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61.知っている事。

流石リンジュの全速力だ。


振り落とされないようにしがみついていると、あっという間にストレチリアの領土に入り、そしてサタキリの王城が見えてきた。


「はるとー、どうすればいーい?」


「突っ込んだら?」


「おい、わざわざ突っ込まなくていいだろ。たぶん攻撃しては来ないから正面に下ろしてくれ。」


さっきから下にちらほらと兵が見えるがその誰もがこちらを攻撃してくる気配がない。


位闘にもリンジュに乗って行ったし、既に俺たちだということは把握されてるのだろう。


それから少し飛び、王城の真上まで来ると、正面に大量の兵士の姿が確認出来た。


「降りるよ?」


「あぁ。」


ここは既に王城の真上、攻撃するつもりならとっくに射程内だろうが攻撃してくる様子は無し。


まぁ、一斉攻撃してきたらしてきたでテイリにリンジュ、それに加えてイザナもいるし、問題はないだろう。


リンジュは羽ばたく力を弱めて徐々に高度を落とし、大量の兵が並ぶ王城の正面へとその巨体を落とした。


「ふぅ、疲れたー。」


「お疲れ、ありがとな。」


「うにゅう...。」


人型へと戻ったリンジュの頭を撫でていると兵士がサァッと避け、その間から1人の若い魔族の男が歩いてきた。


この男には午前中に会った事がある。


「つい先刻はお疲れ様でした。こうして言葉を交わすのはこれが初めてですね。私がここストレチリアの魔王、サタキリです。」


「ハルトだ。」


「ウガル殿との激闘、素晴らしかったです。父上に話は何度も聞いていましたが想像以上でした。」


「あぁ、そりゃどうも。で、さっそくここに来た要件だが、」


俺が言葉を続けようとすると、サタキリは俺の後ろにいたテイリにチラッと視線を向け、そして少し安心したような表情を浮かべた。


「なるほど、こちらでしたか。安心しました。」


こちら、という事は他に俺達が来る可能性を考えていたのだろう。


安心したという言葉から察するに位闘勝者の魔王に与えられる権利、命令を危惧していたに違いない。


「理解が早くて助かる。」


「では、話は中で。」


「あぁ。」


サタキリの後を俺達4人は付いていき、王城の入って少しした所にある応接間らしき部屋へと案内された。


「どうぞお腰掛けください。」


「あぁ。」


部屋に入り向かって左右に4人ほどが並んで座れる程のソファが2つ置かれていた。


そして向かって右にあるソファの1番奥に俺が座ると続いてイザナが俺の隣、そしてそれに続いてテイリが腰をかけリンジュは俺の膝の上へと腰を下ろした。


「.........お前は場所を弁えるって事が出来ないのか?」


「あたしはいつだってはるとの従者だよ!」


「従者以前の問題よ、鳥ってほんとに知能が低い。」


「なっ、黙れ女狐っ!」


「はぁ、話が始まらないからとりあえずお前は立ってろ。」


「うびゃっ!」


リンジュの首根っこを軽くつまみあげるとポイッと投げ捨てた。


「さて、じゃあさっそく話を始めたいんだが、まず最初に確認させてくれ。行方知れずのエルフが今どこにいるのか、お前は知ってるのか?」


情報を提供してもらうにしろ、交換条件を飲むにしろ、すべてはサタキリがエルフの所在をしっていなければ始まらない。


「その問にはいと答えるのは少々難しいです。」


「ん?」


「どういう事ですのっ?!あなたはみんなの居場所を知って「落ち着け。」.....申し訳ないですわ...。」


「で、それはどういう意味だ?」


「私が知っているのはエルフを攫った者が何処の組織の者で何の目的があったのか、という事です。故にそのエルフが今現在何処にいるのか、多少の推察は出来ますがそれは知りかねます。」


ほぉ。


あのサタシヤの息子が行方知れずのエルフが何処にいるのか、何の情報も持たずにテイリを騙すとは思えなかったが、これは想像以上に役に立つ情報だ。


そして俺の頭にはサタキリの言葉のひとつに猛烈に嫌な予感がよぎった。


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