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短編

その痛みが好きだった

作者: 譚月遊生季

 君は、この世界を地獄だと言った。


 救いたかった。


 君にとって、僕の隣が楽園であればと思った。

 君は何度も僕の手を振り払った。抱き締める僕を罵倒し、大声で泣いた。

 よく、僕のことを試したね。「死んじゃったらどうする?」だとか、「浮気したらどうする?」だとか。

 僕は「君が死ぬと悲しい」「浮気も許すよ。寂しい思いさせてごめん」と返す。それがお約束だった。


 僕が耐えきれずに泣いた夜、君はどこかに消えた。

「もう耐えられない」「どうしていつもわがままばかり」……溜まったものが、濁流のように溢れ出した夜だった。

 君はじっと僕を見下ろして、「ごめん」と言った。


 どこにいるの?

 一人で生きられるの?

 他に、抱き締めてくれる人を見つけたの?

 その人は手首を切った写真を送られても、一方的に罵倒されても、耐えてくれる?

 僕がいなくても平気?

 それとも、初めから僕じゃなくたって良かった?


 独りになって気付く。


 救われたかったのは、僕の方だった。

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