽助のスキルで動きを封じた。


「うわ。力が強すぎる。」


田芽助のスキル「テママリナネットの3」

相手の戦闘力に応じて、憑依し使役できるかが変わってくる。


ウルフ全てが峰未雨と鯱千に向かってきた。


鯱千は見せ場だと思い専用バズーカを取り出しスキルを発動しようとした。


「駄目だ。どうしても可愛く見えない。」


峰未雨はレトファリックの伝えたパーティの目的通り、鯱千を守るために豚モンスターのレバニーブルを返り討ちにしようとした。


2体を倒したものの3体目のレバニーブルが峰未雨に突進を食らわせ態勢を崩した。


4体目と5体目のレバニーブルの猛進も直後に食らいそうになり瞬時に身をかわし後方に下がった。3分の2まで下がった自身のHPを見て峰未雨は自分を戒めた。


「死線は好きだが、今はそんな事をしている場合じゃない。」


峰未雨はスキルの[クロウメハカアマル]を使用した。


自身の身に着けている服が光り男性用の黒く梅の花模様になり、帯が伸縮性のある足先までは届いていない袴のアーマーが身に付き、靴もアーマーされ黒くなっていた。


自身の防御力、耐久力、瞬発力が大幅に上がった。


「慣れない。ていうか少し動きづらいなこれ。」


峰未雨が仕方なくレバニーブルに向かって突撃すると、足のすねが瞬発的に力が加わり早く移動できるようになっていた。


「うわ。少し飛んだ。」


モンスターに迫っていくのが思ったより、早い。


態勢が崩れながら目の前のレバニーブルに斬撃を与えると、かなりのダメージになった。そのまま何体かを倒していった。


田芽助も憑依から既に離れておりレバニーブルを討伐していた。


鯱千も足を少し止めていたが、途中から戦闘に加わった。


レバニーブル3体を片付けると、峰未雨は田芽助の事を威嚇した。


「顔は見違えたけど、いまだに臆病者。調子に乗んなよ。」


鯱千が間から田芽助をフォローして峰未雨を止めた。


「いやー。この目でみると流石じゃん。田芽助君かっこいい。峰未雨もパーティじゃないと遺跡の下に進めないくせにー。」


「自分一人で攻略できるなんて思うなよ。田芽助。」


鯱千は落ち込んでおり、自分のスキルを使った出番がないかなと探っていた。

峰未雨のlevelが7でスキル2つ、田芽助のlevelが5でテママリナネットの3を持っている。

自分のスキルを見返してレアスキルだからと自惚れていたと思った。

地下遺跡を進んでいき、3階あたりの広間にてモンスターの群れが襲来してきた。

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