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60.ストレチリア


「さて、じゃあまずどうやってストレチリアに行くか、だが。」


同じ魔界の中にある国だ。相当離れてるという訳では無いが走って行く距離でもない。


「テイリ、お前ストレチリアから来たんなら転移点(アンカー)置いてきてたりするか?」


テイリは魔法使いの中でも使える者は限られる上級魔法の、転移魔法が使える。


だが、どんなに優秀な魔法使いも、行きたい時に行きたい所へ無制限に転移出来るわけではない。


まず行きたい場所へ先に1度行き、そこへ転移点(アンカー)と呼ばれる拠点を作る必要があるのだ。


つまり、初めて行く所へは当然転移は出来ないし、転移点(アンカー)は同時に1つしか作れないから殆どの場合でそれは帰り道に使われる。


「残念ですが、転移点(アンカー)はアスカナンですわ。」


「...だよな。」


テイリはエルフの里、アスカナンの長だ。もしもの時のために里に転移点(アンカー)を作ってるのは容易に想像がつく。


「じゃあやっぱり今回もあいつに頼むか。」


「そうね。」


「はい。」


2人も既に気がついていたようで、俺達3人の視線はリンジュが裏に隠れている大きな木へと集まった。


「リンジュ、ストレチリアまで今から飛んでくれ。」


「ふぇっ?!」


「何でそんなバレてびっくりな反応が出来るんだよ。気配も魔力も隠しきれてなかっただろうが。」


周りに注意していなくても容易に気がつくレベルだ。


「で、さっそく頼む。アリス達はいないし全速力でな。」


今日、会場に行くまでにはリンジュの背中に魔法壁を張ったが、魔法壁を使えば乗ってる俺達は風をしのげるが、代わりにリンジュは風の抵抗が格段に増す。


そして、それを抜きにしても今日はかなり余裕のある飛行だった。リンジュなりにアリス達に気を使ってくれていたのだろう。


「はい、乗ってぇー!」


身体強化(フィジカル・ブースト)。おじゃましますわ。」


ズガーンッ!と相変わらずの騒音を響かせながらドラグーンの姿に戻ったリンジュの背中にテイリは身体強化の魔法を発動してから飛び乗った。


「よっと。」


「ん。皆乗ったよ。」


俺とイザナもテイリに続いてリンジュの背中に飛び乗り、厚い鱗に指をかけると、間髪入れずにリンジュは翼をはばたかせた。


ダンッ!ダンッ!と大きな音と共に地面には突風が吹き荒れ、3回目の強いはばたきでリンジュの巨体は一気に上空へと舞い上がった。


当然全速力なのだから邪魔な魔法壁など使わない。


チラッと横目で見るとテイリは顔を強ばらせて振り落とされないよう必死に掻きつき、そして反対にいるイザナへと目を向けると、とてつもない風圧に髪を抑えつつもケロッと平気な顔をしていた。


流石にエルフに魔法壁なしでのリンジュの全速力はキツかったか。


俺は片手でリンジュの鱗をしっかりと握り直して、もう片手を鱗から離すとテイリの体を抱き寄せた。


「キツいんだろ。無理するな。」


「っ?!.........あ、ありがとうですわ。」


なに、別に感謝などしなくてもいい。


抱き寄せてるお陰でテイリの豊満な胸が俺の胸に押し付けられてなんとも心地がいい。


俺の方こそお礼を言いたいくらいだ。


「......セクハラ。」


一方、逆サイドで冷たい視線が突き刺さっていた事は言うまでもない。



「サタキリ様!至急伝えたい事がっ!!」


「騒々しいですね、なんですか?」


位闘が終わり、敗北の知らせを持って国の貴族達との会議を済ませ、自室へ入ろうとしたサタキリの元へ慌てた様子の兵士が走ってきた。


「つい先程、北の国境にてこちらに向かってドラグーンが物凄い速度で飛行する所を見たと連絡がありました。」


「ドラグーンですか。北というとツァキナ姫のハウサラス。......そういえば、今日会場にもドラグーンに乗って来てましたね。」


「ということは、何か要求してくると......、」


「さて、どうでしょうね。」


サタキリはそう言うと、少し考え込みながら自室の椅子へと腰を下ろした。


「今のこの状況では可能性を絞りきるのは難しいですね。とりあえず、対空部隊を城の北側へ待機させなさい。ですが、くれぐれもこちらから攻撃はしないように。」


「承知しましたっ!」


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