第十九話 ダンジョンその2
リーンは暗い道をどんどん進む。
地下10階のゴブリン、地下20階の魔物の牛、地下30階の魔物の羊などを素手で一撃で仕留めつつどんどん進む。
「本当に攻略しがいのない、、ダンジョンマスターは何をしているんだ」
さらに進み地下90階層の魔物の猿を倒した。ユート達と別れてから10分も経っていない。と、そこに何者かの気配を感じる。
「ちょーーーっと、ちょっと!!何してくれてるんですか?」
サファイアの髪の小さな妖精が近づいてくる。
「お前は……なんだ、ダンジョンマスターか」
鑑定を掛けたままの目を妖精に向けるとダンジョンマスター:ミィと書いていた、レベルは60のようだ。
「少しは倒しがいがありそう「「ま、待ってください、ミィを倒しちゃうとダンジョンが崩れちゃいますよぅ!!それよりあなたはどちら様ですか!あちらでお話聞きますよ!」」
ミィはダンジョンマスタールームに案内する。ここまでくればダンジョンマスターに危害を加えることは出来まい。リーンを来客用の椅子に案内し、座らせる。
「そうだな、名乗っておくか。ここには人間もおらんしな」
そしてリーンはローブをはずして周りを闇で包まれると、グラマラスな女性が現れる。寝間着のワンピースのいろいろな所が張ちきれそうだ。魔力も凄まじい。その威圧感にミィは怯えはじめる。
「あ、あなた様は……?」
「我が名はエイリーン。大陸半分を治めている。今は訳あってここにいるが。ダンジョンマスターよ、何ゆえこのダンジョンは機能しておらぬのだ?」
エイリーンは尋ねた。
「ま、魔王様。外を見てきたのであれば分かるかもしれませんが、ここはマナが少なすぎるんですよぅ」
「確かにな、それも気になっていた」
「ダンジョンを維持するにはマナがかかせないですが、ここ300年ほどマナが減っているんです。以前はもっと沢山の魔物と宝でいっぱいだったんです」
ミィは両手を大きく広げていっぱいを表現する。マナとは自然界に存在する魔素。それと対になっているのが個々から生成される魔素だ。確かにここの外の魔素は少ない。エイリーンの治める国ではそのようなことはなかったが、こちら側は魔物も住みにくそうだ。ダンジョンはダンジョンマスターの力量に左右される。マナを多く使うマスターはこの影響を受けやすいのだろう。エイリーンが影響を受けずにすんでいるのは元々の才と努力によってレベルが上がって、自分から生成される魔素がほぼ無尽蔵だからだ。と言うより、エイリーンの国には自分の加護を与えていて、ある意味ダンジョンのような状態になっているため国には魔素があふれているのだ。
「あ、あのぅ。恐れながら聞きしに勝るその魔力。このダンジョンに協力していただけませんかぁ?」
ミィの提案にエイリーンは考える。
「なぁ、ダンジョンマスターよ、こちらのダンジョンは国には寄与していないんだったな」
「はぃ。なので魔王様の力が加わっても問題ないですよ」
「努力してない奴に力はやれんが……」
「それは、もぅ、努力します。貢献させて頂きますぅ!」
ミィは必死だ。
「……では少しだけ、力を貸してやろう。あとはお前の努力次第だな」
「頑張りますぅ!」
そして儀式の準備を始めるのだった。