15.スリーサイズは命と引き換えに。
本当の事が書けないところは嘘を交えつつ紙にあった空欄を全て埋め、水晶に触れると受付嬢が手元から取り出したギルドカードを差し出した。
あの水晶で魔族という事がバレるかと少し緊張したものの、個人特定の為に魔力を吸引していただけのようだ。
これだと魔族が冒険者として登録しても全く気付かれない事になるんだが、大丈夫なのか?
人間と魔族はまだ決着はついていないはず。
上位の冒険者なら重役の護衛依頼なんかもあるだろうし、暫く身を潜めて護衛の任にでも着ければ暗殺し放題だぞ.......まぁ、今回はそのお陰で冒険者になれたから良かったが。
「ハルト様ですね。こちらがギルドカードとお釣りになります。冒険者ランクは今のところ一番下のDランクです。上にはCランク、Bランク、Aランク、AAランク、Sランク、そしてSSランクが存在します。依頼をこなして上を目指して下さいね。」
受付嬢からギルドカードを受け取ると受付嬢はさらに続けた。
「ちなみに現在SSランクは《もののけ》と呼ばれる伝説の冒険者ただ1人です。貴方が二人目となる事を期待していますよ。」
っ?!
この人、まさか俺の隠しきれない強者のオーラを見抜いて.....。
「冒険者登録をなされる方皆さんに言ってる事なので深い意味はございませんが。」
あ、はい、そうですよね。
.....その《もののけ》にも一度会ってみたいものだな。
っと、そんな俺にとって関係のない事よりも気にしないといけない事があるんだった。
「あのー、1つ聞いていいですか?」
「なんでしょう?」
「さっきの冒険者が言ってた奴隷がどうのってどういう事ですか?」
気付けば奴隷に落ちてたなんて笑い話にもならない。
「冒険者が奴隷になる理由は2つありますが、1つは問題を起こした時です。冒険者ランクやその問題の大きさにもよりますが、むやみに問題を起こせば奴隷に落とされる可能性がございます。」
問題.......か。
もとより起こす気はないが、気をつけないといけないな。
ま、もし奴隷にされそうになれば逃げるから問題ないといえばないが。
「2つ目ですが、依頼にはそれぞれ指定ランクというものがあります。冒険者は冒険者ランクより2つ以上、上の指定ランク依頼は基本的に受けないのが決まりです。ハルト様ならDランクですので、Bランクまでの依頼なら受けられますが、それ以上の指定ランク依頼を受けるともし依頼を達成出来なかった際には奴隷へと落とされます。まぁ、どちらも冒険者の命を守る為の制度。本来はあまり気にする必要はありません。」
ようは依頼を完遂出来れば何の問題もないと。
「他に質問はございますか?」
「そうだな.........受付嬢さんのスリーサイズとか.........なんて。」
「教えても構いませんが、聞いたら死ぬ程度の覚悟はお願いします。」
え、なにそれ怖い。
「え、えっと、ごめんなさい。」
「別に怒っていませんよ。ただ私のスリーサイズを知るには命くらいは対価として支払わなければならないと、そう言っているのですよ。」
もう、ほんとやだ。人間嫌い。
今回はまだ普通に綺麗な人だなって好感持ってきたところでこれだよ。
「どうなされますか?お聞きになられますか?」
「.......やめときます。」
自分の命と引き換えにするほどに超絶興味もってる訳ではないんでね。
「それでは他に質問はございますか?」
「んー、特にないですかね。」
「そうですか。私の名前はヤマです。登録はこれで完了致しましたが、これから受付をご利用の際は是非私の所をお使いください。」
最初はそうしようと思ってたけど、やだよ......なんか怖いし。
「1000回ご利用いただければ、スリーサイズを教えて差し上げても構いませんよ。」
「.........ヤマさん以外は絶対に利用しません!」
なんて単純な男なのだろうか、俺は。




