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糞塗村奇譚 ~バリウム様の呪い~  作者: うんちプリン屁次郎
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出会い

うんこが漏れそうだ。

山深い道だったが、これほどトイレがないものだとはまったく想像だにしていなかった。

古びた木造の公衆トイレを発見し車を停めて駆け込んだものの、信じがたいことにトイレの扉はびくともしない。

カギの傍の表示は赤く、使用中であることを示している。


「うんこが漏れそうです!!どうかゆずってください!!」


すがるように扉を叩く。返事はない。

昼に食べたタイムセールのお惣菜がこの夏の暑さで傷んだのだろう。

下痢と化し、すぐにも排泄せよと肛門を叩いている。


長時間にわたる運転ののち、奇跡的にトイレを見つけた時は助かったと思った。

野糞をしようにも、この量の下痢を拭けるだけの紙を持ち合わせていなかったからだ。

しかし現実は非情にも、無情な先客の存在によって安易に高揚した俺を谷底へ突き落とした。


「本当に、下痢が……漏れそうなんです……」


扉はびくともしない。こんなところで尊厳を失うことになるのか。

目に涙がにじむ。年甲斐もなく情けない。その時、


「あ……」


気を抜いてしまった。肛門が緩んだ。尻に冷たいいやな感覚が広がる。

急いで俺はズボンを下ろし、その場にウンコ座りをした。


破裂音。

堰を切り、股の間の地面に茶色の水が勢いよく放出される。

ようやくすべてを出し切ることができる。つかの間の安らぎに目を見開くと、


扉が開いている。


排泄に夢中になり、扉を意識していなかった。

目の前には赤いサンダルを履いた華奢な足先、似合いの細い脚がスカートの中に伸びている。

控えめに膨らんだ胸をなぞるように髪がかかり、陽の光を受けて煌めいた。

そのさらに上に目線を上げると、大きな瞳と目があった。

輝く長い髪で彩られた小さな顔は、目だけがかわいらしく大きく、控えめな鼻と口が幼げだった。


どこか危うく、触れれば消えてしまいそうな光。

耳にイヤホンをさして漫画を片手に扉の前で立ち尽くす少女を前に、気づけば動けなくなっていた。


「……あの」


少女が沈黙を破る。


「大丈夫ですか?」


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