ここはどこ?あなたは誰?
エデンに来てから4日目の朝、俺は目を覚ますと見知らぬ小部屋の床に戦闘用の黒いスーツに着替えた状態で仰向けに寝ていた。
ここはどこだ!?
自宅じゃないぞ!?
辺りをキョロキョロと見回してみた。
部屋には何も家具は無い。
とりあえず、この部屋から出てみるか
ーガチャッ
部屋のドアを開けると、そこはコンサート会場の大ホールの2~3倍はありそうなとてつもなく広い場所に繋がっていた。
中には大勢の人がいて、少なく見積もっても最低1万人くらいの人間がいるだろう。会場は大勢の人間でガヤガヤ賑わっていた。
俺は全く状況が掴めないで周りをとりあえずキョロキョロと見回していると、目が細くてまるで笑っているような優しい表情をした若い茶髪の男が一人近づいてきた。
「なぁなぁ!
君日本人!?」
男が話しかけてきた。
誰も知り合いがいなそうだったから正直うれしかった。
「日本人です。
えっと俺、山下海夢っていいます!
エデンに来たのは4日前です
よろしく!!」
俺が自己紹介すると男もうれそうな顔をして握手を求めて来た。
「俺は市村京。
京って呼んでよ!
エデンに来たのは6日前。
なんか今朝急に起きたらこんなとこにいたからびっくりしてさ、誰か話しやすそうな人探してたんだ。
そしたらたまたま海夢君見つけてさ!」
京は安堵したような表情で言った。
近くで京をまじまじと見てみると、顔が小さく、色白の中性的な顔立で、目が細いが、ものすごいイケメンだった。
「海夢君って年いくつ?
もしかして年上かな~、もし年上だったらすぐ敬語使うから安心して!!
ちなみに俺は23っす!!」
京は右手の指を2本、左手の指を3本立てて自分の年齢を表していた。
「えっ!?
マジで!?
俺も23だよ!!
タメじゃん!!」
急にめちゃくちゃ親近感がわいた。
「そうなんだ~!!
じゃあ敬語いらんな。
海夢って呼ぶよ!!」
「じゃあ俺も京って呼ぶよ!」
俺達はしばらく談笑すると、意気投合し、GSPにお互いのフルネームを登録した。
これでいつでも連絡できる。
この世界に来てから初めてできた友達だ。
「なぁ海夢。
いったいこれから何が始まるんだろうな?
あまりにも俺ら無知すぎるって
とりあえず、この状況を知るために情報収集しないか?」
「そうだな!
じっとしてても不安になるだけだし、お互い連絡先も交換したから、なんかあったらいつでも連絡できるしな!
とりあえず聞き込みして、またどこかで落ち合おう!」
「OK!!
なんかわかったらすぐ連絡するわ!
じゃあまた後でな!!」
そう言って京は歩いていった。
さっそく話しかけているみたいだ。
俺はけっこう人見知りだから自分から知らない人に話しかけるのは緊張する。
とりあえず、年配の優しそうな表情のおじいさんに話しかけてみた。
「あの!
すみません!
ここってどこだかわかりますか?」
おじいさんは首をかしげた。
「ワシにもさっぱりわからん。
いろんな人に聞いてみたけど、みんな知らんみたいよ」
「そうですか、ありがとうございました」
おじいさんに礼を言って、また聞き込みをする人を探しに行った。
10分くらいいろんな人に聞いてみたが、わかったことが2つ。
1つは、誰一人今の状況を知ってる人はいなかったこと。
もう1つはみんなエデンに来てからまだ1週間も経ってない人ばかりだってこと。
はぁ~・・・
これからいったい何が始まるんだろう・・・
俺は不安で不安でたまらなかった。
うろうろ辺りを歩き回っていたら閃いた。
なんで真っ先にそうしなかったのか不思議なくらいだ。
ナギルさんに連絡してみよう!!
初めからそうすればよかったんだ。
俺はGSPを取り出してナギルさんに連絡してみた。
しかし、いくらコールしてもナギルさんに通じない。
これはさすがにおかしいな・・・
とりあえず、京に連絡してみた。
ーガチャッ!
よかった!!
通じた!!
『お~!!
海夢か
そっちはどうだった!?
なんかわかった!?』
『いや・・・それがなんにも・・・』
『俺もなんもわからんかったよ・・・
いや、逆にみんななんもわからんってことがわかったかな』
GSP越しに京が笑った。
『とりあえず、落ち合おうか?
ホールの中央で待ってる』
『了解!!
すぐいくわ!!』
そう言って通話を終了させた。