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2.娘欲しい


一晩経ち、目が覚めるとイザナは既に隣で目を覚ましていた。


「おはよう。」


「うん、おはよ。ねぇ、ハルト。今度近くの街で奴隷オークションがあるんだけど見に行かない?」


近くの街.........ね。


それにしても随分と急だな。


「奴隷って、別にうちは人手に困ってないしいらないんじゃないか?」


「違う。そうじゃなくて、私たち子供作れないでしょ、だから奴隷を私たちの子供として育ててみたいなって。」


奴隷を我が子として育てる.........か。


たしかに養子とかだと身分証のない魔族や獣人には渡してくれないところが殆どだ。


だが、


「俺が昨日話した子作りっていうのが理由なら、俺はその過程が欲しかっただけだから別に.........。」


その過程も断られたけど。


「そんな事知ってるし。でも、あれからいろいろ考えてね、私とハルトを繋いでくれる子供がいたらそれもいいなー.........なんて。」


少し恥ずかしそうに上目づかいでそう言うイザナに俺が反対する理由はなかった。


「よし!買いにいこう!」




そしてオークション当日。



俺とイザナは我が家を出て、300㎞ほど離れたパンキスという街の奴隷オークション会場に来ていた。


2時間もかけて走ってきた俺は少し疲労を感じながらも244の入札板を受け取って会場内の椅子に腰をかけた。


前は2時間くらいならなんともなかったのに.......200年以上ダラけてたせいだな。


それにしても、


「随分と混み合ってるな。」


「今回のオークションは20歳以下の若い奴隷がメインだから、結構人気らしいよ。」


「へぇ。」


子供として育てる為の奴隷にはちょうど良いってことか。


そして会場内の椅子がだいぶうまってきた頃、前方にあるステージに1人の男が立ち、魔法によるスポットライトがその男を照らした。


『お集まりの皆さん!大変長らくお待たせいたしました!ただいまよりオークションを開始致します!』


拡声魔法を使っているのだろう。男の声が広い会場全体に響き渡る。


「お、はじまったな。」


ステージの左から首輪をした獣人の女の子が司会の男の隣まで別の男に連れられてくる。


歳は見た感じ17といったところだろう。ぴょこんと立ったうさ耳にふわふわ柔らかそうな尻尾。


そして何よりイザナよりも大きな、手にあまるほど大きい胸!


顔もイザナには劣るものの、絶世の美女といっていいレベルだ。


そんな美少女はかなり際どいところまで露出された殆ど下着に近い格好で何百という人の前に連れられて、顔は羞恥と恐怖に怯えているようだった。


『では、一品目!今回は全ての商品が質が良くいきなりの上玉だぁぁぁ!最近人気急上昇の獣兎(ルーラビット)族!!なんとこの魅了する身体で実は処女!性奴隷としての活用にはうってつけ!では10万ダベルからっ!』


そして入札が始まった。


最初は100万、120万と少しづつ額が上がっていたが、次第に100万単位に上昇し、遂に1000万を超えた。


『140番、1000万ダベル!開始早々大台に乗りましたぁぁ!さぁさぁ、他に入札はありませんかぁあ!』


1000万という入札に司会者だけでなく、会場全体が歓声で沸く。


奴隷を買った事が一度もなく値段の基準はよく分からないが、イザナ曰くだいたい300万前後、高いのでは1000万ダベルを超える奴隷もいるらしい。


「...........この娘がいい。」


「ねぇ、言っとくけどここに買いにきたのは私達の子供であって、性奴隷じゃないんだよ。エッチしちゃダメだからね?」


「.........分かってる.........よ?」


誰でも良い訳じゃないからな?俺はお前一筋なんだからな?


.............なんて言ったら照れてくれるだろうか。


「ならいいけど。でも、娘って感じしないなぁ。」


「あ、でも、娘が出来たら家事とか大変になるしメイドがいた方がいいんじゃないか?」


「メイド.......ねぇ。」


「そうそ。じゃとりあえず入札するぞ。」


呆れた様子のイザナから冷たい視線を受けながらも、反対される前にさっさと入札板を挙げた。


「1億ダベル。」


一瞬、シーンッ。と会場が静まりかえると、次の瞬間どっと会場全体が盛り上がった。


『な、ななな、なんといきなり244番、一億ダベルの入札だぁぁあ!!他に入札は?いませんね?.....一億ダベルで落札です!なんといきなり今シーズン最高値がつきましたぁぁああ!』


よし!


「おいおい、最高値だってさ。」


「なんも嬉しくないし、ていうかぶっこみすぎ!絶対もっと安く落とせたでしょ!」


「いいだろう、どうせこういう所じゃないと減らないんだから。」


昔に腐るほど貯めたというのに、今では2人で自給自足の生活。


全くもって勿体無い。使える時に使わないと。


『それでは次の商品です!』


そして次々と奴隷は落札されていくが、俺とイザナが求めているような子供が売りに出される事はなく、結局オークション前半が終了し、一旦休憩となった。


「今までに落札した奴隷は今の内に引き取りに行くんだよな。ちょっと行ってくる。」


「うん、私もトイレ行ってくる。」


「気をつけろよ。」


「誰に言ってんの?」


「あ、はい、ごめんなさい。」


心配する余地もありませんでした。


ブックマーク、評価などして頂けると嬉しいですっ!


《補足》

奴隷の情報として処女である事を言っていましたが、そういった奴隷の特徴の確認方法は実際に見たり触ったりするのではなく、身体情報を探るある魔法によって検査されています。

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