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59.一難去ってまた一難


「昼ぶりだな。もう身体は大丈夫なのか?」


「もちろんですわ。あの程度の傷であれば魔力さへ回復すればすぐに癒せますの。まぁ、傷でないものにはかなり苦しめられましたけど。」


「さて、なんの事やら。.........で、ここに来たって事は何か相談があるって事でいいんだよな?」


「その通りですわ。」


テイリは少し顔を曇らせ、そして頭を下げた。


「ハルト様、お願いしますの。もう私の力ではどうにも......どうか助けて下さいですわ...。」


「おいおい、頭上げろよ。言ったろ?お前は今でも俺の大切な仲間だ。仲間が困ってんなら全力で力になる。」


「ハルト様......。」


「で、何があったんだ?」


「......あれは一月前の事ですわ。前々から里の若い者6人が无獣国に行きたいと言っていてちょうどその日に案内人4人を付けて合わせて10人が无獣国へ向けて里を出たんですの。それから7日、到着したら連絡するはずが、一向に連絡が来なくて、こちらからの連絡にも応えずそれっきり。」


「行方不明......か。」


「急いで私を含む里の数人が後を追って无獣国へ向かいましたが道中、そして无獣国でも見つける事が出来ませんでしたわ。」


「まぁ、无獣国の土地はかなり広いからな。」


いくらエルフだろうと広大な土地で人探しは困難だろう。


「それから手数を尽くして散策していた時に現魔王のサタキリから声がかかったんですわ。行方知れずのエルフの行方を知っている、と。」


「...なるほどな。それで取り引きとして代理を頼まれた訳か。」


「ですわ。何回か前の位闘から何度も依頼は来ていてその度に断っていたんですが、今回はその情報しか頼りがなく止む無く受けたんですの。」


「で?その10人が何処にいるかは分かったのか?」


俺の問いにテイリは苦い表情を浮かべながら小さく首を横へ振った。


「条件は位闘で勝つこと。負けた私には結局教えてくれませんでしたわ。」


そう......か。


もし嘘だったとしてテイリが勝った時にエルフを敵に回すとは考えにくいし、サタシヤは他国と太いパイプを作っていたからな。


独自の情報網で何かしらの情報を得ているのはまず間違いないだろう。


「ですからハルト様、どうか、「いいわよ。」......え?」


テイリの頼み、もちろん断るはずもなく了承しようと思っていると、近くの木陰から聞きなれた声がテイリの声を遮った。


「て、なんでイザナがここにいるんだよ?!」


ていうか、周りに意識張ってなかったとはいえ、まったく気づかなかった......。


魔力もないから魔力探査に優れたエルフのテイリも気づかなかった様子だ。


「いつからいたんだよ?」


「最初からよ。突然用ができたって言うから浮気でもしに行ったのかと思って着いてきたの。」


「浮気って......。」


「冗談よ。気になったから着いてきただけ。」


「アリス達は?」


「決まってるじゃない。リサちゃんのお店よ。」


「またか......。」


まぁ、城と同じくらい安心して任せられはするが...。


「さて、それじゃあ俺はこれからサタキリの所に行くからイザナはアリス達の所に戻ってくれ。」


本当はもう少し祭りを楽しんでいたいところだが、テイリの話を聞いた以上呑気に楽しんでもいられない。


「嫌よ、私も行くわ。こんな話を聞いたら祭りを楽しめないし。」


「でも、アリス達が......あ、そういえばテイリ、」


「なんですの?」


「お前、魔力通話(コンコール)を魔道具なしでやってたよな?」


魔力通話(コンコール)とは離れた相手と連絡を取る際に用いられる魔法だ。


本来は話したい相手とこちらで2つの魔道具を使って行う魔法だが、昔に何度か魔道具を使わないでやってる所を見た事がある。


「えぇ。1度会ってどんな魔力色か分かっていれば一定距離以内なら出来ますわ。」


つまり周囲の魔力を感知して、自分が連絡を取りたい相手の魔力を見つけてからその空間座標に直接連絡を取るってとこか。


「じゃあダメ元で聞くが、220年以上前に戦った元勇者の魔力色って覚えてるか?」


「リサ様でしたら覚えてますわよ。魔力色があれほど綺麗な人は珍しいですし、今までに何度か里にも来ていますの。」


「アスカナンに?」


「えぇ、ある魔法の合同製作を依頼されたんですの。では、リサ様に連絡を取れば良いんですわね?」


「あぁ、頼む。」


テイリは一歩後ろに下がると目を閉じた。


「見つけましたの。魔力通話(コンコール)。繋がりましたわ。」


『あ、この声はテイリンッ!!』


テイリが魔法を発動すると、直径50cm程の球体が姿を現し、その球体からリサの声が響いた。


「お久しぶりですわね。」


「リサ、ハルトだけど少し外せない用事出来たから急で悪いが暫くアリス達を預かってくれないか?」


『えぇえっ?!いいのっ?!』


「おい、ボリューム......、あと聞いてるのはこっちだ。何の了解を求めてるんだよ...。」


『それもそうだねっ!じゃあ遠慮なく楽しませて貰うね!』


「おい、待て!預かると楽しむは違うからな?!」


『分かってる分かってるって。一緒にお風呂入って一緒のベッドで寝て、一夜を共に過ごせばいいんでしょっ!』


どれも俺がまだ出来てない事じゃねぇか、羨ましい......。


「と、とにかく頼んだぞ。」


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