3.人間って怖い
俺が購入した奴隷を引き取りに行くと、仲介人の女性と共に俺が競り落とした奴隷が鎖に繋がれて連れられていた。
遠目で見て綺麗だとは思っていたが近くでみると思っていた以上だ。
目が奴隷の顔や胸に釘付けにされる。
「1億ダベルになります。」
いや、実に素晴らしい。
イザナに奴隷には手を出さないって約束したから手を出すのは我慢しないと俺の命もこの娘の命も危ないから我慢しないといけないのだが...........。
「あのー、1億ダベルです。」
もし娘も買ったとなると、俺は家に美少女三人を囲んで生活する事になる。
.........ん?待てよ?イザナにはエッチ拒否宣言されて、娘とメイドには手を出しちゃいけない.....................生殺しじゃねぇか!
「おいっ!まさか金を持ってねぇ訳じゃねぇだろうな?1億だっつってんだ、さっさと出せや!」
「っ?!あ、ご、ごめんなさい。」
優しそうな仲介人のお姉さんから発せられた一瞬男だったのかと疑うほどのドスの効いた男口調に急いでポケットを漁る。
「白金貨が10枚ですね。では、この首輪へ魔力を流してください。」
.............さっきの声はこの人だったんだよな。
俺の出した金を確認すると一瞬で元の優しい声に戻ったけど、人間って.......怖ぇ。
久々に話す人間に若干の恐怖を覚えながら言われた通りに奴隷の首輪に触れて魔力を流すと、繋がれていた鎖がフッと消えた。
「ありがとうございます。これでこの奴隷はお客様の物です。大切にしてあげて下さいね。」
仲介人は笑顔でそう言うと奴隷に俺の方へ行くようにと手で促す。
「どうも。さて、と。俺はハルトだ、よろしくな。」
「これからよろしくお願い致します。サヤナです。」
「サヤナか。じゃ、とりあえずここを出るぞ。この怖い仲介人さんが早く出てけって顔してるからな。」
あえて仲介人の方を見ながら言ってやったが、満面の笑みで返されて、やむなく黙って部屋を出た。
「ちなみに嫁のイザナもここの会場に来てるから仲良くしてやってくれ。」
「仲良くだなんてとんでもないです。.....奥様がいらっしゃるのですね。」
「ん?意外か?」
魔族の姿はあまり好きではないから普段は人化してはいるが、そこそこイケてる顔だと自負してるんだけどな。
「あ、すいません。私は性奴隷として売られたので、主になる方は独身の方と思い込んでおりました。」
性奴隷.......か。性奴隷として俺の元へ来てくれればどれだけ嬉しかったか。
「まぁ、お前にはこれからメイドとして働いて貰うつもりだからそのつもりでな。」
「はい。」
それからサヤナを連れて元いた会場まで行くとイザナは既に席へと戻っていた。
「おまたせ。」
「おかえり。私はハルトの妻のイザナ。よろしくね。」
「はい。よろしくお願い致します。」
イザナに対して深々と頭を下げるサヤナ。
「言葉堅いなぁ。まぁメイドだし丁度いっか。あっ、それとハルトに手を出されそうになったら私に言ってね。あくまでメイドでそういう関係は禁止だから。」
「は、はい.........。」
ならなぜ性奴隷を買った?と首を傾げている。
「まだ奴隷を購入なされるのですか?」
「あぁ、娘をな。」
「ちょっと、」
サヤナの質問に何気なく答えるとイザナが口を挟んできた。
「なんだ?」
「子供とは言ったけど娘だとは一言も言ってないよ?」
「.............えっ?!まさか男にするのか?」
「なに、嫌なの?」
「...........はい。」
子供っていったら親と一緒に風呂だ。
娘と一緒に風呂に入るのは父親の夢だし、そもそもイザナの裸を子供とはいえ俺以外の男に見せるのは許せない。断じて許せない。
とまぁ、そんな事は恥ずかしいから言わないが、俺がこれだけは譲らないと理解したようで、
「まぁ、手を出さないって約束するならどちらでもいいけど。」
...........流石に娘に手を出そうなんて考えないぞ。