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第三十三話 親子のつながり

陽善、実家へ再婚の報告。

果たして歌多は受け入れられるのか?


どうぞお楽しみください。

陽善はるよしさんのご両親、良い方々でしたね」

「……テンションが高くてごめん……」

『仕方ないよー。おじさんもおばさんも、陽善さんが再婚するって言うのを待ってたんだからー』


 実家を出て、駐車場に向かう道の私達は、明るさと温かさと、若干の照れ臭さに包まれていた。

 私の実家で歌多うたさんは想像以上にあっさりと受け入れられ、思った以上の歓迎を受けた。

 蓮梨はすなが言う通り、両親は私の再婚を望んでいた。

 しかし蓮梨が幼い時から親戚の子のように可愛がっていた両親は、私が蓮梨を想い、独身でいる事も黙認してくれていた。

 だからこそ、歌多さんを連れて行った時の喜びようはすごかった。

 歌多さんの境遇を聞いた両親は、歌多さんは今日からはうちの子だ、と力強く言ってくれた。


『…… でも、私の事を忘れるなよって言ってくれたの、嬉しかったなー』

「私も泣いちゃいました……」


 そんな両親が最後に、私に蓮梨を忘れないように、歌多さんにそれをどうか許してほしいと言ってくれた事は、涙が出るほど嬉しかった。

 というか実際出た。

 歌多さんは、その前から出てた。


「陽善さんが優しい訳が、わかった気がします」

「……そう言われると照れるが……」

『私の説得の時もそうだったもんねー。陽善は蓮梨ちゃんと結婚できなかったら一生独身だろうから人助けだと思って、って言われて、もう笑っちゃって断れなくなっちゃったもん』

「そんな事もあったなぁ」


 子どもの頃から病弱で、二十歳は迎えられないだろうと言われていた蓮梨。

 何としてでも蓮梨と結婚したい私と、長くないのがわかっているのに私の人生に傷を付けたくないと断る蓮梨とのせめぎ合いは、生涯で一番真剣な時間だった。

 そしてその後の結婚生活は、楽ではなかったがこの上なく幸せな時間だった。


『きっとこれからも大丈夫だよ、歌多さん』

「はい!」

「実の息子より大事にしそうな勢いだったからな」


 まぁ歌多さんの境遇を聞いたらそうなるよな。

 泣かせるような真似をしたら、多分私がぶん殴られる。


「それで、あの、蓮梨さん……」

『なーに?』

「……蓮梨さんは、その……、ご両親に、会われないんですか……?」

「っ」


 思わず足を止めてしまう。

 私は今どんな顔をしているだろう。

 歌多さんは私の反応を、ある程度予想していたのだろう。

 少し悲しそうな色を眉に浮かべながら、それでも決意の表情は崩れない。


「……立ち入った事だとは思ったんですけど、ご両親が健在で、お近くに住んでいて、お盆の間しかいられないのに、会いに行かないのは何でかなって思って……」

「……歌多さん、それは」

『あー、別にね、仲が悪いって訳じゃないの。でも私って生前病弱だったじゃない? 両親は私が助かるために必死になってくれて、でも、私は死んじゃった』

「お、おい蓮梨」

『両親は私が死んじゃった事を乗り越えるために色々頑張ってくれた。一周忌の時には、私の思い出を笑って話せるぐらいに元気になってた。そこに幽霊になった私が来たら、その頑張ったものを崩しちゃう気がしてるんだ』

「蓮梨さん……」


 歌多さんの顔に、申し訳なさそうな、それでいて安心したような色が浮かぶ。


「ごめんなさい……。立ち入った事を聞いてしまって……」

『ぜーんぜん! むしろ歌多さんの優しさが感じられて嬉しかったよー』

「ありがとうございます……」


 良かった。歌多さんが晴れやかな顔になった。

 しかし歌多さんに言われて思い出した。

 私の再婚の話、建郷たてさとさんとすみれさんにも話しておいた方がいいよな……。

 何とも切り出しにくいけど、一周忌の時にも三回忌の時にも、娘に縛られず再婚してくれって言ってもらってたし……。

 言うなら婚姻届出す前がいいよな。

 歌多さんに車で待ってもらって、今から家に行って……。


「おや? 陽善君じゃないか」

「あらホント。元気? 変わりない?」

『お、お父さん!? お母さん!?』


 会いに行かなきゃと思ったタイミングで、ばったり建郷さんと菫さんに会えるなんて!

 ありがとう運命! でも心の準備が!

読了ありがとうございます。


今日は余裕かと思ったのに、両親の名前決めで時間かかりました(汗)。

一夫一妻制の鳥、スミレコンゴウインコから、菫はそのまんま、建立こんりゅうの建と、ごう建郷たてさととなりました。

金剛って名前にしようかなという思ったんですが、すごく強くなりそうだったので……。

ちなみに姓は白鳥です。白鳥も一夫一妻制だそうなので。


それでは次話もよろしくお願いいたします。

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