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犬編
桃太郎屋敷 昼
桃太郎「平和だ」
犬「はい。全て桃太郎さんのおかげ」
桃太郎「君のおかげでもある」
尻尾フリフリ
桃太郎「そうだこれ、少ないが鬼退治の報酬だ」
チャリン
犬「本当に少な!」
桃太郎「犬にはこれで充分だろう」
犬「ガルルッ!」
桃太郎「私に牙を剥くというのかね? 鬼をも一撃で倒す、この私に」
おすわり
桃太郎「それでいい。君のそういう賢いところが好きだよ」
犬「桃太郎さん、出会った頃のあなたはそんな人ではなかった。あなたから、微かに鬼の血の匂いがします。鬼の血がこびりついて変わってしまったんですね……」
桃太郎「平和を手に入れるための犠牲さ。私は微塵も後悔していないよ……悲しませてすまないね」
犬「……一生お供いたします」
犬は桃太郎に犬生を捧げた。子犬達は優秀な猟犬や番犬に育ち、勇敢な犬の子孫は今も日本中にいるという。