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78.愛情?いいえ、ただの劣情です。


「いらっしゃいませぇ〜!」


「ハルトさん、いらっしゃい。」


リサの店、メイド喫茶サリーに入ると店員の女の子に続き、レンエルが歓迎してくれた。


「リサはいるか?アリス達を引き取りに来たんだけど。」


「うん。奥で2人と遊んでる。店員にちょっかい出さなくて仕事がスムーズで助かってる。」


「そ、そうか。邪魔になってなくて良かったよ。」


「邪魔なんて、むしろサヤナさんにはずっと働いて貰いたいくらい。」


「ん、サヤナ?」


ていうか、今働いて......って。


「ハルト様、戻られたのですね。」


と、入り口でレンエルと話していると店内からサヤナがこちらに気付き近寄ってきた。


...............この店のメイド服姿で。


「.........えーっと、働いてるのか?」


「何もしないと体がウズウズしちゃうのでレンエルさんに何かお手伝い出来ないかとお願いしたんです。」


せっかく俺達がいなくて自由なんだからもっと気楽に休めばいいものをサヤナらしいな。


「仕事覚えるの早いし、接客は上手いし、客は集まるし、本当に役に立ちっぱなし。......リサと違って。」


レンエルはそう言うとリサが遊んでいるのであろう店の奥をキッ!と睨みつけた。


「じゃあ様子でも見てくるかな。」


「私何か注文しとくね。昨日の祭りから何も食べてなくてお腹すいた。」


「なら俺のも適当に注文しててくれ。」


「わかった。注文したら着替えに行くね。サヤナちゃん案内して。」


「はい、こちらへどうぞ。」


サヤナはもうすっかり慣れた様子でイザナを空いている席へ案内した。


「さて、じゃあ奥、邪魔してもいいか?」


「うん。」


とりあえずレンエルに許可を貰うと店の奥へと入った。


引戸を開けて中に入ると、靴を脱ぐ場所があり、20cm程の段を登るとそこには押し固めるように縛られた藁が綺麗に敷かれていた。


「へぇ、落ち着くいい匂いだな。」


藁のいい香りに加えて女の子の甘い香りが感じられてとっても心地が良い。


そしてそんな部屋には木で作られた物干しに何十着もの可愛らしい衣装がぎっしりとかけられていた。


当然メイド服はかなりのバリエーションで清楚な物から派手な物まで揃い、それ以外にも昨日見繕って貰ったような着物やどこかの種族特有の民族衣装を模したかのような変わった服まで一見服屋かと思う程取り揃えられていた。


「あ、はるっち、もう用事は済んだの?」


「パパっ!」


「おにいさん!」


俺に気がついたリサが衣装の上から俺を呼ぶと、それに続いてアリスとフィオルは衣装の間から顔を出した。


「あぁ、なんとかな。昨日は悪かったな、急に三人の世話を頼んじゃって。」


「気にしないでよ。何ならこれから一生お世話「断るっ!」......ちぇー。」


「二人ともリサに何か変な事されなかったか?」


「んーん、何もされてないよぉ。」


「はいっ!一緒にお風呂入ったり、寝る時に枕を一杯投げあったり、とっても楽しかったですっ!」


「.........それは良かったよ。」


まったく、俺が死にかけてる間にリサは3人とお楽しみだったとは。


なんて羨ましい。


「っと、そういえばリサ、今日帰る予定なんだが可愛い服を何着か売ってくれないか?」


「え、随分急だね、もっとゆっくりすればいいのに。」


「残念ながらそういう訳にもいかなくてね。」


何せこっちではお風呂は男女分けられて例外は認めてくれないし、食事は城の料理人が作った物でイザナの手料理は食べられない。


イザナはクマさんを持ってくれば良かったと度々愚痴を零してるし、アリスとフィオルは夜のトイレが遠くて怖いからとトイレに行きたくなる度に一緒に寝ているサヤナを起こしている。


そしてサヤナは何もせずにして貰うというのが俺達の中で一番苦手なようで、城の中ではモジモジとやる事を探し、遂には今お店の手伝いをしてしまっている始末だ。


「そっかぁ、せっかくアリスちゃんやフィオルちゃん達と仲良くなったのになぁ......。あ、皆の服に関しては別にタダで貰ってくれて大丈夫だよぉ。実は昨日の晩に徹夜して皆に似合いそうな服を作ってたし、アリスちゃんとフィオルちゃんに関してはレンエルとサイズピッタリだからね。いくらでも余ってるんだぁ。」


リサはそう言って部屋の隅に何段もに重ねられた木箱を何個か持ってきて開けるとそこには大量の子供服がぎっしりと詰め込まれていた。


「...凄い量だな。」


「レンエルは殆ど着てくれないからねぇ。」


まだ会ってから日が浅く、レンエルの事をそんなに詳しくは知らないが、リサの服を着るのを嫌がってる姿は容易に想像がついた。


「まぁ、そういう事なら有難く貰っとくよ。」


「うんっ!」


それにしてもこの量、なかなか着てくれないからってこれだけ作り続けているのを見ると、リサがレンエルを特別、大切に思っているのがひしひしと伝わってくる。


「レンエルも感度増強剤をイタズラで服の内側に仕込むまでは嫌々ながらに着てくれてたんだけどなぁ.........。」


..................たった今の俺の感心を返せ。


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