雉編
鬼退治後 宿
桃太郎「おかげで鬼ヶ島を壊滅できた。よくやってくれたね」
犬「桃太郎さんのためなら」
猿「まだまだ余裕でさぁ」
桃太郎「頼もしいな。さあ、戦勝祝いの鍋を食べよう」
犬「雉がいませんよ」
猿「本当だいない。天井の梁にもいない」
桃太郎「雉ならここにいるじゃないか」
犬「まさか!?」
猿「そんな!?」
桃太郎「雉は翼に攻撃をうけて飛べなくなったんだ。それで絶望したんだな」
犬「くぅん」
猿「馬鹿野郎!」
桃太郎「雉が自ら望んだことだ。有り難くいただこう」
鍋に手を合わせる猿。悲しげに遠吠えする犬。
フスマスパーン!
雉「望んでいません!」
犬&猿「雉! 生きていたのか!」
雉「この通り、翼に攻撃もうけていません! 全てかわしましたぁ!」
桃太郎「見ていたよ、さすがだった」
猿「嘘クセェ!」
犬「ガルルル」
雉「まぁまぁ」
桃太郎「軽い冗談だよ。鍋を見ていたら、つい」
雉「軽くてつい、にしてドギツイですよ」
犬「それでも嫌いになれない」
猿「犬は馬鹿だなぁ」酒ぐびー
犬「ガルルッ」
雉「まぁまぁ。それより、この肉は!?」
桃太郎「白身魚だ」
雉「よかった。全く、戦いより心臓に悪いですよ」
桃太郎「悪かった。君にはいい保養先を探そう」
雉は殿様に献上され余生を送った。
今もこの勇敢な雉の剥製がどこかにあるという。