表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/90

21.嫁は触れられたがり。


「ただいま。」


「ただいまです。」


俺がアリスとサヤナの二人と健全に遊んでいると街へ出かけていたイザナとフィオルの二人が帰ってきた。


「どうだ?良いの買えたか?」


「はい〜!」


フィオルはクマさんと同じくらいの大きな兎型のぬいぐるみをむぎゅうっと抱きしめた。


相当気に入ってるみたいだな。


なんともほっこりする光景に思わずフィオルの頭を撫でる。


「ねぇ、ハルト。」


「ん?どうした?」


「.......やっぱりなんでもないわ。それじゃ、サヤナちゃん行くよー。」


「は、はい!」


そう言うとイザナはサヤナを連れて食材を狩りに出て行った。


.....なんだったんだ?




それからしばらく。


イザナとサヤナが帰ってきていつも通りに夕食とお風呂を済ませた。


イザナの様子はあれからあまり変わったところは見受けられなかったが、あんなはっきりしないイザナは久しぶりに見たせいか気になって仕方がない。


.....が、今の俺はそんな気掛かりを忘れる程に落ち込んでいた。


「あーぁ、まぁ元に戻るだけなんだけどさ.........。」


フィオルからクマさんを受け取って少し嬉しそうに笑みをこぼし部屋に戻るイザナを見て、俺はため息をこぼす。


クマさんがいなくなってくれていたお陰で俺に抱き付いてくれていたイザナ。


クマさんが戻ってきた以上、俺は御役御免。俺の夜の楽しみが無くなってしまうのだ...。


.....まぁ別に、イザナがクマさんに抱き付いていようが後ろから色々と触る事は出来る。でも、やはりイザナから抱きついてきてくれているのか、それともこちらから手を出すか、それはかなりの差である。


「なんでそんなとこに突っ立ってるの?寝ないの?」


一人ベッドに横になってるイザナが言う。人の気も知らないで...。いや、知っててか。


「ぁあ、うん、寝るよ。」


もちろん寝ますとも。


欲求を抑えてただ静かに寝ますとも。


俺は肩をMAXに落としながらモソモソとイザナの隣に這い寄る。


っと、俺が横になってすぐ、右腕にやけに柔らかな感触を感じた。


「ん、え、あれ?」


この感触、間違えるはずがない。


自らの右腕を見てみるとそこにはイザナの慎ましい胸が押し当てられていた。


「クマさん使わないのか?」


当然の疑問。


あんなにクマさんを返してもらうとしていたのに、クマさんはイザナの向こう側で壁へもたれかかっている。


「別に。クマさんは一緒にいてくれればいいの。」


「.......ん?」


「クマさんよりもハルトの方が抱き心地がいいの。だからね、少しくらい身体を触られてもその方が良く寝れるかなって.....。」


イザナは珍しく恥ずかしそうに顔を赤らめてそう言う。


.........つまり俺に触ってほしいと。


「まったく。イザナは可愛いな。」


「知ってる。おやすみ。」


「あぁ、おやすみ。」


さて、と。


俺は布団の中でパタパタと揺れているイザナの尻尾を左手で、ヒクヒクと小刻みに動いている猫耳を右手で堪能する。


くすぐったいのか身体をもじらせるイザナの反応がまた可愛く、なんともそそられる。


と、そんなイザナの体に夢中になっているとイザナが突然声を発した。


「ねぇ...、」


「ん?どうした?」


「.....気付かないの?」


...............っ!!


イザナの言ってる意味が理解できずに頭をフル回転させていると、外に人の気配がある事に気がついた。


イザナの身体に夢中になりすぎて他に気が回らないとは不覚.....。


「そういう事か。客が来るなんて初めてだな。」


「この感じ、魔族だね。」


「みたいだな。人数は一人、客人か、迷い込んだだけか...。」


まぁ、どちらにしても凶暴な魔物達が生息するこの森をここまで来れている時点で戦える奴である事は確かだ。


面倒ではあるが念のため話は聞いてやるかな。


にしても.........なんでこのタイミングなのかなっ?!


イザナが珍しく身体を許してくれたってのに!!


俺は名残惜しいがイザナから手を離してベッドを出る。


「ぁーあ、これでどうでもいい要件なら本気で怒るからな.....。」


もし敵なら返り討ちにして死ぬまで初級魔法の火玉(ファイヤー・ボール)をひたすら浴びせてやる。


そう決意を固めて一階で相手の出方を待っていると扉が叩かれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ