第十八話 ダンジョン
「さあっ、ダンジョンに行くぞー!」
朝からリーンは元気だ。ご飯を食べて3人は町を出る。来た時と同じように森を通りつつダンジョンに向かっていると、入り口に石造の門が見えてきた。そこからさらに進む、ダンジョンは外からみると洞窟になっているようだった。
3人は洞窟に入ってみる。薄暗く前が見えづらい。
「暗いな。今灯りを出すから待って」
「なんだ、こんなのも見えんのか。仕方ないな」リーンには見えていたようだが、ユートたちは見えないようなので、リーンは魔法を使う事にした。薄暗いので気付かれなかったようだが、瞳の星が黄金になっている。
「エリアヒール」
いつも通り光魔法も混ぜているので明るいし、持続性の広範囲回復をかけた方がダンジョンでは役にたつだろう。
「……リーンさん」
イーノが呟く
「なんだ?」
リーンは不思議そうにイーノを見る。
「……いや、先にいってみよう」
(これって回復魔法だよな。杖なしでなんでこの出力と持続性で範囲広いし明るくなるんだ??)
イーノの頭の中は疑問が渦巻いていたが聞きたいことがありすぎるので先に進むことにした。
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進んでも進んでもなかなか魔物が出ない。
「確かにギルドで聞いた通り魔物は出ないな」
「……」
リーンがいるから近寄らない、というわけではなく、魔物が沸く感じもあまりない。ユートの言葉にリーンは何かを考え込んでいる。
ダンジョンは広いが、10分に1匹魔物が出る程度、1階層ではレベル3程度の昆虫系の魔物が出ていた。道すがら3匹をユートは危なげなく倒して地下への階段を見つけ、地下2階層に進む。ここでもレベル3程度、さらに地下へと進む。地下5階ではレベル5程度のオオカミ?がボスとして出てきたがこれも問題なく倒した。経験値1.5倍にしても経験値も全然上がらない。宝箱も古い剣や質のよくないポーションが出るくらいだ。他に入ってくる人たちもいない。
「そろそろ探索やめようか」
ボス部屋の隣りに休憩できるようなスペースがあったので休んでいたが、イーノが言う。すると何かを考え込んでいたリーンは立ち上がる。
「どうしたの?リーンさん」
「……いや、ちょっとお手洗いに、な」
「わかった、敵は出ないけどあまり遠くに行かないようにね」
「……ああ」
リーンは不敵に笑いをうかべて暗闇の中を歩いていった。