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27. 最高のひととき。


「ひ、姫様!どうかなされたのですか!?」


「な、ななな、なんでもないっ!気にせんで良いから城の見回りを続けるのじゃ!」


「......?承知しました!」


そんな扉の向こうの配下とやりとりしている素っ裸の魔王に俺は気まずさMAXで困惑していた...。


............どうしたものか。


「なぁ、とりあえず何でもいいから服を着ないか?流石に初対面の女の子の裸をいつまでも見てるのはこっちとしてもやりづらいというか......。」


見れるものならいつまでも見ていたいが、そんな男だと思われるのは避けたい。


「な、なら向こうを向くなり目を閉じるなりしてくれんかの。いつまでもマジマジと見られては妾とて恥ずかしくなってしまうのじゃが......。」


「冗談だろ。一瞬たりとも目を離すつもりはない。」


おっと、つい本音が。


こんな可愛い娘の裸からわざわざ目をそらすなんてありえない。


イザナと同じくらいの慎ましい胸にくびれたウエスト、引き締まったヒップ。オロボアと同じくウェーブのかかった長く綺麗なエメラルド色の綺麗な髪。


目を離そうにもその体に釘付けにされて目が離せない。


「それは妾とて同じじゃ。服を着ようとした途端に攻撃されてはたまらんからの。」


敵じゃないんだから俺から攻撃する訳ないだろうが...。


だが、無断で城に侵入された上に、突然パカンと天井が割れて人が入ってくれば俺が敵じゃないだなんて思えないか。


まぁ、そういう事ならその勘違いを存分に利用させて貰うとしよう。


「へぇ、じゃあ仲間でも呼んだらどうだ?そうすれば隙を作ることなくこの状況を打破出来ると思うぞ。」


「なっ?!そんな事をすれば妾の裸体が晒されるではないか!」


そんなの当たり前だろうが。そしてそれを拒むことくらい用意に想像がつく。


つまりは......あのオロボアの娘の裸体を見放題という訳だ!


そしてもし仮にイザナにこの事がバレても俺は裸を見せてくれとは言っていないし、服を着るのを止めてもいないしむしろむしろ服を着ろと促してさえいる。これはもはや完全犯罪というやつではないだろうか。


それから俺はもう2度と見ることは出来ないであろう、ツァキナの裸体を懸命に目に、そして脳裏に焼き付けた。


オロボアの娘という事だけでも興奮する大きな点ではあるが、流石はオロボアの娘、イザナに及ばなくとも相当な優れた容姿をしている。


これほど食い入るように真剣に見つめたのは久方ぶりだ。


...........................。


3分の時がながれた。


俺を敵だと思い込んでるツァキナは服を着るなんて隙を作ってしまう事は出来ず、ひたすら俺の出方を待ち、一方の俺はそんなツァキナの裸体を真剣に眺めるだけの時間がすぎた。


「.................。」


えーっと、まぁ、確かにこうなる事を望んだのは確かだったが.........どうしたものか。


そう考えた時だった。


「ツァキナ様、少しよろしいでしょうか?」


この緊迫を打ち消すかのように扉が叩かれた。


この声には聞き覚えがある。フェルの声だ。


という事はイザナ達はもう到着してたんだな。


「ツァキナ様?どうかなされたのですか?」


「フェ、フェルか!?そうなのじゃな!今すぐ入るのじゃ!!」


「?......はい、失礼します。」


落ち着きの全くないツァキナの言葉に少し動揺しつつフェルは扉を開いた。


「おや、ハルト様、到着なされたのですね。............で?どうしてツァキナ様はハルト様に自らの裸体を見せつけているのですか?まさか、その身体でご奉仕しようとなさってたのですか?確かにそれなりの礼は払わなければ失礼にあたりますが、貴方は我々の王なのですよ?流石にそれはお控えいただきたいのですが、どうでしょうか。」


「............な、ち、違うのじゃ。これは.........ん?フェルよ、今ハルトと申したか?」


「はい、それがどうかなされたのですか?」


「..................お、お主がハルト...なのか?」


恐る恐る俺に問うてくるツァキナ。


「あぁ、名乗るのが遅れたな、俺がハルトだ。」


「.........................。」


ツァキナは固まった。見事なまでに呆然と立ち尽くしている。


「おい、大丈夫か?」


「......で、では何故お主は妾と対峙しとったのじゃ!?」


「は?そりゃお前が勝手に勘違いしてたんだろ?俺は別に攻撃するつもりなんて無かった訳だし。」


そう勘違いするような振る舞いをとったのは俺だが。


「なっ?!それなら早くその事を妾に話せば良かったではないか。そうすれば妾はこんな恥を欠かずにすんだではないか。」


敵だと思って対峙していた相手が実は敵ではなく、攻撃する意思すらもっていなかった。そりゃ恥ずかしいよなぁ。


「ハルト様、申し訳ございません。ツァキナ様はオロボア様のようになろうと努力はされてるのですが、このように抜けているのですよ。」


「ぬ、ぬけっ?!」


「それとツァキナ様。先程までハルト様の事を誤解されていた事はよく分かりました。でも、そろそろ衣服を身につけてはいかがですか?まだ隠さないとなりますと、見られたい、と思われてしまいますよ。」


もう裸だという事を忘れていたのだろうか、フェルのその忠告にふと自らの格好を再確認したツァキナの顔はみるみる内に紅くなり、


「.....................うにぁぁぁぁぁぁあああ!!」


またも大きな悲鳴をあげるのだった。


総合評価ポイントが100を突破しました!!


評価してくれた方、ブックマークしてくれた方、そして読んでくれた方、本当にありがとうございますっ!

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