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66.暴露


「っ、ちょっ......。」


母さんの発言にイザナの顔は今まで見たことないくらい真っ赤に染まった。


「......あ、ごめんなさい、ついうっかり。忘れてちょうだい。」


「......ん、んんっ、じゃあもう本題に「ちょっと待てっ!!」......なに?」


わざとらしい咳払いの後に話を進めようとするイザナをすかさず止める。


「今とんでもなく聞き捨てならない事を聞いたんだがっ?!」


「......何の事?」


「いや、とぼけるなよ!昔俺に言ったよな?!獣人に発情期が来るのは生後50年まで、それ以降は来ないってっ!」


「獣人族の発情期が50年までだなんて聞いた事ありませんわよ?」


「............え、」


「ねぇ、こんな話いつまで続けるの?」


「こんなって、俺にとっては、」


「エルフちゃん達の命よりも大事?」


っく、それを言われると返す言葉もない.........。


「............そ、そうだな。後にしよう。」


「しなくていいわよ。こんなくだらない話。」


「いや、くだらなくない!これは俺のこれからがかかった大事な話だ、絶対に有耶無耶にさせないからなっ!」


「.........。」


イザナは少し顔を紅くしてプイッとそっぽを向いた。


「さて、思わぬ朗報を聞いたところで、勇者召喚について教えてくれるか?」


「えぇ。ただ今回の勇者召喚も人間に手を貸した存在がいて、私が知ってる情報も限られてるのよ。」


「今回もって事はリサちゃんの時も人間以外が手を貸したんですか?」


「えぇ。随分と用心深くてなかなか尻尾を表さないわ。」


そもそも人間だけで、ドラグーンやエルフを纏めて攫うのは実力者を多量に集める必要がある。


だが、勇者召喚を他種族に悟られぬように情報を隠すのは絶対条件。


そうなると大々的に行動出来ない以上

、人間だけで攫い、尚且つ痕跡を消すというのはとても考えられないのだ。


俺とリンジュが前にここへ寄った際に母さんから協力者については聞かされたが、ドラグーンを攫ったのが人間だと分かった時点で俺含め数人は協力者の存在を考えていた。


「まぁ、その協力者については調べるにしても放置するにしても今はとりあえず勇者召喚の阻止が先決だな。」


「そうね。」


「うーんと、まず初めに言うと勇者召喚の正確な日時、それは分からないの。勇者召喚に関わる人間も近い内にというだけで誰も詳細を知らないみたいでね。人間の国王すらも。」


「国王も......か。」


「かなり徹底されているんですのね。」


徹底......か。


むしろ俺には人間を信用しないで、まるで人間を利用しているように感じるな。


「詳しい日時が分からないのは痛いがそこは急ぐしかないな。それで場所は分かるか?」


「えぇ。ルミ。」


「はい。」


母さんが名前を呼ぶとそれだけで何をして欲しいのか理解したルミが地図を机に広げた。


その地図上の一点に母さんがトンと指を置く。


「国境を超えて人間の領土にあるここの村。村人は全員退去させられて代わりに3日前から大量の騎士が集められてるわ。」


「結構距離があるな。じゃあ、そろそろ。」


「あら、もう?」


「あぁ。今こうしてる内にも勇者召喚が始まってしまうかもしれないからな。後悔はしたくない。」


「そうね。折角久々に会えたのに寂しいわ。」


「兄さん、もう行っちゃうんですか......。」


「ルミは毎日私にハルトの様子を聞きに来てたくらいだから寂しいのね。」


「な、お母様っ!それは言わない約束ですっ!」


「あら、ついうっかり。うふふ。」


珍しく顔を紅くするルミに母さんは頬へ手を添えてニッコリと笑った。


イザナの時もそうだがこの表情の母さんは絶対楽しんで秘密を暴露してるんだよな......。


まぁ、両方とも俺にとって嬉しい情報だから今は良いものの、いつ俺の恥ずかしい秘密を暴露されるか分かったもんじゃない。


「そう寂しがらなくても大丈夫だよ。次はそう遠くない内にまた帰るからさ。」


「...本当ですか?」


ルミの頭を撫でると、ルミは俺の手を抑えて心配そうに問うた。


てっきり手を払われた後にしれっと「そうですか。」とかなんとか適当にあしらわれると思っていたんだが......。


まぁ、最後に会ったのはかれこれ220年近く前で、今までこんなに長い間会わないこともなかったからな。


その間に性格が少し変わったのか、兄である俺という存在の尊さに気がついたのか......。


とまぁ、理由は何にせよ、こうして心配そうに俺を上目遣いで見つめてくるルミは本当に可愛い。


「ルミ達に会わせたい俺の新しい家族もいるからな。ルミにとっては初めての妹になるんだ。楽しみにしとけよ。」


ずっと昔にルミは妹が欲しいって言ってた頃もあるからな。


俺から見てラミに姉らしさを感じたことはなかったがやはり本当の妹というものは違うのだろう。


義理とはいえこうして俺がルミに妹を作ってあげられた事は兄として嬉しい限りだ。


アリス達もきっと喜ぶだろう。


と、俺がアリス達を会わせた時のルミやレミの反応を想像していると、何かを思い出したように母さんが口を開いた。


「あ、そういえばハルトにはまだ伝えていなかったわねぇ。」


「ん?」


「ルミにはもう15年前から妹がいるわよ。」


「......ん?」


「もう一人娘できちゃったの。」


...............はぁっ?!

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